THE BATMAN ザ・バットマンのレビュー・感想・評価
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どんよりノワール
暗くて重い。 街には悪がはびこり官吏たちは背任し人々は虐げられている。 主人公からして陰気。 バットマン/ブルースウェインはニコリともしなければ冗談も皮肉も言わない。演じるパティンソンは蒼白で、言葉少なで、表情には諦観と哀しみが貼り付き、まるで陽を浴びるとしぬヴァンパイアを演じているかのようだ。 ゴッサムは日中がないかのように闇につつまれ、必然的に真っ黒の画で、地味に市長選直前の混乱を描くこと二時間。尺も三分の二を過ぎ、素顔のリドラー(ポールダノ)が出てきた辺りから、ようやくアメコミらしき躍動が見え始めた。 リドラーは童顔で切れ者だが反社会的で重篤なパーソナリティ障害を抱えている。ホアキンあるいはヒースレジャーのジョーカーを意識したような狂気を表現してみせ、さっさと主役を食ってしまった。 もともと今回描かれたバットマンは主張の少ないヒーローだった。青白いパティンソンはトワイライトの続編がはじまりそうに端正だったとはいえ、生身感と等身大を重視して強さに欠け、感情にも流されやすい一介の男に過ぎなかった。 が、その人間臭さこそが本作のテーマであったにちがいない。 バットマンに超人値がなく、悪いヤツを倒すのに徒手空拳をつかって非効率な戦いをし、ゴッサムの腫瘍リドラーやペンギンやファルコーネをとっちめるにしたって裏をかかれて無力感を味わう。 ひたすら非力な人間臭さ(=生身感と等身大)を強調してみせたのが今回のバットマンの特長だった。 ところがImdb7.8、RottenTomatoes85%と87%。 何にもできないバットマンを描いたノワールにしては大受けだった。 このノワールなバットマンの勝因は新型コロナウィルスだったと(個人的には)思う。 新型コロナウィルスによって、大なり小なり世界じゅうに閉鎖的社会が出現した。程度はともかく防疫として多くの人間関係が絶たれた。気分的にも経済的にも人々が荒廃していった。 そんな時代に、一人じゃ何にもできやしないのにゴッサムに居残って、弱きを助け、悪をくじかんとするバットマンの姿には希望の兆しとなるような熱い物語性があった。 誰も助けられないかもしれない、だけど頑張るんだ──という気概がこの映画にはあった。製作陣のスタンスに同じ気概があったとしてもまったく不思議はない。そういう漢を描いた映画だった。──とわたしは思う。 ところで、コウモリという生き物は強い抗体をもっており、さまざまなウィルス、病原菌を体内に保有できることで知られている。 新型コロナウィルスが蔓延してまもなく、英語圏のツイッターやreddit等でバイラルとなった路肩看板がある。 看板には『Whoever said one person can't change the world never ate an undercooked bat.』と書いてあった。 直訳すると「一人では世界を変えることはできないと言った人は、調理が不十分なコウモリを食べたことがないのでしょう。」となる。 意訳すると「生コウモリを食べれば世界を滅亡させることさえできる。」──という感じだろうか。アイロニカルだが事実だった。奇食は人類を滅亡させることができる。 新型コロナウィルスの発生原因はどこかの誰かの野味だと言われている。 野味とは食用とはされていない野生動物をジビエとする食道楽のこと──である。 野生動物はウィルスの温床であり、素人の調理は、ふぐ免許をもっていない人がさばくふぐのようなものだ。 野味がどれほど蛮人な行為かお分かりいただけるはずである。 むろんほんとうの原因はわからない。しかしわたしたちの世界は誰かが食べた一匹の生コウモリによって暗礁に乗り上げてしまった。──ようなものだ。しかもこれは変異を繰り返しながら、いつまでも存在しつづける。 そんな暗澹たる世界でもじぶんだけはまともに生きてやるぞ。──パティンソンの目にはそんな強い意志が宿っていた。とわたしには思えた。 すなわち製作が暗い世相とゴッサムの混乱をリンクさせていないはずがない──と思えるつくりだった。 ──とはいえ、どうだろう。 長いし、正直けっこうだれるところはあったかなw。
雰囲気は凄く良い!
ノーラン作品のバットマンと比べるとよりタフで骨太でダークなバットマンという印象 アメコミのバットマンを今作は作りにきたんだと直ぐに理解できた。 ノーランのバットマンはハイテクなガジェットを駆使し少し未来の戦い方や映像にも驚かされたが今作は古典的なギミックのガジェットで真新しさはないがそれがつまらないという訳ではなく逆に今の時代だからこそ古典が新鮮にさえ見えリアルに思えた。 トランスフォーマー並みに変身するバットモービルは今作はレストアした旧車のマッスルカーになっていたりと、わかりやすくいうとデジタルよりアナログを意識した作りになっている、これらもコミックスへのオマージュだろう。 なのでよりリアルで身近にバットマンとゴッサムシティを感じれたと思う。 特に自分のツボだったのは衣装や家具など細かいセット! ここが凄い!本当に細かいところまで世界観を表していてこだわりを感じた。 そしてカメラワークがお洒落すぎて凄く雰囲気が良い! 基本、夜のシーンしかないのでダークなゴッサムの雰囲気がぷんぷんしていてツボだった 役者もコミックからそのまま出てきたようなキャラばかりで髪型や服装の着こなし方まで完璧。自分的には警官の制服がかなりツボだった。帽子の形なんて最高 ただ3時間という上映時間がマイナスポイント、これは本当に残念 やはり長すぎてどうしても途中でだれてしまう。 よかった点が多かった故に3時間の必要性があったのかと残念な気持ちが見終わってまず出てきた感想だった。 2時間という枠で収めたら神作だったんではないかと思う。 次回作に期待!
悪は滅びず!!
幼い日に目の前で両親を殺された過去から、復讐することだけに 執念を燃やしていたブルース・ウェイン。 彼に晴れた空はない。 だが憎しみは何も生まない。 むしろ負の作用を生んでしまうと気付いて、 真のヒーロー「バットマン」に変わる姿をえがいています。 ゴッサムシティは常に夜そして雨。 殺人・麻薬・強奪・汚職。 悪のカオス・暴力の街・ゴッサムシティを浄化しようと バットマン・スーツに身を包み、 バットモービル(=アメリカンマッスルカー)で乗り込むも、 バットマンまだ未熟。 その青さが素敵で格好いいロバート・パティンソン。 遂に両親殺害の犯人の背景は見えてくる。 (だが少しも幸せになれるわけでもない) そこに最強・最悪の化け物が現る。 市長を殺し、検事を爆発死させ、ゴッサムシティを 嘲るようにやりたい放題、混乱に陥れる。 ミニオンズみたいなゴーグルを身につけて、 凶悪至極な新種の敵・リドラー。 人を喰ったような狂気が演者によって際立った。 (ナイス・キャスティング) 置き手紙の宛名は、 TO the BATMAN なぞなぞを出しながら、次々と市の権力者を殺害。 犯人は何という捻くれ者、 何という卑劣に悪漢。 最強の敵の手口は予想を上回る凄さ。 (思わず悪の美酒にほろ酔いになる) キャット・ウーマン(ゾーイ・クラヴィッツ)も復讐の鬼。 そしてリドラー(伏せます)も孤児で金のない育ち。 格差を恨み、バットマンを妬みそして憧れている。 他の配役。 ジェームズ・ゴードン警部補(ジェフリー・ライト) 警察内の良心、バットマンのバディ、絆を感じた。 裏社会のボス・ファルコーネ(ジョン・タトゥーロ) 意外とスマートで驚いた。 ペンギン(コリン・ファレル) 特殊メイクが過ぎて誰だか分からず。 執事アルフレッド(アンディ・サーキス) 誠実で上品なバットマンの育ての親。 サーキスの素顔をみたのは初めてかも。素敵でした。 ラストの爆破による大洪水は「津波」のように全てを破壊する。 あー、またもや破壊か? やめてくれ!! たとえ映画でも破壊、そして逃げ惑う子供たちを見たくない。 心底そう思う。 ゴッサムシティに悪は滅びず! それでもバットマンは「善」のため、 悪に立ち向かう。
長い…
話を無理に長くして分かりにくくしているみたい。 今までのバットマンと違い、超兵器は少なく好感が持てたが、途中で飽きてきた。 犯人像も掴みにくく、事件の背景と狙いが一致しないので(しないようにみえるので)余計に長く感じた。
緊迫感満載
約3時間の長編映画であるにも関わらず、最初から最後までずーっと緊迫感があり集中して鑑賞することが出来ました。 暴力、汚職、ドラッグ等、犯罪が蔓延したゴッサムシティを舞台にバットマンが知能犯リドラーと対するストーリーは最後まで結末が読めなくて非常に良い作品でした。 アクションシーンにおいてはカーチェイスのシーンが最も迫力があり良く、バットマンのPRに使用されているのが良くわかります。 バットマンシリーズは初めての鑑賞でしたが次回作も公開される事でしょうし、さらに期待したいと思います。
今後も期待できる新バットマン
ロバート・パティンソンの新作バットマン 敵役のリドラーもペンギンも人間として描かれて より一層、現実感ある設定になっていました。 復讐をテーマにしているのが 正義とは何かを考えさせられるストーリーでした。 今後も期待できる新バットマンで安心しました。
ゴッサムシティに未来はない
幼いとき両親を殺されたバットマン(ロバート・パティンソン)は、復讐のため警察の捜査に協力する。 しかし、バットマンの周りで、猟奇的な殺人が相次ぐ。 キャットウーマン(ゾーイ・クラビッツ)の協力を得て、犯人を追い込んでいくのだが・・・。 大都市は末期的らしい。
配信作品のような感じ!!
ずっと同じ調子で、薄く長い配信作品のような感じでした。市長殺し、リドラー、ペンギン等のワードは気に留まるものの、全く入り込めませんでした。ナレーションというかポエムも何か嫌でした。
唯一無二のバットマンが誕生
本来は暗闇や影を好む悪党たちがバットマンという存在によって逆に暗闇や影を恐れているのが良い。そしてバットマン自身も内に暗闇がある。 クライムサスペンスとしてもかなり面白い。3時間という長さだけど濃厚な3時間。 パティンソンのバットマンはブルースの苦悩とバットマンの怒りを1人の人間としてリアルに表現していて個人的にかなり好き。 前髪パラッ好きな人にも堪らないと思うw ヴィランたちもゴードンも役にピッタリハマっていて続編も楽しみ。 演出も音楽も良いし良い所を語り出したら止まらないぐらい面白かった。
無駄に長いのはNO
長い長い長い。。 バットマンシリーズはノーラン監督のダークナイト3部作が割と長尺で、あちらの作品もすごく重目の雰囲気でしたが大変よかったと記憶しています。特に2作目のダークナイトなんかは下手なホラー映画観るよりも怖くて、鬱になりますしね。 今回のバットマンはヤングバットマンということで、サスペンス的な雰囲気もあり、非常に重めと聞いていました。最近の自分の中では特に期待していた作品の一つでした。けど何と言うか無駄に長いと言うか。。格闘シーンやCGなんかはどのシリーズよりもいまいちで少しチープにも感じ、ティム・バートン監督版ぽさもアリ。しかし重めの雰囲気はノーラン監督版継承していたり。。 リドラーの素顔はモブだし全体的に何だかいまいち。バットマンシリーズは監督とかシリーズによってヴィランの背景だとか、登場人物の過去なんかが一貫性なくゴチャゴチャしてるけど、これもまたないまぜにした作品になってますね。どうしてもジム・キャリーのリドラーの印象が強いなぁ。。 セリーナ・カイルが出てきても、完全なキャットウーマンにならないのはファンとしてはよかったなぁ。
物語は悪くはないが、暗すぎる
この映画、やっぱり暗すぎる。 物語としては、ゴッサムシティという架空の都市で大物が次々と殺される連続殺人が発生するところから始まるが、本筋は、親を殺されて復讐を誓った青年がバットマンのスーツを着て悪人たちを倒していく……といったドラマ。 バットマンとなって悪と戦う青年ブルース・ウェイン、彼を支える信頼できる警察官、親友女性が行方不明となって探しているセリーナ=キャットウーマン、次々と大物をいたぶるように殺していくカエル姿に見える男リドラーなど、いろんな事を背負った人々が関わりあってドラマが進んでいくが、これは分かりやすく描かれているので親切な脚本。 ただ、謎の男リドラーが次々と出してくる「なぞなぞ」が、ちょっと意味不明な感あり(^^; そして物語が進むにつれて、街の中での汚職や堕落なども描かれて、そうした事態に青年ブルース・ウェインも悩む姿は単なるヒーローものではない深みが見られた。 アクションシーンもそれなりに頑張っているのは分かる。 それでも、やはり全体的に映像が暗く、それを3時間近く観るのは少し根気が必要かも…。 悪くはないけど……という印象が残る映画。
最高のバットマン
これまでたくさんのバットマン映画が作られてきたが、その中で最もコミックに近いバットマン映画だと思います。所々ロングハロウィーン、イヤーワンのパネルを思い出させながら、ゼロイヤーの要素もあった。バットマンの本来の真骨頂である探偵を全面に出せたのは素晴らしいことであり、今まで何故探偵の側面を映画に入れなかったのか疑問に思う。もちろんキャストは全員素晴らしく、撮影の美しさ、音楽は耳に残る最高のものだった。
新生バットマンここにはじまる
言わずと知れた人気コミックヒーローバットマン。これまでさまざまな俳優が演じており、実写だけでも歴史的な作品である。そんなバットマンがキャスト一新し、新たに映画化。正直バットマンはダークナイトシリーズ、ジャスティスリーグシリーズと個人的にも思い入れがあり、また一新してしまうのかと思ってしまっていました。まぁ観た後は全然そんな思いも残らず、逆にまた1人個性あるバットマンが現れ今後も応援したくなりました。今回は歴代バットマンの中でもストレートに顔がイケメンのロバートパディンソンさん。表は大富豪で陽気な面を見せていた過去バットマン達と比べ今回はオールタイムダークサイドなブルースウェンでしたね。若干中二病も混じってるかな??笑 そして今回のヴィランは出題猟奇犯リドラー。流石にジョーカーを超えてはないと感じたが、バットマンの因縁もあり、見応えはあった。そしてバットマンキャラとしてキャットウーマン、ペンギン、アルフレッドなど作品の顔であるキャラも登場するのでこの一作で結構完成はされている。 今回のバットマンはレトロなイメージでナノテクノロジーの武器やマシンというより、頭脳、推理や執念といった内側主体の描写が強かったと思う。どちらかと言うとこっちの方が『ダークナイト』というべきかな…… 今後もMr.復習の続編に期待します。
ザ・ジョーカーの系譜を継ぐ新たなバットマン
スパイダーマンの如く様々な世界線を確立したバットマンシリーズ。現行作品では他作品ヒーローと活躍してるアフレック主演のがあるが本作でまた新たな世界軸を構築した。1989年のから悪評轟くMr.フリーズの逆襲に、ベール主演の3部作まで見てきた身としては正直な話ベール主演作品以降のバットマンシリーズは腹一杯だった、だがジョーカー的な雰囲気を醸し出していた本作で再びバットマンへの鑑賞意欲が再燃。 直接の続編ではないが、雰囲気や空気感は予想通りザ・ジョーカーの意思を継いでおりそこに派手なアクション要素をバランスよく取り入れて従来のアメコミ映画らしさが戻っている。ただ暗闇から恐ろしいBGMをかけつつ重々しい靴音を響かせヌゥッと現れるバットマンは軽くホラー。 ヒーロー活動2年目のバットマンがまだ世間に浸透してない…というか頭がおかしい扱いなのが良く考えればそりゃそうだと少し笑ってしまったが、夜ごと悪党をしばき周ってるとんがり耳付きの真っ黒アーマーを着込んだ陰湿男がやがてダークナイトと世間に認められていく展開はすごく惹きこまれた。 本作の悪役リドラーも中々に魅力的、悪役に違いないがやってる事は殺人以外バットマンと同様世直し、この殺人の有無がバットマンとヴィランを決定的に分け隔てる重要点であり、バットマンの危うさも同時に表現されている。また彼の犯行をバットマンが辿る中でゴッサムシティに溢れる闇が明らかになっていくのだが、その展開が実質共闘してる構図になっているのも面白い、それにしてもつくづくゴッサムはヤバイ都市である、そこは昔からそうなのだが、近年は酸鼻を極まる腐敗ぶりでもはやこんな都市に住まう人々が凶行に走るのも止む無しと思えてしまう。 カーチェイスと終盤の最終決戦は本作最大の見どころ。バットマン活動が浅い故かバットモービルもかなり粗削りなデザインながら悪党とのカーチェイスはシンプルに派手、悪役からみたら凄い怖いだろうなバットマン。最終決戦はそれまで復讐に固執していたバットマンが真のヒーローへと成長したと分かる重要シーン、まだまだ未熟な部分もありながら懸命に戦いそして人々を救助し、最後には泥だらけになるのだが、その姿がとてもカッコイイ。 ヒーローとしての何たるかを見出したバットマンが今後どのような活躍をするのか・・・続編も是非映画館で見に行きたいと思う。
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