「来るもの拒まずでパワフルに打ち返してくれるオープンスタンス!」ドリームプラン とぽとぽさんの映画レビュー(感想・評価)
来るもの拒まずでパワフルに打ち返してくれるオープンスタンス!
観客の心にストライク…?正直、比較的成功への道筋・軌道に乗ってからの方が本作の大部分を占めるので、話的にはトントン拍子な印象を受けたり、作中の葛藤も"作った"感を受ける瞬間もあったりしたけど、本作におけるそれはスポーツ伝記映画のフォーマットに挑んでいる気がした。つまりコートに立たない時間、"試合をしない"ということにある種の主眼テーマを置いていたこと。試合シーンも迫力あって面白いんだけど!親の支えと忍耐・我慢強さについて教えてくれる。
謙虚さについての教育もよかった。一方で「無料なものに手を出すな。無料なんてない、裏がある」…みたいな発言シーンは彼のバックグラウンド踏まえてなるほどな~と共感・関心したけど、その後すぐコーチにウィリアムズ家族側から契約書出して様々な物品をねだり出したときに頭の中「?」となった。確かにそれらはビーナス&セリーナ姉妹が勝ち得たもの、相応な見返りとも取れるけど、最後まで自分の中で違和感拭えなかった。
感情的にも満たされるし、何よりやっぱり主演/製作のウィル・スミスの演技が始終引っ張る!!
一見飄々とした印象も受けながら、自身の出自も相俟って確固たる子育てに対する価値観を持っていて、それはテコでも動かせない。決して変えられない。だってあんなに過酷な状況で、叶うと疑うことなく(少なくともそれを子どもたちには見せない)夢=プランに向かって突き進むなんて誰にでもできることではない。ある意味で、まさしく"狂人"。人としても正しいことをしているように思える真っ直ぐさ。これは確かに賞レースを賑わせ、『ALI』『幸せのちから』に次ぐノミネート最有力からの念願の受賞もありえそう(ベネディクト・カンバーバッチも応援したい)。
とりわけアカデミー賞はハリウッドにおける人気投票というか人脈やそれまでのキャリアにおける功労賞的な部分も加味されている気がするし、あと彼らはスターのカムバックが大好き(ウィル・スミスはずっと第一線だけど賞レースに絡むのが)!…という点なんかも含めて、個人的にはどうしても『マネーボール』のブラピのこれまた飄々とした大名演を思い出してしまった。同年ブラピを退け主演男優賞受賞したのは『アーティスト』、近年アカデミー賞を代表するであろう取り逃し!だからもし今回ウィル・スミスが獲ったら「あのときのブラピは…?」となっちゃうんだろうな。
去年から見たかった作品、残念な邦題にはなったものの試写会で見た。アカデミー賞ノミネート前に見られてよかった。ジョン・バーンサル好き。
P.S. エンドロールでサウンドデザイナーかなにかの箇所でRichard Kingって名前見つけた。
♪I Shall Be Released