「寿命が縮んだ」事故物件 恐い間取り larkさんの映画レビュー(感想・評価)
寿命が縮んだ
恐ろしい…この映画を見ると寿命が縮む!
【演者】
・ヤマメを演じる主役の亀梨和也さん。
役作りによってイケメン過ぎない感じに仕上がっているし、喋り方もタニシに寄せてる感じがして好印象だが、何か関西弁が板についてない気が…関西出身じゃなかったっけ?記憶違いかな。
・華井二等兵的な役所の瀬戸康史さん。
集客を考えたキャスティングなのは分かるが、華井二等兵的な役所としては綺麗すぎるのに、髪型などで中途半端に冴えない感じにしてるのでイケメン度も足りない。どっちかに極振りしとけばまだマシだった。
但し瀬戸康史と木下ほうかの共演はライダーファンとしては少し嬉しい。
・ヒロインを演じる奈緒さん。
本作を駄作たらしめている要因その1。基本的に演技が下手。板野友美程じゃないけどね。しかし何より問題なのは怪奇現象が起こった際に見せる変顔。そして悲鳴、と言うより奇声。怖くないんだもん。面白いんだもん、この人。
特に中盤、洗面台に押し付けられ溺死させられそうになっているシーンでのあの両手モタモタは何?ビンに首突っ込んで抜けなくなった亀さん役やらせたらピカイチだろう。
【演出】
日本のホラー映画が誇る湿気を帯びた重苦しい雰囲気は残念ながら皆無。と言うか作品に監督の色というものが一切見えてこない。ただ起きていることを写しているだけという印象。
あのリングや仄暗い~を撮った中田秀夫監督作品とは思えない…が、まあクロユリ団地や劇場霊やスマホを落とした~を撮った中田秀夫監督作品と思えば納得。監督こそが駄作要因その2。
近年の作品の出来を見るに、この人はもうホラーを撮るのが嫌で、敢えて出来の悪いものを作ってるのではないか?
【脚本】
最低。この一言に尽きる。
ヤマ場を作りたいにしてもアレは無い。
脚本家はブラジリィー・アン・山田とかいうおサムい名前の劇団主催者。こいつが最大の駄作要因その3。
ラストの傘のくだりとか、いかにも狭いコミュニティで固定客だけにウケてる芝居のオチという感じ。
作者である松原タニシの体験談を聞くに、直接的な幽霊等との接触はなく、こじつければ事故物件由来の怪異であると解釈できなくもない、程度の不可思議なことがポツポツと起こるくらいのもの。それを映画として祭り上げるには解りやすいヤマ場を捏ち上げるのが手っ取り早いというのは分かる。
しかしあの荒唐無稽なラストを付け足すくらいなら、ヤマはなくとも原作通りの内容を「仄暗い~」の様な陰鬱な演出で描いた方が余程見れる作品がになっただろう。全盛期の中田秀夫監督であれば、家に居るのに気が休まらないという事故物件の嫌な所を存分に描けただろうに…
だが褒めるべき所もなくはない。
ヤマメと中井がテレビ通話していると後ろに…というシーンは怪談として中々よく出来たシチュエーションだ。
また、ヤマ場の黒フードのアイツ。人相が安定せずコロコロ変わるのはインパクトがあるビジュアルで良い意味で気持ちが悪い。
という訳で、一言で言うと酷い出来。
怖ポップとかいう謎の造語で推している星5レビューの方々は十中八九サクラでしょうな。
劇中の言葉を借りるなら、人間は笑えば寿命が伸び、怒ると逆に寿命が縮むそう。ということはこの映画は視聴者の寿命を削り取る、ある意味で非常に恐ろしい映画だ。