THE BATMAN ザ・バットマンのレビュー・感想・評価
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肉弾戦と暗い雰囲気、これぞバットマン!
バットマンとして活動を始めて2年、ゴードンと関係を築き、コスプレ変態野郎としてゴッサムの悪人たちに認知されていたブルース。
ブルースの両親が殺害された日にゴッサム市長が殺される。現場には嘘を暴くというリドラーからのメッセージが…。繰り返される殺人とメッセージを追い、ドロップ(ドラッグ)を流通させるマフィアであるマルコーネと権力側の癒着に辿り着く。
しかし、リドラーの狙いは権力側の腐敗の原因はウェイン家にあり、そのすべての責任は恵まれた孤児であるブルース=バットマンにあるとしてバットマンの守ろうとする秩序を破壊することだった。
ガジェットやバットモービルなどはシンプルで無骨さが大変素晴らしく、コスチュームも重厚感がありつつムチムチすぎず良い。登場シーンは静かにゆっくりと闇から歩んでくる。超かっこいい。
何より格闘が基本力任せのステゴロというステキさ!
バットマン自体への説明がほぼないので、バットマンを全く知らない人は導入が分かりにくいかもしれない。しかしその辺りは呑み込んじゃって、ブルース(ロバート・パティンソン)の鬱々としたカッコよさと謎解き、アクションを楽しみましよう。
エンタメではなく、しかし静かに胸が熱くなる。
大学生の時に『DARK KNIGHT』を鑑賞したとき、とてつもない衝撃を受けた。
ノーランの選ぶ構図やカットの気持ちよさ、音楽や音響の良質さと絶妙なタイミング、そして何より演じる俳優たちの凄まじい演技(特にヒースレジャーのジョーカーが、というのは言うまでもない。)と、観客をも苦しめる決断を迫るシナリオ展開。
非の打ち所がなく、ヒーロー映画の枠を完全に逸脱していながら、上質なエンターテイメントであり、かつ人間の芯に迫る映画だったと思う。
さて、今回の『THE BATMAN』である。
先のノーランが作り上げたバットマンと比較しても、エンターテイメント性を大きく排し、より人間の根幹に迫る内容だったと個人的には感じている。
パティンソン演じる「ブルースウェイン/バットマン」の、正しさへの想いや願い、そしてそれとは裏腹に、その存在が世界へ与え続ける影響が、思わぬ形でゴッサムシティを襲い掛かる。
正しさとは何か?人の在るべき姿とは何か?そもそも誰かのために何かをすべきなのか?など道徳的・倫理的な問いかけにもつながって、ずしりと重くのしかかる作品だと感じた。
それらの答えは、おそらく見る人それぞれで異なるだろう。私自身、今作について、何がどうあれば良かったのか?ということに、明確な答えは出せないでいる。
それだけ、深い問いかけを投げかける作品だったとも言えるだろう。
しかし、ただ一つ私が印象深く、その姿に惹かれたのは、どれだけ辛い現実に打ちひしがれても、前を向き、戦い続けようとするバットマンの姿だった。
混迷の中で、絶望の中で、悲しみの中で、それでも歩き続け、戦い続けようとする。
その姿こそ、今作が見せたかったものかもしれない。
どれだけ打ちのめされようとも、泥臭くて青臭くて人間臭い。そんなブルースウェイン/バットマンに、胸が熱くさせられる作品だった。
バットマンという青年の成長ドラマ
この映画はかなり好みが分かれると思う。
とにかく作品全体が暗い!ブルースも画面も作風も、とにかく暗い!ついでに重い!
全体的にブルースの暗い内面に合わせて作品を作っており、ダイナミックなストーリー展開も無いので、その雰囲気が陰気臭く感じる人は地獄の3時間になるでしょう。私は重苦しい作風は好みだったので、没頭できた3時間でした。
ストーリーも当然のごとくブルースを中心。レギュラーキャラのアルフレッドやゴードンは当然、悪役すらもあまり存在感は無かった
それでも高評価をつけた理由は、ブルースという1人の人間の成長物語として見ると、非常に楽しめたから。
これまでのブルースは大企業の社長という面の顔を併せ持っていたが、今作は社長業そっちのけでバットマンにほぼ専念。その姿は「俺にはもうこれしかない」と、活動することで自分の存在意義をなんとか見出している若者でしかない。
バットマンの活動に見え隠れする「若さゆえの苦悩と暴走」は非常に人間味を感じたし、ストーリーの最後でバットマンの活動に本当の意味を見出せたところでは感動すら覚えた。
シーンの見せ方も、固定カメラを多用してカーチェイスの緊迫感を上手く感じさせたり、絵画のように印象的かつ象徴的なシーンを要所で盛り込むなど、リーヴス監督なりの工夫が感じられたのも良かった。
ノーラン3部作は壮大かつ重厚なストーリーと魅力的な悪役の存在があったので、それと比較するとどうしても地味な映画には感じられてしまう。
それでも、あの完成された物語の後に違う切り口で新しいバットマンを描いたのは凄いチャレンジだと思うし、この1作目から続く次回作は十分期待できるものになると思う。
否定的な声もそれなりに出るとは思うが、個人的には十分楽しめた作品だった。
あと、最後の洪水は公開日が3.11だったこともあり批判的な意見が散見されたけど、そもそも日本の作品ではないし、映画の内容の批判として列挙するのは違うのではないか。
いい!
まず、映画館でニルバーナ、しかもサムシングインザウェイがかかることに鳥肌が。ゴッサムシティのダークで80年代NY風な雰囲気にサムズアップ。バットマンは暗くないとね!ロバートパティンソンの一度も笑顔を見せない陰気な演技がサイコーにバットマンに合っている。(トワイライトの頃からしたらだいぶ老けたなーと)ペンギンのコリンファレルも熱演していてかなり配役と演技で評価を上方修正しています。
ただし、3時間は長い。3時間もいらんよこれ。もし、2時間くらいで終わってたらもっとゴッサムシティの世界観に入っていたいなーって気になっていたんだけど。
六本木ヒルズの夜行ったんだけど開始30分たっても客が入ってきてんだけど残業か?寝坊か?落ち着いて観たいんだが。
Noir in the Batman
マット・リーブスが描く新たなバットマン。
ガムテープを引っ張る音から始まるファーストトレーラーの重々しい雰囲気。期待に胸を膨らませずにはいられなかった。
バットマンとなり2年が経つブルース・ウェイン。
執事アルフレッドとの関係性も若干ギクシャクしたまま、街の秩序を守っていた。
そんな中、彼はある犯罪調査を始める。なぞなぞを使って世間を翻弄するリドラーが起こした事件だ。そこから浮かんでくる犯罪組織の実態。そこへキャットウーマン=セリーナ・カイルの登場。少しずつ真相が明るみになる中でブルース自身に関わる過去もまた浮き彫りになっていく、、、。
私が知ってるブルース・ウェインというキャラクターは表の顔は心優しい性格で世界屈指の大富豪かつ慈善家で、様々な美女との浮名を流すプレイボーイ。裏は闇の騎士・バットマンとして悪人に容赦せず、犯罪と戦うという二面性を持つ。
歴代の作品でも描かれていた部分ではあったが、本作ではやさぐれに近い態度で周りを寄せ付けず、憧れを抱かせない影を落とした人物として登場している。
これにより殺伐とした雰囲気が延々と3時間続くノワール作品に仕上がっていた。
互いの正義や信念のため、相棒となるキャットウーマンや警察組織唯一の協力者ゴードン刑事とのやりとりはある種のハードボイルド小説の様な雰囲気も見受けられた。コミカル要素は一切なし。
とはいえガジェット、バットモービル、バットケイブなどこれぞという要素は惜しげもなく取り入れているので、これぞバットマンという醍醐味は存分に感じられる。
今作のメインヴィランであるリドラーについては、冒頭の出方でギョッとする出方をした以外はあまり惹かれるところはなかった。というのも、特殊メイクの完成度があまりに高いコリン・ファレル演じるペンギンの方が悪役感満載で、それに食われてしまったかなという印象を受けた。
それ以前にジム・キャリーが演じたリドラーの方がインパクトが強く、ビジュアルもイメージとかけ離れてしまっていたためだ。
何より、ダークナイトで魅せたヒース・レジャー版ジョーカーの不気味さ、狡猾さ、カリスマ性には及ばない。
最後アーカムでリドラーが知り合う、高笑いするジョークまじりに話すヤツが果たして今後どう出てくるのかを期待しつつ、ヒーロー映画に欠かせないヴィランを今回の唯一のマイナスポイントとする。
www.rataalada.com
「お前は誰だ?」「復讐。」
爽快なヒーローものとは一線を画す、アダルトテイスト。一度として、晴れやかな表情を見せることのない正義漢。むしろ常に苦悩に淀んでいる。生い立ち(すでに観客の共通認識であるべきとして細かい点に触れていない)が、彼の生き方に強く影を残し、今回、相棒的なキャットウーマンまでもがトラウマのような過去を明かす。まるで二人は鏡のようだ。人にはそれぞれ歴史がある、と言わんばかりに人間の内面を掘り下げてくるのは、「ジョーカー」と同じだ。単にアクションヒーローの見どころだけにとどまらず、生身の人間の葛藤を描いていて、かっこいいのはかっこいいんだけど、ラスト、けしてスッキリとはさせてくれない。それがむしろこの映画の良さだな。世の中なんて悪は消滅しないもの。事実が明らかになるにつれ、正義の信念と復讐の執念だけで生きてきた男が、その感情は正しいのか?と惑い、悪者退治の切っ先が鈍ったように見えた。が、その熱き復讐の思いを希望に代えたことで、彼の行動が変わったように見えてきた。負の感情で起こす行動は強いが、正の感情で起こす行動は尊い。
ところで、マスクが覆っているのは顔半分。残りの口と顎と、体形と、それだけあれば、誰かすぐばれないか?っていうことは、突っ込んじゃいけないわけね。
曇天の道
海外でのヒット、レビューの好調っぷり、前夜祭で観た方々の称賛っぷり、期待値を上げすぎるのは野暮だとは思いましたがかなり期待して観に行きました。
うーん、悪くは無いんです。ちゃんと面白い部分はあったのですが、自分にはあまりハマらなかったです。
今作の良いところを列挙していきます。
"ロバート・パティンソンの雰囲気が素晴らしい"
「TENET」「ライトハウス」でも常々思っていましたが、ただならぬ色気を漂わせており、今作は陰鬱な雰囲気を最初から最後まで気を抜く事なく演じきっており、物語の雰囲気とも合わさって新たなバットマンだなとニヤニヤしてしまうレベルのかっこよさでした。
"キャットウーマンの華麗なる足技"
ゾーイ・クラビッツのしなやかな足捌きがお見事でした。敵をスパッと遇らう蹴りや、素早い動きで牽制を仕掛けたり、時にはドカンと吹き飛ばす強い蹴りもあり、可憐さと華麗さの共存が気持ちよかったです。
"カーチェイスがド派手"
今作、アクションに比重は置いていないので印象的なアクションシーンは少ないのですが、敵を追いかける際のカーチェイスは中々良かったです。窓からバンバン銃を撃ちますし、グイングインハンドルは切りますし、ド派手に爆発はしますし、そこから駆け抜ける様にバットマンが炎の中から不死身の復活を果たして犯人を捕まえるシーンは最高でした。
褒めポイントはこの様な感じでした。ここからは?ってなってしまったところです。
"とにかく暗い!"
スクリーンも基本ずっと暗いのですが、初期DCよりももっと暗い、闇の様な話が3時間展開されます。正直、時間に関してはそこまで長いと感じませんでしたが、どうしても話のトーンが重いので疲れてしまいました。その暗さが今作の良さだとは思うのですが、うーんどうも重い…。
"悪役に魅力が無い"
アメコミ原作の映画は大小問わず悪役の良さも映画全体の評価に関わってくると思います。ジョーカーはとても良い例で様々な俳優が演じてもそれぞれの色が出る素晴らしい悪役だと思います。それに比べ今作の悪役リドラー、魅力という魅力を見つけることができませんでした。やっている事はとても暴力的なのですが、直接的な描写が少なく、顔も終盤まで分からないので正体も分からない、いざ分かっても小物感が否めない、最後の高笑いも続編へ繋げるためのものだと思うので、今作だけではリドラーの良さは分かりませんでした。
"キスシーンそんなにいらない"
バットマンとキャットウーマンのキスシーン、正直そこまで親密な仲では無いはずなのにチュッチュするのはかなりノイズでした。そのシーンは削っても問題ないと思いました。原作は見ていないのでもし原作準拠だったらまぁ良いかな…。
という感じで十分楽しめたは楽しめたのですが、どこか消化不良なまま劇場を出ました。続編は確実にあると思うのでそこまで首を長ーくして待ってます。
鑑賞日 3/11
鑑賞時間 12:40〜15:50
座席 S-14
復讐心剥き出し新生バットマン
ロバートパティンソンを主演としたダークすぎるバットマンを描いた本作。
本作を観終えた時にまず、ずっしりとした疲労感を感じた。その理由として全編通して暗く、重い雰囲気が立ち込めるゴッサムを十分すぎる臨場感で描いていることが挙げられる。また、本作のゴッサムシティはこれまで描かれたゴッサムとは一線を画した圧倒的な暗さがあり、観ているだけで気が滅入るほどの腐敗っぷりだった。
また、バットマン、リドラーのホラーを感じる登場シーンもまた、観客の緊張感を煽る要因だったと思う。
特に本作のバットマンは活動2年目かつ、復讐が動機であるため、犯罪者に対し、バイオレンスで一切容赦がなく、どちらに感情移入すればいいか分からなくなる程だった。
ブルースウェインをこれまでのようにオンオフのはっきりしたキャラクターでは無く、脆く、未熟な暗い青年として描いたアプローチには新鮮さを感じた。
リドラーが放つ謎解き、キャットウーマンの素性、被害者の関係性という様々な要素が複雑に絡み合う本作は一括りにバットマン映画とは言えず、観る者の目を離さない重厚な1つのサスペンス映画だと思った。
最後のバリーコーガンの笑い声には興奮を隠せなかった。
暗闇に光るバットモービルのエンジンが美しい
めっちゃ良かったです。この陰気な世界観がたまらない。ベンアフやクリスチャンベイルも素敵だけど、ロバートパティンソンも素敵だなぁ✨。ニルヴァーナの「Something In The Way」、カートコバーンの歌声♪がまたしっくりくる。(個人的には「Smells Like Teen Spirit」が好きです。)
復讐心に満ちたブルースウェインが、ちょっとホラーチックでもあるんですよ。しかし盛り上がるシーンもちゃんとありました〜❗️。バットモービルが出てきた時には大興奮‼️(๑•̀ㅂ•́)و✧。カッケー‼️。バイクはちょっとマントがヒラヒラしてね、あれだけど。コリンファレルの原型をとどめない🐧には驚き。このバットマンでジャスティスリーグは...ないか。
アメコミ ヒーローになる前のバットマン
初日ドルビーシネマで視聴。
今回のバットマンは所謂アメコミヒーローではない。
(事実としては兎も角)少なくとも周囲からはヒーローとしては見られていない。
冒頭の不良の前に初登場したシーンも市長殺害現場に現れたシーンも同じ。
周囲には、コスプレしたキ○○イかサイコ野郎としてしか見られていない。
ヒーローとして扱われるには、勇ましいBGMだったり周りがワーワー騒いだりのお膳立てがあって初めて成立することに改めて気付かされる。
今回のバットマンは事前に言われているとおり探偵である。
もちろんアクションシーンも沢山あるが、そこはメインではなく完全にサスペンス映画。
アクション映画を、期待して見に来た人には合わないかもしれないが今までとは違うバットマン像、かなり新鮮だった。
その他
・キャットウーマン、いいね!(小並感)
・3時間ハラハラしっ放しで長さは気にならなかった
・ロバートパディンソン、めっちゃ嵌ってた!凄い。
新たな伝説の始まりか?
試写会に外れた(;_;)ため、公開初日のレイトショーにて鑑賞。
ぼくはノーラン信者なので、この作品の予告を観た時、ダークナイト・トリロジーを超える作品は作れないだろうと思っていた。甘かった。
作品の目指す方向性が違うと言ってしまえばそれまでだが、ホラーか?と思わせる画作りと手作り感満載のバットマンにしびれる。安っぽいわけじゃない。説得力があるのだ。若きブルースの理想と現実に苦悩する姿に胸を痛め、美しき相棒セリーナに酔った。静と動のリズムが心地よい。3時間近い長尺にも関わらず時間を忘れた。
ブルースの存在感が薄いなと思ったが、考えてみればバットマンになって2年目だから、コスチュームをまとっていてもバットマン=ブルースなのだ。存在感が薄いのは実はバットマンなのであった。
重い雰囲気のストーリー
こいつら皆んな狂ってる
ザ ・ハードボイルド・バットマン
監督が変わるにつれリアルな作風になってくるバットマンだけど、今回は残虐犯リドラーの暗躍を縦軸に、災厄の町ゴッサム・シティの暗部を横軸に、バットマンを私立探偵役とした50年代風のハードボイルドタッチでのアプローチが面白く感心しました。画面は終始暗く、常に雨が降って陰鬱な雰囲気のゴッサム・シティは、まるでダシール・ハメットの『血の収穫』に出てくる悪の街そのものです。バットマンが捜査を進めるにつれ、自分の父親の過去が関係していることがわかってくるのも、なかなかスリリングです。もう、こうなると主人公は内省的な青年でよく、バットマンである必要すらないのが痛し痒し。また、脚本は非常に凝った作りでよく出来ているけど、3時間の長尺はさすがに長すぎで、終盤でストーリーが息切れして、終わり方もなんか呆気なく盛り上がらないのは残念。次回は、せめて2時間半くらいにまとめてほしいです。役者では、ロバート・パティンソンはまあまあ、ゾーイ・クラビッツは華があって魅力的なファムファタル振りがいいし、ポール,ダノの怪演ぶりも凄いです。でも、なんと言っても衝撃なのは、ペンギン役のコリン・ファレル!原形を止めない特殊なメイクにもビックリなんだけど、アル・カポネ役のロバート・デニーロをほうふつする演技でした。
この重い世界観の継承、私は好きです
好みは別として誰もが認める〝天才〟クリストファー・ノーラン監督が作り出した『ダークナイト』の世界観。
私なりの解釈をひとことで言えば、
圧倒的な恐怖への服従を迫られた時、それに対してどう向き合うか、そしてあなたならどう行動するか。
権力の中枢に近い警察や検事などの公僕。
彼らの立場にいれば、たとえ悪であっても、長いものに巻かれることを選択できます。
しかし、家庭環境や経済環境に恵まれず、社会から取り残された人たちには、そもそも選択すらできない。
寄らば大樹の陰、という言葉もありますが、身を隠すことのできる樹木だってない。ならば、自分が〝圧倒的な恐怖〟の対象になるという選択肢しかない。でなければ死ぬまで虐げられたままでいるしかない。
かなり極端な言い表し方になりましたが、シンプルに分かりやすく言えばそういうことなのだと思います。
結果として社会から産み落とされる悪を制するために、バットマン=ダークナイトという正義の側の〝圧倒的な恐怖〟が存在することになる。
大いなる力には大いなる責任がある。
真っ当なことを真っ直ぐに訴えてくるスパイダーマンが太陽だとすれば、正義の鉄槌を恐怖によって下すことは正しいのだろうか、そもそも恐怖をもって振る舞う力を正義と呼べるのだろうか、といつも何かしらの苦渋を抱えて戦っているバットマンは明るいけれど満ち欠けのある、そして自分だけでは光を放つことのできない月のように思えます。
重厚なストーリー。でも、とにかくバットマンがカッコイイ‼️
DCEUとは別路線の新バットマン。作風としては「ジョーカー」に近く、暗く重い雰囲気が終始漂っています。
バットマン自身、過去作と比べても特に暗く、世の中の苦しみを一身に背負ってるかのような影のあるキャラ設定となっています。
舞台はほぼ夜。陽の下でのシーンは皆無です。
アクションは比較的地味で、意外と雑魚キャラにもダメージをもらっちゃうバットマン。
しかし、そんなところが逆にリアリティーがあり、立ち振舞いやなんかひっくるめて、今作めちゃくちゃカッコいいバットマンとなっています。✨
ストーリーとしては、市長候補が殺される事件が発生。そこにはバットマン宛の手紙が添えられていた事から展開していきます。
権力者達が次々と殺されていくわけですが、実は皆汚職にまみれた人物ばかり。
相変わらずゴッサムシティは腐ってます😅
そして、今作のメインヴィランとなるのはリドラー。
謎なぞが好きなこのキャラは、一見ふざけたヴィランという印象があり(ジム・キャリーのせいかな?w)、リアルな世界観には合わない気がしていました。
しかし今作のリドラーは、殺人の都度謎を残していき、腐敗した社会の権力者達を始末していくという知的殺人犯という立ち位置で、見事に世界観にマッチしていました。
現場に残された謎を解き、事件の真相に近づくにつれ、思わぬ真実にたどり着くという、一般的なアメコミヒーロー作品とは別物のサスペンス感の強い作品となっています。
それでいて、ペンギンやキャットウーマンといった主要キャラも登場し、しっかりバットマンという作品が成り立っています。
3時間という長い時間ではありますが、重厚なストーリーが詰まった作品でしたね。
雨のゴッサムシティー。
前半の雨のシーンが印象的だ。
ゴッサムシティーの真っ暗な空から、大粒の雨が、殺伐とした風景に降り注ぐ。
今回は、超人というよりも、人間的なバットマンだ。自らの生い立ちに苦悩するバットマンが、静かに描かれていく。
ストーリーはミステリー仕立て。このあたりは、賛否が分かれるところかもしれない。
面白いか、面白くないか…で言えば、ちょっと微妙なところがある。
人間的で、少し弱いバットマン。これが見たいかと言えば、見たいとは言えない…ということになるかもしれない。見たくないかと言えば、見たくないのかもしれない。
やはり、ヒーローとしての苦悩はあるが、人の見ているところでは、あくまで強くというのが真のヒーローの姿だ。
このスケール感と、正義対悪というテーマは、ハリウッドでしか描けない。
3時間の、ちょっと間延びしたバットマンよりも、こんな時代だからこそ、本物のヒーロー像を描いてほしいと思う。
次回作に期待しましょう。
『ジョーカー』へのダークすぎるアンサー
それはBADMAN
未だに「ダークナイト」を見ていない、アメコミ知識が皆無なサプライズ。本作が公開されるにあたって見ておこうかなと思ったが、これはリブート作品ということなのでここはあえて見らずに鑑賞。それもあってかどんなものを見せてくれるのか期待大。めちゃくちゃ楽しみにしていたのだが...。
これはない。よろしくない。
シンプルに面白くないし、全然楽しくない。
期待がかなり高かっただけに、超肩透かし。
ロバート・パティンソンはめちゃくちゃカッコイイし、雰囲気もたまらなく良くて終始上品さは素晴らしい。アクションは音響が凄くて驚き、興奮。中盤とかは結構面白くて好きだったんだけど...。
まず、序盤が全く引き込まれない。
「終わったな、これ」と初っ端で思ってしまった。キャラクターの魅力はゼロだわ、ストーリーに興味がわかないわで期待していたことに後悔。基盤はいいから絶対に面白くできたはずなのに、変に難しかったり作りが甘かったりで残念なものになってしまっていた。
説明不足が否めず、急に話がぶっ飛ぶ。長さを感じさせなくはあったけど、3時間かけて何してたんですか?って感じ。重厚感は半端ないのに、結果的には何が言いたかったのって感じ。ただ淡々と謎解きを解いていて、カーアクションシーン以外は盛り上がりにかけていた。ラストも納得がいかず、不完全燃焼。
他にも、キャラクターの名前を覚えにくかったり、コリン・ファレルの無駄使いだったり、キスすることが意味わからなかったりで不満点満載。セリーナの服装ダサかったり、語り口調が辛かったりしたけれど、特に酷かったのが悪役。ネタバレになるので言えないけど、これほどしょうもない悪役が居るのかとある意味驚いた。
んー、、、なんでこうなってしまったんだろう。
サスペンスものとしては出来が悪いし、ヒーローものとしても微妙。ここまで評価が高いのが私にはどうしても理解できません。バットマン好きだったら面白いと感じるのかなぁ...。ショック過ぎる。ダークナイト見よっ
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