あの頃。のレビュー・感想・評価
全177件中、1~20件目を表示
味のある役者陣のやりとりが徐々に癖になる
この映画には何か、若き頃に未知なる扉を押し開いたときに感じた部室臭のような空気が満ちている。それは懐かしさと共に酸っぱさすらこみ上げる記憶。歳を重ねて口にする機会は減っても、それでも、当時の仲間とならいつでもあの頃に戻って盛り上がれる。思い出して笑顔になれる。ハロプロ好きでもそうでない人でも、誰もがそういう記憶、場所、仲間に思い当たるところがあることを、じわじわと気づかされる作品だ。イベントで集う仲間は、各々が格別の芸達者ばかり。はじめはとっつきにくそうに思えても、幾度も場面を重ねていくことで、徐々に味が沁み出し癖になり、しまいにはこちらの方が「馴染みのあの感じ」を求めてしまうほど。また、今泉演出は決して感傷的になりすぎず、お涙頂戴にも陥らない。だからこそ、あの苦笑してしまうくらい掛け替えのない日々が輝きだす。いつもとガラリと違う個性を放つ松坂桃李、そして波に乗る仲野大賀の魅力も堪能した。
冨永昌敬脚本×今泉力哉監督にしては少々物足りないが
今泉監督作は大好きなものが多いので、鑑賞前の期待のハードルを上げすぎてしまったかも。本作では脚本を担当している冨永昌敬監督にしても、いつもならある種独特のモノローグで雰囲気を作りつつ物語を牽引するのだけれど、劔を演じる松坂桃李のモノローグはまあ割と普通のトーンで(もちろん今泉演出なので真似をする必要もないのだが)、何か少しずつ物足りない思いがした。
評者もバンド経験があるので、仲間と何かを一緒に追求したりだらだらと馬鹿みたいな時間を過ごしたりする感覚はよくわかるし(共感しすぎてつらくなる場面さえあった)、関心のない人から見たら価値がよくわからないことに夢中になれるのが青春なのかもな、と自分に重ねながら観ていた。
昨今のアイドル事情に疎いので、握手会の場面で登場するのが松浦亜弥本人?と一瞬思い、でも今こんなに若いはずないし…CGで若く見えるよう加工した?などと悩んだが、ハロプロの山崎夢羽さんというすごく良く似た子を起用したのですね。このキャスティングはなかなか憎い。
公開前の作品と比較して恐縮だが、4月公開予定の「街の上で」の方が今泉監督らしさがよく出ていて断然好き。「あの頃。」で劔とちょっといい感じになる中田青渚が、「街の上で」で印象的な関西弁の女の子役で好演している。
平成あるかも
もちろん本が原作の映画なので多少のドラマ要素はある。
しかしベースとなるのは平成あるある。
当時のアイドル達、原作者と同じ剣と言う名前の主人公が映画をよりリアルにしている。
日常を描いているので退屈な話だと感じる人もいるかもしれない。
登場人物にはフリーターのような人もいて社会的には成功してなさそうだけれども、実に日々楽しそう。
推しがいる、仲間がいる。
それ以外のものも求めてしまうのが、一般的な社会人だけれども。でも、そんな彼らをちょっと羨ましくも思う。
女子の場合、仲良し◯人組、というと本当の仲良し。
男子の場合、新しく入ってくる人がいたり、グループ内に気の合わない人もいたりと個々の繋がりは緩いイメージ。その分グループの人数は女子より多い傾向にあり、自分が暇な時、誰かは付き合ってくれる。とりあえずたまり場に行けば誰かいる。いなくなる人がいても入ってくる人がいるから長く続く。
女性から見ると男子の友情は時に羨ましい。
新しく加入したり、卒業したり、男子グループの友達方式を持ち込んだハロプロは令和の今も続いている。
クレジットにあったけれど早稲田の同好会が協力しているようで時代を経てもアイドルオタク文化?は健在のようだ。
生きづらかったあの頃
推し活が市民権を得て、他人の好きなものを否定しないという多様性文化が浸透した令和。
モー娘がブームになっていた小学生の頃を思い出すと、あの頃はオタクに対する風当たりが強かった。電車男でも描かれたようにオタク=キモいという価値観が根強かったように思うが、今思えば多様性文化の黎明期だったのかもしれない。
そんな時代の中、彼らが作り上げたコミュニティは彼らにとってどんなに温かかっただろう。
男臭くて女性としてはあまり共感できるシーンはなかったけれど、あの閉ざされた内輪ノリにリアルさを感じた。
ストーリーにあまり新規性は感じなかったが、豪華キャスト陣の上質な演技の応酬のおかげで贅沢なものを観た気分。
好きです、今泉監督作品
モーニング娘。、松浦亜弥、藤本美貴…ハロプロ全盛期は小学校高学年でした。成年オタではなかったけど、まさにその世代で、私はやぐっちゃん推しだった。親に壁掛けカレンダーとか買ってもらったり、写真カード集めたり交換したりしたなぁと懐かしくなった。観終わった後、ハロプロ聴きて〜!となったけど、Apple Musicでは配信していないんだね…悲。
ラストで泣いたと言うよりかは、エンドロールに入った途端に涙がほろりと溢れた。
劇中で何度か劔が言う。今が一番人生で楽しいときだ、と。今生きててそう感じられてないからか、その言葉は自然と自分への問いかけとなった。好きなこと、楽しみなことがあるっていいよね。それだけで人生が鮮やかになる。
青年オタたちが登場人物であるからか、時折の下ネタが気になるところではあるが、基本的にはとてもハートフルな物語で彼らの掛け合いにクスッとしてしまう。仲間っていいな。
☆☆☆★★ 原作未読。ほんの少しだけの感想。 自分!眼の玉見開いて...
☆☆☆★★
原作未読。ほんの少しだけの感想。
自分!眼の玉見開いて、よ〜見なや!
《 T H E 仲 野 太 賀 ワ ン マ ン シ ヨ ー 》
ネット弁慶や言うてからに、簡単に◯下◯してしまうんが痛いねん!
もうパリパリですやん!バリバリやのうてパリパリや〜!
…え?何でパリパリか? そんなん知らんがな!
いわゆる【オタク仲間】の強烈なる〝 仲間意識 〟 による群像劇。
映画では幾つかの男女関係が、この仲間達の中へ割って入って来るのだけど、必要無い…とは言わないが。それらが、この仲間意識の中に入って接着剤の様な役割になっていたとは…と言ったところ。
下世話な大阪弁が縦横無尽に飛び交うのは良かったのだけれど、この監督が描く会話のリズム感とはほんの少しズレている感が有った。
脚本が富永昌敬だけに、これまでの会話の空気感でリズムを生み出す今泉作品とはちょっとだけ違っていた気がする。
2021年2月20日 TOHOシネマズ日本橋/スクリーン8
名曲サルビアの花
脇役陣素晴らしい!!!!!
若葉竜也さんと山中崇さん、コカドケンタロウさん他、今泉さんの他の作品でもお見かけする脇役陣の瑞々しいことよ!!!!!!!!!!素晴らしく無いですか、これ。
大好きな演技ばっかりで、配信にかこつけて何度も見返してしまうシーンがあるほどです。
言わずもがな、仲野太賀さんの小気味良さが、こんな仲野太賀もずっとみたい!!見せてくれ!願うほどよかったですが、まあ、こうなるだろうという範囲で思い切りやってくれた感じではありました。ちょうど良すぎるような気もするけど、あのくらい少し物足りないが、ちょうど良いのかな…
主役も名のある俳優でとなるとこれくらいかな…とか、このくだりは必要だったかな…とか、端々に演出的に整理整頓が欲しいところと、その整頓されてないところの緩みの良さもあり、内容の割には予算が大きかったりしたのか、チグハグさを感じました。
俳優陣が言いたくなるセリフばかりだったのでは?と、演じるのが楽しくなるシナリオだっただろうな、それも雰囲気の良さになっていて良かったです。
とにかく、脇役陣の瑞々しい演技を見る作品だと思いました。
懐かしさはあるけれど
2000年台初頭のあの頃と今。
冴えないベーシストの劔(つるぎ)が松浦亜弥のDVDを観たことでハロプロにのめり込み、共通の趣味を持つ仲間と共に青春を謳歌する話。
2000年台初頭のアイドルオタク達の活動をリアルに描写してて、没頭していく熱量というか圧が凄い。
ずっと同じまま活動していくことは出来ず、仲間たちも就職なんかで散り散りになって各々の生活を送っていく。
友人が病気になる展開は唐突だったけど、実際世の中、何があるか分からない。
一緒にバカ出来る仲間が居る、のめり込める好きなものがあるのはいいこと。
昔は楽しかったけど、今が一番楽しい。
過去のノスタルジーに浸るだけでなく、今の充実感に意識を向けることが大事と思わせてくれる映画でした。
くだらなさと強さと明るさ
何を描きたかったんだろうか?と思える映画だった。男同士の友情?なのかな。そういうのは、こうしたおちゃらけた笑いの中にあるんだろうし、感情豊でバカになりきれる男が愛されキャラになるんだろうなとあらためて思った次第で。
こうした仲間ってなかなかできるものではないので、羨ましいなと思う反面、大人になってしまうと、もうこうした仲間をつくるのは難しそう。愛されキャラの死というシリアスさえも笑いに振っていく元気さもあって、と。変わらない仲間。どんなことがあっても、映画の中で変わらない。そのくだらなさと強さ、明るさ。愛されキャラの死ということではなくて、みんな生きている中での変わらなさ、もっと、とことん、くだらなさを描いてほしかった。
んーー…イマイチ。
熱い友情にホロリと、
松坂桃李と仲野太賀のW主演!
かと、思うくらい仲野太賀が目立ってます。
愛の伝道師、今泉力哉監督が、男女の愛を封印して、
アイドルに夢中になる仲間たちを描いたコミック「あの頃、男子かしまし物語」原作・劔樹人の
映画です。
「ハロー!プロジェクト」
通称ハロプロ!と聞いて、なんじゃそれ!!状態だったワタクシ。
ハロプロは「つんく♂」プロデュースの女性アイドルの総称。
モーニング娘。が一番メジャーだが、うちらおばさんにしたら、
ほとんどマイナーなグループ(売れる前のアイドルに先鞭をつける?が、アリなのか?)
松坂桃李(劔君)はミュージシャン志望だが、大学院受験に失敗。
彼女も夢もないアルバイター。
ある日、ハロプロのオタク仲間に入れられて、アイドル「松浦亜弥推し」真っしぐら。
「あややに慰められ、あややに胸いっぱい」の日々を過ごすことに。
それで日常が充実するんだから「推し」最強ですね。
それがハロプロのコズミン(小泉=仲野)ら仲間と連む、はじまりでした。
みんな一様に善良な連中で、金なし、仕事なし、理想なし!!
まぁまぁ、ユルーイ映画です。
松坂桃李も素顔はこんな目立たない奴かも?と思わせるボーッと立ってるだけ。
それに引き換え、コズミンはネット弁慶の騒がしい男。
現実にコズミンは末期癌になって、その映画の重要なパーソンになります。
彼の七転八倒な人生。
彼を虐めイタブリつつ、愛する仲間たち。
「アイドル道」より、仲間たちの友情物語ですね。
ちょっぴり笑いあり、ちょっぴり涙あり。
賑やかだった「学園祭の終わった後」の寂しさを思い出す・・・そんな感じの映画でした。
アイドルオタクたちの青春。 大好きなものがあるってやっぱりいいなぁ...
全177件中、1~20件目を表示