「健康な身体への渇望」モービウス bionさんの映画レビュー(感想・評価)
健康な身体への渇望
ジャレッド・レトは、長髪でヒゲの風貌が一番あってる。『ブレードランナー 2049』でも『リトル・シングス』でもゾッとするようなサイコを演じていたけど、今回もモービウスそのもの。
残像が残るエフェクトがとても気に入った。
モービウスの着ている囚人服が空間にオレンジ色の軌跡を残す。自身が発する超音波で周りの空気が揺らぐ映像と相まってとんでもないスピードで動いているように感じる。IMAXで鑑賞していることもあって、体感ムービーとしては文句なし。
モービウスは、遺伝的病気のためロフストランドクラッチを使わないと歩けない。その上、人並みの寿命も期待できない。そんなモービウスが、医療論理を超えた治療法に望みをかける気持ちは、ものすごく理解できる。
モービウスと同じ病気を持ち、幼い頃からの親友マイロの存在が物語を面白くする。マイロは大金持ちで、モービウスを資金面でも精神面でもサポートするが、健康な体への渇望が暴走へと走らせてしまう。
悪人の血はいただいてしまうくらいダークさがあった方がもっとよかったと思うが、単体の作品としての十分見応えがあるし、SSU(ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース)としてもこれからの展開が期待できる一作でございました。
コメントする