「勝つことがゴールではない」ドリームプラン bionさんの映画レビュー(感想・評価)
勝つことがゴールではない
やはりスポーツ物のラストは、こうじゃないとね。ほんと熱くなって泣いてしまった。
でも、自分の中で一番盛り上がったのは、姉妹の母であり、リチャードの妻であるオラシーンの強烈な一撃。独善的でビーナスの全てをコントロールしようとするリチャードに堪忍袋の緒が切れてしまうんだけど、あまりの剣幕にリチャードは逃げようとする。オラシーンは、逃げることを許さずリチャードに追撃を放つ。その追撃が、あまりにも芯をくっていたので、とにかくスッとした。リチャードもリチャードで、あれだけ立派なこと言っていたのに、そんな事実があったなんて。
それくらいリチャードにイラッとしたのは事実。ただ、リチャードが生まれ育ったルイジアナ州で白人にリンチなどにあうなど人間の尊厳を傷つけられたことを考えると、リチャードの考え方もわかる。貧困から脱出して、リスペクトされる人間になるためには、教育が大事であり、良い環境に引っ越すためには、お金も必要。偶然にも運動神経のよい子供を授かったなら、それにかけるしかない。
ビーナスが、ジュニア大会で浴びた周りからの冷ややかな目が、とても印象的だった。公然とした黒人差別意識がある中で、成功するのは並大抵のことではないと思う。リチャードが単なる経済的な成功をゴールにしていたのではなく、黒人の地位向上と全世界から尊敬されるスポーツ選手を目指していたことが大きい。
勝負が終わったら勝者も敗者もなくお互いに健闘を称え合って、謙虚でなければならない。いいこと言うよね、パパさん。
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