劇場公開日 2022年3月11日

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「異物としての存在感」THE BATMAN ザ・バットマン 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5異物としての存在感

2022年4月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

コリン・ファレルの特殊メイクが『ディック・トレイシー』でのアル・パチーノやダスティン・ホフマンのようで本作におけるアメコミ感の象徴みたい、ダニー・デヴィートに敬意を称した姿の変わりようでのペンギン役か、タトゥーロの役柄はティム・バートン版『バットマン リターンズ』のクリストファー・ウォーケンを想起させる感じも、リアルに『ジョーカー』の世界観を彷彿とさせながらもラストの洪水含めて『バットマン リターンズ』が印象深くなる。

ニルヴァーナのカート・コバーンを重ねたブルース・ウェインの人物像はロバート・パティンソンにピッタリでありながらグランジやオルタナティヴよりも、エモーショナルのイメージが強いバットマンでありブルース・ウェインかと、劇中で流れる『Something In The Way』との相性が抜群であるにしても。

劇的にテンション上がる派手な登場シーンは皆無な本作でのバットマン、気付いたらその場所に佇んでいる普通の感覚に違和感と少しの失笑、カーアクションが迫力満点の割に相手はあまり物語と絡まないペンギンのキャラを活かしきれない呆気なさ、リドラー役のポール・ダノは『プリズナーズ』の方がイカれていた。

これだけ現実世界をリアルに描く意識が強いアメコミの映画化になるのならば、本作での謎解きサスペンスからのダークでノアール風味を持続させるシリーズ化をコリン・ファレルのペンギンやジョン・タトゥーロの役柄を踏まえてギャング色の強い物語をスコセッシやコーエン兄弟あたりに撮らせても良いのではないか、ラストのバリー・コーガンを無駄にはしてほしくない、不気味にスパゲティを頬張る最狂ヴィランが登場したら『ダークナイト』を超えられるかも??

万年 東一