「事故物件では何も起きない。」事故物件 恐い間取り ガバチョさんの映画レビュー(感想・評価)
事故物件では何も起きない。
怖さで言えば中の下という所か。原作があるだけに思い切った想像力の展開が難しかったかもしれない。原作の内容は知らないが、基本的に何も起こらない事故物件の部屋で、実際に起こった惨劇等に恐怖心を刺激されながら、些細な現象をさも心霊現象であるかのように語るものではないか(想像だけで書いてすいません)。事故物件に住むことになったのが、視聴率の低迷で番組の打ち切り危機にあるテレビのディレクターの思い付きと、その企画に乗っかる廃業危機の芸人という構図はなかなか面白かった。しかし如何せんホラーの要素が元々弱すぎた。過去に殺人や自殺が起きた部屋に住むのは意識すれば怖いかもしれないが、本当は何も起きない。何かを起こすためには仕掛けが必要だが、それが霊に敏感なファンの女子と黒マントの死神のような存在だ。例えば、見えることによる梓の恐怖と、見えないが故のヤマメの恐怖のギャップみたいなものをもっと強調したら効果的だった気がする。霊は部屋に住む人に危害を加える理由がないが、それを無理矢理実行してしまうのが、死神みたいな存在だ。しかしその実態も、人を襲う理由も分からないので恐怖しようがないというのが正直な感想ではないか。
原作にとらわれずに、一から想像力を働かせて物語を創造すれば、一味違ったホラー作品ができたはずだ。
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