泣く子はいねぇがのレビュー・感想・評価
全20件を表示
この日の思いを胸に生きる
地元なまはげ祭り
酒の勢いにのまれ失敗し過ぎた男、たすく
この夫と生きるのはもう無理だと決めた嫁、ことね
前兆は既にあった
たすくがあやすが泣き止まない我が子・凪を
ことねが交代し
凪にいう
ー怖かったね、もう大丈夫
茫然とするたすく、。。
もう夫婦はグレーゾーンに居た
いや正確にいえば、ことねは居た
ーなにへらへらしてんの?
ーごめん
つかれきった嫁の顔
ーいつか限界になる
うっすら笑うたすく
ーなーんも考えてないっしっょ
とうに2人の雲行きを感じ取っている義父もたすくに言う
ー空っぽになったらおしまい
ー飲まないよね?
ことねのそらさない鋭いまなざし
たじろぐたすくに
なまはげ様も神様も仏様も
そっぽをむく
自分でつくり、生み出し、にぎらなければいけないこの男にないものがみえる
自信のかけらと誠意のしるしだ
100歩どころじゃなく譲られたなら守るべき責任があった祭りの席
伝統行事の後継をのぞむ夏井のことばや地元ならではの盛り上がりにたすくは自分の居場所と役目を感じとり、持ち前の明るい思考でたすくは勢いをつける
そしてついにあの時のことねのまなざしを忘れた
波ざわめく夜
太鼓の響き、なまはげが威勢よく脅す声、ちいさな子供の叫び声
路上ではテレビの生中継で雄弁に語る夏井
そこに千鳥足で横ぎる全裸のなまはげ・たすく
凪をあやしながらみえた画面に固まることね
見覚えしかない終焉の後ろ姿
最悪すぎた
終わった感しかなかった
離婚されたたすくは東京に居る
新しい環境にいても取り返しのつかない過去を引きずり、うだつの上がらない空虚感が漂う
知り合いの女の子に誘われても煮え切らず情けない男に思われたり、志波とでかけた居酒屋で夏井がなまはげついて謝罪してる番組を目にしたり、義父が亡くなりことねは水商売をしているときいたり。ハズレのおまけで因縁をつけられたりと運まで悪い
志波との会話では
ー全員 他人だや
と、孤独感が出ている
ーお前父親だろ?
といわれ、
ーいや、お前に関係ないから
と、投げやりにもなっている
空気の悪さはmaxだが幼馴染は見捨てない
そのまま明け方の公園
ー楽しいよ、こっちは
あまりに嘘だ
志波にもカラスにも見抜かれているたすくの本心が
間もなく夜行バスで
兄と母がいる実家に向かわせる
あの件以来なのだろう
ーいろいろごめんね
たすくが絞り出した言葉を
そらし、晩飯の支度に立つ母のやさしさ
許し切れていない兄は素気なく
ーお前はいいな好き勝手に生きれて
ーみんな忘れようとしてくれている 余計なことをするな
とののしる
笑うたすく
笑ってしまう、これがいけないんだよ たすくくん
ー端からみたらそうなの
兄だからこそ、怯まずはっきり言う。アレが、とりかえしのつかないことだったことを
志波が仕事中の赤い屋根の上
ー男鹿にも東京にねぇもんいっぺえあんだろ
志波はたすくが大すきだな。
こんなたすくだけど、そばにいてほしそうだ
たすくはそれほど気にしていないが、志波がそれをたびたび口にするのが二人の関係っぽい
ながまだまだたすくはことねへの未練で頭がいっぱいでようやく見つける
ー何しに来たの?
ーあなたみたいに、バカなことしない
ー私 再婚するの
去ることね
立ち尽くすたすく
ー止めてほしいようにみえた
志波にそれを報告するたすく
いや、みえなかった
ことねの、たすくを好きだけど、違う人生を行きますという固い意志だけがみえたよね?
みえたけど?
たすくは、純粋で鈍いのだ
絶望的場面の単独な前向き感をきちんとキープする
そして持ち前の人間らしい泥臭さで、志波がかかわってるちょっとあやしい密猟商売に片足をつっこみながらも、ことねと凪への金を貯めはじめる
あやしい経営者が言った怖い言葉
ーみんなのなまはげ
わわわ〜ぞっとした
知り合いだらけの田舎で、なまはげの災いが脈々と生きているとしか思えない
そして、
ー東京にねぇもん
いっぺぇ あんだろ
志波がまたまた伝えたい、ふるさとには捨てない繋がり
役所で久々の夏井に見つかり
熱く叱られながら、たすくはすごすごと立ち去ってしまう
夏井、めをつむり上をみあげる
お手上げの情けなさかみしめてたな
だめだなーたすくくん
そこもだめだめなんだよ、きっと
ことねはパチンコ屋でたすくの母をみかける
妊娠以来のタバコ復活だというせつ子のストレスを感じたのだろう、涙目になることね
ーお義母さん、私…
ーだいじょぶだぁ
言葉をさえぎりうなずくせつ子
だめ息子の元嫁の決断に理解と尊重を義母は表した
少し気分が晴れやかになったのか、義母に安心を与えるためか、ことねは明るく手を振り去る
反対に思いの募った表情がそのまま佇むせつ子から漏れる
数日後、たすくと一緒に居たアイス販売の仕事先で倒れたのは心労が原因だよね
ことねが聞きつけ心配してあらわれたすくに再会
たすくは嬉しくて明らかに態度が緩んでる
素直すぎる
許される予感でもしたか?
車の中で話すことねの目は変わらず冷静でたすくを君と呼び心の距離をとっている
謝罪とチャンスを乞うたすくに
ー決めたの
君じゃないって
ーその「君」ってやめてよ
ー忘れてほしい
ーもう生きていける
車から出るバタンの音が
おしまいと言った
ことねは前向きに、生活していく手段をかんがえて支度していた
あれからなにも進展なしのたすくとの差はっきり
ことねの見極めはただしかったと思う
たすくは凪をみたくてこっそりとお遊戯会へ
ことねは今後のだんなさんといる
しかし、自分のこどもがわからない
これが現実なのだ
ふがいなさの沼に居るたすくは父の遺品の材料で彫ったお面でなまはげになることを決める
居合わせた志波が着替えを手伝う腐れ縁がなんともあたたかなシーン
(親父の撮ったビデオテープ、みつけた感動も束の間。。。しかし兄弟の笑顔、そして兄の本音と涙。これもあたたかかった。)
なまはげたすく、夏井率いるなまはげたちにでくわし、とがめられるが志波が夏井をおさえこみふりきる
向かう先は。。。
(真剣に教えようとするこんな先輩がいるって、ありがたく貴重ですよね)
クライマックス
東北の凍てつく夜の雪
だめだめなたすくなまはげのがんばりどころが来る
むすこ凪のもとへ
ガラス越しすぐに気づいたことねは
お面の奥の目をじっと見据える
この無言の二人の目と目の演技に
しびれた
凪にあいにきたたすくの気持ちをついに認め、団欒の声がする室内に通してくれたことね
ここを通しても揺るがない母としての強さが
新しい結婚指輪に一筋の哀しさ以上のものを宿らせていた
ことねの新しい居場所
親戚一同がぐるりと囲む立派な座敷に
新しい父の膝でおびえるちいさな凪
たすくが凪の名を叫ぶ、全身全霊で
愛を込め
自分みたいになるなを込め
ことねを頼むを込めたか
激しいなまはげの雄叫びに泣きわめく凪
おそらく最初で最後だろうが
凪の産みの父としてのなまはげになれたたすく
この日の思いを胸に
きっとまた憎みきれないたすくらしく周りに愛され
何度もくじけながら
前向きに生きていくだろうとおもった
仲野太賀、吉岡里帆
憑依したようなたすくとことね
人間らしい愛と涙の感動の一作です
長くなりました…
田舎は閉塞感とやり直しのきかない社会
ダメ男がデキ婚するものの、やっぱりダメで、なまはげの時に泥酔してお面をかぶったまま全裸で徘徊しているところがTV中継され、それが原因で秋田にも居れなくなり東京に行く。
東京でもパッとせず秋田に戻ってくるものの、やり直ししたいが親友以外は誰も相手にしない。
全裸事件でなまはげの存続も危ぶまれるほどだったが、それを無視して離れた娘のところになまはげの格好で行く。その仮面をつけないと娘に会えない現実。ダメ男は分かりながらもそれしか方法がないので、招かざる客にもかかわらず再婚相手の家に押しかける。
救いようがないダメ男は結局なにをやっても空回りをする。仲野太賀はそんなダメ男を演じさせるとピカイチである。仮面越しで接する子どもたちに仮面の内側の人格は何も求めないが、それによってなまはげには厚く敬う。人格ではなく、仮面を敬うと言ったらいいだろうか。
民俗文化の伝承モノかと勘違い
水曜日のメンズデイにいつもの映画館で
上映終了終演後振り返ったら観客はそこそこいた
先週のヤクザと家族の残念をリカバーしたかった
チラシは見ていたが
民俗文化の伝承モノかと勘違いしていて当初ノーマークだった
タイトルからオラの県モノだろうしな と思ってちと下調べ
監督は秋田県人 おまけに是枝監督が絡んでいると
これは観るしかない
結果は上々
今年のオラの10本に入ると思う
いろいろうまくいかない主人公がどうにかこうにか
ニヤニヤしながらダラダラ生きていく
主人公のアホ面がたまらない
ちょっとした秋田弁のあいさつとかがかなりリアル
市役所の居眠り職員とか 警察署員とか
エピソードのひとつひとつが可笑しい
なかでも兄弟が唯一心を通わせて爆笑するエピソードが最高だ
FUJIFILMの重ね録り
その後の展開のもの悲しさとの落差もいい
あとは車で女子たちを送る仕事についたときのシーン
真ん中の女子が発する言葉は次の世紀に持っていきたい
保育園で見せる主人公の表情は可笑しさと悲しさの表裏
柳葉敏郎は大捜査線の室井を超えるハマり役だった
あぁいうオヤジはホントにいる
というかホントに秋田に住んでるオヤジだからなぁ
監督自らの編集にこだわりを感じた
だいぶはしょられているのではないかと思うが
行間を想像して埋めるのも楽しい
白クマの意味とかはいまだによく分からんが
個人的に 幼児がぎゃぁぎゃぁ泣いている姿を観るのが好きだ
なまはげもそうだが泣き相撲のニュース映像も大好きだ
泣くと肺が強くなるとかいうこじつけも好きだ
で ラストシーン…最高
他にも思い出して笑えるシーンが多すぎて書ききれない
怪しい民宿のオヤジ まずい握り飯…
あぁ面白かった
エンドロール プロデューサーに福山雅治と
同姓同名かと思いきや是枝人脈か…
元が取れたのかが若干心配だが次回作もお願い致します
吉岡里帆、素晴らしい!
久々に観た「正統派の名作邦画」。
やや間延びし過ぎのシーンと、音声が聞き取りにくい点が残念だったが、邦画でもこのような奥の深い素晴らしいものがあるんだと、しばし余韻に浸れた。
前宣伝では吉岡里帆があたかも助演であるかのように見えるが、実際には出演シーンはごくわずか。
しかし、わずかであるにもかかわらず、彼女の存在感と演技には圧倒された。
車内でたすくに最後通告するシーンの横顔。
特にラストの無言でナマハゲを受け入れる時の表情。
どちらもどんギツネの可愛らしいアイドルチックな吉岡里帆からは想像もできない姿だが、それが凄く自然で印象的だった。
彼女のことをグラビア出身の見た目だけの女優と思っている人は、是非この映画で彼女の演技を見てほしい。
吉岡里帆でなかったら、この映画はここまで素晴らしいものにはならなかっただろう。
親になるということ
キャスティングが良かったなという印象がまず起こる。
主人公、たすく訳の仲野太賀、
悪びれてない、というより悪い役柄っぽさがつきづらいイメージがある
その一方で頼りない、情けない、力もないの「3ない」が
観る側に寄り添ったリアリティと、客観的に観たときのヘタレっぷりがいい。
友人、志波役の寛一郎は良かった。
一昔前の表現でいうと「悪友」、ただたぶん「親友」だと思う。
こんなに付き合いのいい友人は自分にいただろうかと思い起こさせる。
東京で会って喧嘩して一緒に喧嘩に巻き込まれて
地元に戻ったたすくに怪しい働き口を斡旋したり。
そのおかげで警察に捕まってしまうも恨みをぶつけることなく、
ラストもたすくに付き合う。友人ってこういう人のことをいうのかもしれない。
ただ何故か最近のこういった良作の邦画、
居酒屋でトラブル起こし過ぎ疑惑はある(笑)
「佐々木、イン、マイマイン」でもそうだった。
ほとんど笑みや笑顔を見せない吉岡里帆も新鮮だった。
目線が終始辛いなと主人公目線になって思えるほど。
主人公との関係性の揺れ動きも中盤~終盤あたりの
やや厳しさが緩和されたかなと思える海辺の車中のやり取りの
バランスが良かったなと。
また、なんとなく強要まではしないけど、断りづらい田舎の感じもリアルだった。
主人公の粗相になまはげの風習の運命が影響しすぎではないかと思う感じもあったけど、
田舎で文化の担い手が減っている中だとそれも起こり得ることなのかなとも。
終盤の主人公兄弟の会話が一番印象に残る名シーンだと思った。
それまではあまり描かれない二人の関係性が
無駄と無理のない中であのシーンの間だけで絶妙に変化していっている様、
もう昔には戻れないということを互いに確認し合うような
おかしさと切なさがあって、あのやり取りは秀逸だった。
ラストのなまはげシーンは勢いがあったのはいいけれども、
もう少しバランスを保った方が良かったかなと思った。
真っ先に娘の元に行っちゃってずーっと娘に張り付いていたので、
どラストとは言え、他の子どもたちにもやってあげようよって思ってしまった(笑)
独身で子どももいないけれども、
親になるというのはそんなに大仰なことでもないにしても、
その一歩踏み出すところがどれだけ大きいことなのかというのを
丁寧に描いてくれたのはありがたい。
立ち向かってこその責任
【あらすじ】
秋田の伝統行事であるなまはげを通して、その場所で生活する人間のリアリティを描いた作品。主人公の後藤たすくが初めての子どもを授かった場面から始まる。しかし彼は仕事もなく、また今後の展望もなく、妻のことねには離婚を匂わされ、生活の雲行きは怪しい。決定的に崩れたのは、招集されたなまはげ役としての地域行事の参加だった。そこで行事の存続に関わる失態を犯した彼は、自身の地元を追われることのなり、東京での生活を始める。
2年間の東京の生活はなんとなく過ぎていく。そんなある日、秋田の友人である男が訪ねてくると、元妻となったことねの近況を知らせてきた。キャバクラで仕事を得ているということを匂わせる話に、たすくは秋田に戻ることを決める。
彼の実家には母と兄が暮らしている。突然の帰郷に、訝しがりながらも2人は彼を受け入れる。しかし、何故今更戻ってくるのか、という兄の言葉に、家族や地域の彼への憎悪を感じ取る。
ことねに逢いたい彼は友人の手助けを得て見つけることに成功するが、彼女の態度は冷たく、さらには再婚する事実を聞かされる。その言葉に、自分が妻と子どもを養わなければという責任を感じたたすくは、あの手この手でお金を作ろうと努力を始める。しかし、ことねには今後会わないと宣告された上に、忍び込んだ娘のお遊戯会で、再婚相手との仲睦まじい姿を目撃し悲嘆にくれる。
たすくはどうしても娘に会いたかった。なまはげに扮して一人、再婚相手の家を訪ねる。ことねに正体を見破られつつも、中に入るとそこには娘の姿が。たすくは幸せそうな家族の団欒の中で絶叫する。
【感想】
責任というのは、何かに立ち向かって初めて、受け入れる態度として示される。そんな風に考えた。たすくは歳の割には幼く見え、決して人当たりが悪い人間ではない。むしろ、争いを避けようとごめんと謝り、ちょっと誤魔化そうとしてへらへらとした笑いが出てしまう、平和的で愉快な人間。しかしその緊張感のなさは、時と場所によっては受け入れられないものかもしれない。
僕たちは常に正しくありたいと思う。楽しく生きたいと思う。嫌な感情や緊張感のある場面には出くわしたくない。けれど、生きているとそういうものから逃れていきていくことなんて出来ないくらい、そんなことがあまりにも溢れている。だから、つい目を背けて生きてしまう。嫌なものから心の距離を取ってしまうのだ。そうしていくうちに、人生への態度には、真剣味というのが薄れていくのかも知れない。
そうして生きるたすくが映画の最期に得たのは、仮面越しに見る他人に抱かれた娘の姿である。彼は自ら離れた責任を、取り戻すことは出来なかったのである。
子どもができるということは、責任という言葉とよく結び付けられる。地方では、地域社会との関係が密になりやすい分、そもそもその前の結婚という段階で、周囲の目線が物語ってくる。僕自身が地方に住む独身者であるから、たすくの置かれた環境がすごく身近なもので、彼への冷ややかな視線が僕自身にも痛いくらいだった。
映画の中では何度か「他人」という言葉が出てくる。他人のくせに、とか東京はみんな他人だよ、とか。その他人の中で生活するたすくは結局、「忘れられなくて」戻ってきてしまう。これほど言い古されてきた言い方もないくらいの、田舎と都会の関係なんだけれど、それはやはり個人にとっての事実で、しかもそれは身をもって経験しないことには分からないものなのだ。映画だけ見ればなんてことはないストーリーではあるかもしれないのだけど、彼への「いそうな感じ」というのは、なかなかに、今を生きる人間のリアリティを示しているように感じた。実際、今僕は胸が痛い。
なるほど
一度の失敗をあんな犯罪者みたいに言われるのは可哀想に思えた。
地方ならではなのか?
酔ってたし笑って許すことも大事だと。
そりゃ逃げるわ。
吉岡さんステキ!
太賀くんもよかった!
泣いたシロクマ
2018年にユネスコ無形文化遺産の「来訪神:仮面・仮装の神々」として「男鹿のナマハゲ」が登録された。日本人のほとんどが知っているナマハゲ。今では衰退しているのでぜひとも保存してもらいたい伝統行事の一つ。生の禿だと思っていたが、実は“神”なのだ。子供を怖がらせることによって、親が子を守るという重要な要素もある。同じ年に石川県の「能登のアマメハギ」も登録されたようだが、石川県人の俺も知らなかった・・・
「神なんだから何してもいいじゃん」などと言う人もいたが、ストリーキングはやりすぎ!まぁ、テレビ中継されたために秋田に居られなくなった太賀演ずるタスク。初めての子ども凪が生まれたばかりだというのに、離婚の決定打となってしまったどうしようもないダメ男タスク。地元を離れ上京するも、趣味のサッカーを続けながら人生の目標さえ見失っていた。で、仕事は何をしてたんだよ!タスクという名前すら冗談みたいに思えてしまう・・・
そんな時、サッカー仲間(マネージャー?)の女子(古川琴音)といい仲になりそうだったのに童貞扱いされる始末。その後に「シロクマ効果」について教えられるが、結局嫌われてしまったようだ。このシロクマ効果。「シロクマのことだけは絶対に考えないでください」と言われるのに余計に考えてしまう皮肉過程理論のこと。おかげで別れた妻や娘のことを思い出してしまったのだろうか。再び故郷に戻ることになってしまうタスク。
人間関係の面白さもさることながら、徐々に失った家族のことを一途に考えるようになるというストーリー。琴音の親のことだとか、全く興味がなかったのに死亡を伝えられてますます未練がましくなる様子。「いつまでもあると思うな、親と金」といった言葉にもテーマが隠されていたし、未熟な精神のままで大人になることの厳しさなども訴えてくる。
さらにコミカルなシーンも多く、笑っちゃ不謹慎だと思われるところにも噴き出してしまいそうになりました。個人的に一番ウケたのはキャバクラ店長。「ちょっとお願いがあるんですが」を何度も繰り返すシーンは夢に出てきそうなくらいインパクト大。風俗や卑猥な建造物といったものまで、世の中を風刺している感もある。親友のサザエ密漁だとか、先の見えない不況も皮肉っていたのかもしれません。
感情の高ぶりMAXとなる終盤では、再婚も決まった琴音を諦め、実娘である凪への思いが爆発する。面の下の涙はこういう意味だったのかと、ダメ男なのに感情移入してしまい、子を守る親というナマハゲの本質を教えてもらった気がした。ほぼスッピンの吉岡里帆も良かったし、生の秋田弁・柳葉敏郎も観ることができたし、寒い中で“ばばヘラアイス”を売る余貴美子も最高でした。やっぱり純な性格のため、愛すべきダメ男。これは太賀の代表作になること間違いなし!佐藤監督も将来が楽しみ。
男の純情(対話劇風評論)
😊たすく
評価ありがとう。この映画で一番幸せだったのは佐藤監督と出会えたことっだったっす。
😁ソルト
貴方の成長は見事なまでに、スクリーンに映し出されていました。最後のシーンは涙無くして見れませんでしたよ!
😊たすく
最初のなまはげの全裸疾走で、こっちは大変だったすけど、つかみはOKだと思わせる冒頭シーンだったでしょ?
😁ソルト
東京でのシーンはなにか居心地悪そうな感満載で、こっちまでいやになる位都会の華やかさ感はなくて暗かった。秋田に帰ってもなんか謝罪ツアーみたいで、大変だったですね。
😊たすく
かあちゃんと仲間の秋田美人たちはすごいでしょ?だいぶ救われたし、一番の親友がいろいろ話のってくれて救われました。
😁ソルト
ところで凪ちゃんに会って、学芸会でもう別な家族が生まれてるんだって感じた時、自分の中で何か吹っ切れたみたいだったね?
😊たすく
そうですね。自分もいろんな馬鹿やったっすけど、ここが男の一番の我慢しどころ、家族のために次のステップへとふっきり、子供っぽい態度や考えがどこか遠くなった。男一番純情で秋田で頑張ります。
😁ソルト
いろいろ楽しませていただき、ありがとうございました。
男の純情一巻 終了なり
ダメな男があがく映画にやられがち
秋田県男鹿市を舞台に、なまはげ行事に参加していた主人公が経験する様々な苦しみを描く物語。
主人公たすくがとにかく情けないし、ダメな男。酔って裸になって町中を走り回るし、東京に逃げちゃうし、戻ってきても犯罪まがいのことやっちゃうし、とにかくシャキッとしてない。たしかに秋田っていう問題もあるかもしれない。雇用のなさや閉塞感みたいなものも影響しているのかも。とにかく、たすくのダメさ(男のダメさ)を受け入れられないとすべての観え方が変わってくる気がする。
元妻に言われる言葉、再婚相手と仲良さげに話してる姿、そして何より会いに行っても娘の顔がわからないこと、こんなことのすべてが心に刺さって苦しかった。
そして、そんなことがあってのラスト。面をかぶって娘の前で叫ぶたすくの姿に心を締め付けられた。あー、こんな悲しい終わり方あるか。大人たちみんなが笑ってる中、娘とたすくだけが泣いているような結末。ものすごく荒削りな印象の映画だったが、心をえぐられてしまった。
とっても個人的な意見(偏見)だが、この映画は満たされている人生を送っている人にはなんら響かない。今までの人生がうまくいってなかったり、辛い思いをしてきた人間が少しでも救われるための映画だ。
遺したものと遺ったもの
先日、東京で出版社を営むある秋田県出身者と語らう時間をいただいた。
その方曰く、「秋田には何にもないけれど、表現者を惹きつける何か磁力のようなものがあるんだよ」とのこと。
その話を聞いた部屋の外に、何かを言わんばかり「泣く子はいねぇが」の宣伝ポスターが貼られていた。
秋田県出身の佐藤監督も、その磁力に抗うことのできない表現者の一人なのだろう。
見慣れた男鹿半島の風景が、主人公のたすくと琴音を縛り付けて離さない映画であった。
仕事もない、世界的な文化遺産であるなまはげも、継承者の不足から下火になりつつある。登場人物たちが練り歩き、徘徊する街並みは、ゴーストタウンかとみまごうほどだ。
それでも、この地にしがみつき、何かを遺そうと奮闘する人々の姿が切なかった。
たすくは何かを遺すどころか、琴音との間にうっかり子どもを遺してしまい、その現実に戸惑い、薄ら笑いを浮かべてなすすべなく生きている。
父が心血注いで遺したなまはげの面をかぶっての愚行は、もはや言い訳のしようがない大失態であり、故郷に汚名だけを遺した。
遺したものと遺ったものの間で、たすくがあがく姿は、結局最後まで何の結論もないまま、宙ぶらりんの状態で本編はぷつっと途切れて終わる。
佐藤監督は、観るものに問いを遺したかったのだと思った。それでもこの何もない土地で生きようとする理由はなんですか、と。
終盤、たすくとたすくの愚行の一因をつくった亮介(佐藤浩市の御子息だと観賞後に知った!)が起こした行動に、柳葉敏郎演じる地域のなまはげ保存会長が叫ぶ「おめがだ、何してぇんだが、わがんねんだよぉ!」(お前たちが何をしたいんだかわからないんだよ)という言葉には、世代間の隔たりも感じられて、最後の最後まで切なさと虚しさしか残らなかった。
早朝の空気の凛とした感じや、陽光と靄が重なって神々しさの感じられる海や山、草や藁の微かに匂う風の心地よさなど、隣市に暮らす自分にとっても、男鹿はとても魅力的な土地だ。どこかドライブに出かけようと思うと、自然と車を男鹿に向かわせてしまう。
彼の地には、確かに何か磁力が感じられる。先般、サンセバスチャン国際映画祭で最優秀撮影賞を受賞したカメラワークは、男鹿のヒリヒリとする空気感まで切り取っていた。「運動会」というタグがついた父の遺品のビデオテープを兄弟が見て爆笑する場面では、窓外の少し高い場所から、まるで父が「おい、観るな、やめろ」と言いたそうなアングルだったのが、この場面のペーソスを一層高めていた。こういう恥ずかしい遺産も、男鹿だなあとしみじみさせてもらえる。
吉岡里帆は、場面ごとにその目つきや顔つきが大きく変わる女を演じて見事だった。パチンコ屋で元義理の母である余貴美子と偶然出会う瞬間の座った目付きは、生活に疲れ果ててすっかりやさぐれてしまった男鹿の女だった。(実生活で何度も見かけたことがあるから間違いない!)しかし、その直後の別れ際の目つきや表情が一変する演技は、驚嘆の一言に尽きる。
ありとあらゆる悲しみを背負って、それでもなぜかサッカー日本代表のテーマソングを軽快に口ずさみながらババヘラアイスを売る母役の余貴美子が、本作の唯一の光明だった。男鹿で生きる女はああでなくちゃ、と常日頃感じていたことを体現していて、これまた見事だった。
確たる希望はない。けれど、そこで暮らしていきたいと感じる理由は何か、ということを、先人たちの遺したものや、自分たちが遺してきたものを受け止めながら考え続けたいと思わされる映画だった。
おら、おがで ひとりぬぐも(脱ぐでも抜くでも可)
秋田にはプライベートで3回行ったことがあります。一回目は男鹿水族館(40年前)。当時はシロクマはいませんでした。男鹿半島門前での夜釣り(電気釣り)20年前。磯田家という漁師民宿に泊まりました。火サスのロケ池だったようで、廊下は片平なぎさの写真がいっぱいでした。そして最近は男鹿温泉とカレイ釣り。
秋田は隠れた東北の歓楽街。本名(桜庭ことね)でキャバクラを探しても見つからないよね~ 凪ちゃんのことは考えないと思えば思うほど、会いたくなる。
白くまのことは絶対考えないでくださいと言われると、白くまが頭から離れなくなる 白くま効果。
ババヘラのことは絶対考えないでください。と言われるとババヘラが頭から離れなくなる ババヘラ効果。
ババヘラ 食べた~い
太賀出演の映画はこのところよく観ます。朴訥とした素朴な青年役。お人好し。ちょっとぬけてる不思議ちゃん。
酔っ払って、全裸になったことありますか?(セ○クス以外)。顔は隠せどカラダ隠さず けっこう仮面 か❗
芸能人水泳大会のVHSビデオで兄弟で同時に大爆笑。
親友と密漁(漁業権侵害)
でも、ほのぼのとして、いいね。
寛一郎は今まで観た中でも一番良かった。
サザエのおにぎりは東京じゃ、食えないべ。
柳葉敏郎 秋田出身 以外でした。
どうりで、熱かった。
余貴美子 横浜市出身 父親は台湾人 范文雀(サインはV)は従姉。
吉岡里帆は京都太秦出身
ことねに愛想つかされた隠されたエピソードは他にもたくさんあるんでしょうね。静で間の多いシーンがよかったです。シビアな里帆が良かった。
最後のシーンは後半残り15分ぐらいで想像出来ました。せつなすぎる。
なまはげは独身男性でないといけない決まりですが、若者が少ないので、オジサンがやっているらすいです。子供も少なくなって、伝統を継続するのが難しいらしいです。
女が正しい
吉岡里帆が正しい。
自分の甘さ、過ちで妻と子を失い、ずっと後悔し続け、諦められない男の物語。
この男、全く前に進んでいない、ダメダメな男である。
苦労しながらも前に進む女に比べてなんと惨めな有り様か。
きっと現実的に男女ってこんな感じなのだと共感した。
ダメダメなんだけど、あまりにも自分には正直。
とはいえ、全く前には進んでいない仲野太賀に共感してはいけないと自戒しながら見た。
愛おしいキャラクターかもしれないが、肯定してはいけないのだ。
おそらく、よりを戻したとてうまくいかないことは目に見えている。
決めたの。そう言い切った吉岡里帆は正しい。
海辺の車中のシーンが素晴らしかった。
追記、福山さん、出資してましたね。
なまはげが…実は…
たすくは…ばかなのか…?と思いながら映画の半分以上まで見てた。
でも、痛い思いを経験して、最後の方では人間らしい(と言うと私が偉そうだけど)感情が分かってきたのかな。
娘に気持ちを伝えるには、もうそれしかなかった、切ない。
娘の将来を思うなら、もう今回のなまはげ訪問で満足してくれ。
いつか母が「貴方の生物学上のお父さんはね、最初のナマハゲよ」「覚えてないわい」みたいな笑い話になった後でなら凪もお父さんを(しょうもない人)として受け入れられるかもしれない。
それまでの年月が長いし、たすくには辛いんだけど。。
そしてこんな辛い思いをせねばならぬほど、悪いことしてないんだけどね、たすくは。
ちょっと不器用な人が生きずらい、世間だと感じた。
泣く子は…
映画館でのCMで観賞しようと思い、公開が待ち遠しかった。広告の写真、仲野太賀のナマハゲ姿もインパクト大だった。
仲野太賀演じるたすくは、普通の気弱な婿養子⁉︎かと思った。ちょっとネガティブ気味な妻と生まれたばかりの娘、そして妻の父親との生活の中での立ち位置が、きっと一番低いだろうな感じられて…。
父親とは会話が成り立ってなさそだったし。
でも途中から、何も考えてないダメな人のように感じられた。
以前も酒で失敗していたのか、妻にはナマハゲは止めるように言われていたのに、泥酔して秋田放送で醜態を晒してしまった!しかも全裸💦
もうこの役を演じれるのは太賀しかいないと思った
期待はしましたが、期待以上に良かったです。最近意味わからない邦画多すぎて、こんなにちゃんとストーリーを描いて、感情移入もできて、伏線も回収して、おちもある映画、本当に見やすかった。
太賀の演技も文句なし。見ているうちに何度もおもうけど、この役に適している今の俳優ってもはや太賀しかいないかと、役にぴったりすぎて感心した。笑
決して悪い人ではなく、不器用でどうしようもないやつだが、ぜんぜん嫌いにならず、むしろ愛しく感じてしまう主人公を、うまく演じてくれた。
ふざけてばかだけど、今までのふざけてバカな太賀とは違う、今までのない本物感を感じた。
ヘラヘラ笑って、叱られたあとのちょっと寂しそうな目は忘れられない。
男は幾つになっても所詮は女々しい子供なんだと
導入部分みている限りはじめから離婚ありきの吉岡里帆のスタンス見せられちゃったらそりゃ太賀もプッツンしちゃうだろうと…
そこに至るエピソードのひとつふたつ描いて欲しかったです。
東京に逃げて来た部分でもあそこでやっちゃう位自分落としても良かったんじゃ無いかと。(裏山)
秋田に戻って来てからの描き方は凄くイイと思う。
田舎独特の時間の流れと空気感が伝わってきます。
そして再婚相手に番長持って来たのは秀逸。
これ幸せ約束された感MAX(笑)
ラスト太賀と吉岡里帆の無言のやり取りも凄いです。
道を譲る吉岡里帆の覚悟の目線がなんとも言えません。
女は強いと。
そして最後のぶった切り。これで良かった。
この作品でもギバちゃんはギバちゃんでしたwww
【”酒は飲んでも飲まれるな!” 父親としての自覚無き男の苦き贖罪の日々と、”成長”を描いた作品。】
ータスク(仲野太賀)は、娘凪が生まれ、嬉しさの中、大晦日の男鹿半島の伝統行事「ナマハゲ」に父の手彫りの面を被り、参加する・・。
妻、コトネ(吉岡里帆)の”お酒を飲まないで・・”と言う言葉を背にしながら・・。
だが、街を練り歩く中、悪友シバ(寛一郎)から差し出されたウィスキーを飲むうちに・・。
”お前、何やってんだよ! 結婚して子も出来たのに・・”と、苛苛しながら、鑑賞。-
◆あの、事件から2年。
タスクは東京で一人暮らしをしている。あの為体では、離婚したのであろう・・、と思いながら、鑑賞続行。
ー 東京でのタスクの生き方と、タスクの元を訪れたシバの描き方がやや粗い・・。ー
・そして、シバから聞いたコトネがキャバクラ嬢をしているという話を聞き、重い腰をあげ、
”どの面下げて、帰るのか・・”
と思いながら観ていた、久しぶりの故郷への帰郷。
母(余貴美子)は自然に迎え入れるが、兄(山中崇)は冷ややかだ・・。
・「ナマハゲ」はタスクの行為で、一時中断されていたが、役場勤めで伝統行事「ナマハゲ」を仕切っていた男(柳葉敏郎)達の努力により、復活していたが・・。
■印象的なシーン
・タスクがコトネをシバと共に、歓楽街を捜し歩くシーン。漸く再会したコトネから出た言葉。”私、再婚するの・・”
・タスクが、”凪”が通う保育園の発表会をこっそり観に行くシーン。コトネと再婚相手は直ぐに見つけるが、舞台の上の”凪”がどの子か分からず、狼狽するシーン。
- あのな、幼子の成長は早いのだよ・・。2年経ったら、分からないだろう。-
・タスクが、自分の愚かさ故に、失った物の大きさに気付く”車の中での、コトネとの会話”のシーン。
そして、タスクは亡き父の彫ったナマハゲの面を被って、”父として、娘にしてあげられる最後の行動”に出る・・。
-このシーンは、今作の白眉である。
新しい家族のいる家に、険しい目をしながらも、タスクを入れるコトネを演じた吉岡里帆さんの表情と、
腹の奥底から絞り出すように”泣く子はいねぇが!”と、愛娘”凪”に
”強い子に育ってくれ!”
という願いを込めたタスクを演じた仲野太賀さんの、面の下の”眼”・・。-
<序盤から中盤は、ストーリー展開がやや粗く、”勿体ないなあ・・”と思いながら鑑賞。
仲野太賀さんも吉岡里帆さんも寛一郎さんも余貴美子さんも山中崇さんも、皆、良い演技をしているのに・・。
”是枝監督が惚れ込んだ”とフライヤーにあるが、前半は、画と画の繋ぎが粗く、ストーリー展開にも膨らみが出ていない。
だが、タスクが故郷に戻った、中盤から後半、漸く良い数々のシーンが展開される作品。
”最初から、あのトーンで作品を仕上げておくれよ・・、俳優さんたちは皆、頑張っているのに・・”と思ってしまった作品である。
が、中盤からラストシーンは、見応えがある作品でもある。>
「巨匠の秘蔵っ子」と言う地雷
また踏んだーー!
地雷だっつーのw
劇場映画としてのクオリティは高いです。難点なんか有りません。役者さん、撮影、演出、脚本、全部A級かねぇ…
だかだかだが、しかし。巨匠の弟子の映画に特有のアレどす。主人公に同情/共感ポイントが皆無なんだす、わたくし的には。
自分の幼さと弱さが故に、妻に見捨てられた男が、ナマハゲを「悪用」して娘に会いに行く話。コレがプロットの起点で、肉付けの人間関係とエピソードがぶら下がります。
そもそもが、自分がぶっ壊したナマハゲ文化を自己の願望実現のためだけに利用する魂胆が理解しかねる上に、テロ紛いの急襲で元嫁の幸せに傷を付けることにでもなったら、どうすんのかと。
謝るよりも責任取れ。責任取れないなら、姿を消せ。って思ったりする。
吉岡里帆さん、大賀さん、共に好演で、見どころと言うと、役者さんでした。
と言う事でした。
にしても巨匠、弱い人間が好きやなぁ…
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