「鑑賞記録」MOTHER マザー ハッピー・ホーガンさんの映画レビュー(感想・評価)
鑑賞記録
コロナ自粛からのスクリーン復帰作は我らが長澤まさみの主演作にしました。
「長澤まさみはいつでも100点」が持論の私ですが、今回はもう…なんというか…。
世の中にありうるどん底底辺シチュエーションを、これでもかというくらいにぎゅうぎゅうに詰め込んだまさみ一家を取り巻く環境は、もう本当に辛いの一言。本作の実質的な主役、周平くんがそれらの環境(親を含む)になす術なく流され、悲劇的な結末を迎えるくだりは、この物語世界におけるセーフティネットはなぜ機能し得なかったのか、いや、これが現実世界の限界なのかもしれないなんて思わされて、どんよりとした気持ちに。周平を演じた二人の役者(少年期と青年期)の演技が素晴らしいものだっただけに、余計に胸に迫るものがありました。
本作の「母親」に対しては共感も同情もし得ないし怒りすら沸いてくるのだけど、このような人たちがいるのだということについて、我々は頭の片隅に置いて生きていかなければならないのかなと思いました。
長澤まさみの20代演技がなんかキーキーしてるとか、阿部サダヲと皆川猿時の二人が並んでるとグループ魂すぎてシリアス味に欠けるとか、アクシデントが起きるとピアノがポローン♪って鳴る演出とか、あんまり合わないところもあったんだけど、くたびれたまさみ&サダヲの演技はやっぱり良かったし、先述の通り周平にもってかれるところがあったので、見て損はなかったなと思う次第です。
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