「さながらジャスティン・ハマー」モービウス エカシムロさんの映画レビュー(感想・評価)
さながらジャスティン・ハマー
ソニー・スパイダーマン・ユニバース(SSU)としてはヴェノム2作についで3本目になる。前2作についても感じていたが、今回のモービウスで確信に変わった。これは映画であっても作品ではない。ただの大企業による金儲けのための製品だ。時代に則したテーマ性も映画としての挑戦や野心的な試みなど殆どない。
ヴェノムといいモービウスといい『人を喰らう血に飢えた怪物』なのに、相変わらずレーティングを下げるために血は画面から排除される。今回は全く映らないわけではないが、鮮血ではなくやたらと黒く、量も申し訳程度だ。例えるならセックスがテーマの映画で、ブラを付けたまま前戯も無くシーツに包まる濡れ場を延々と見せられるようなもん。その程度の覚悟なら最初から作るなよ、と言いたい。
ライオット、カーネイジ、そして今回とヒーローとヴィランは鏡像…どころか能力まで同じであり、とりあえず派手なカメラワークでくるくる入れ替わりながら戦う毎度の展開。能力が同じなのでそこに駆け引きなどは無く、バトルになるとドラマは止まってしまう。ただ派手な画面を見せられているだけでストーリーが進展しない。少年時代のドラゴンボールZの尺稼ぎのバトルシーンを見ているようだ。
そしてエンディング間際に「次はこういうキャラがでます!続きがありますよー!」とやたらと情報を入れてくる。MCUでも続編へのフックはやっている事ではあるが、SSUはやはり模造品というか、入れ方がなんか露骨で安っぽいのだ。
そう…MCUがトニー・スタークだとしたら、SSUは自分にも同じ事ができると思い込んでいるジャスティン・ハマー(アイアンマン2)といったところか。もっとも今のところ、MCUというよりも1作で終了したダーク・ユニバースの後を追ってしまっているように見えるが…。
p.s.トゥームスさん、チタウリの残骸がないあの世界で、どうやってヴァルチャーの装備作ったの?