「いろいろとぽいがしっかり工夫もある」トゥモロー・ウォー 津次郎さんの映画レビュー(感想・評価)
いろいろとぽいがしっかり工夫もある
話は、ひとそれぞれ、思わせるものがあると思う。わたしはわりと古い人なので宇宙の戦士を思い浮かべた。映画版のスターシップトゥルーパーズも思わせる。氷河のロシアからは遊星からの物体の感じもあった。
クリーチャーは、見たことありそうな感じ。クワイエットプレイスのそれが近いと思うが、ほかにも類型があると思う。速さはずっと速いし、ネイルガンみたいな爪牙をバスッっと射出する。
未来の戦略中枢にいる人たちが、べらぼうにまぬけで、プロフェッショナルな態度のわりには手違いやヘマばっかやらかす。
ダンの初陣のとき、転送されたところが空中で、プールに落ちた人だけが助かる。戦闘前に兵半減。なにやってんの。
このシークエンスが冒頭にあって、若い人ならApexを想起したかも──だが、落下したんであって、降下したわけじゃない。
未来で支給されるアサルトライフルがぜんぜん効かないのにくわえ、作戦は毎度決死で、対効果が薄く、人材がばらばらと徒死する。にもかかわらず、主人公と主要人物には、攻撃が、かすりもしないし、偶然に救われすぎ。
とまあツッコミたくなるけど、見所はあり、お金もかかっていて、大味だけど、万人向けの娯楽作品になっている。
ネットフリックスに負けてられっかよ──という感じなんだろうか。スピルバーグが折れてネットフリックス作をリリースする──というニュースがさいきんあったが、大作をオンデマンドで公開することは、もはや日常なのかもしれない。
アメリカ映画でよく見られる、せかいがめつぼうする──な話(アルマゲドンやクローバーフィールドや宇宙戦争などなど)の巧さは、話はデカいけれど、見える部位は主人公とその家族にしぼってあるところ。
その一ファミリーの顛末に共感の得られる普遍性を盛り込む。ベトナム帰りの父とイラク帰りのダン。ダンはそんな親父と仲が悪い。その親子関係が、ダンと娘(ミューリ)の親子関係へ、連鎖反応する。
父と自分と娘、その喪失と葛藤と再生を、人類の危機を乗り越える話へ呼応させる。──親子の話が、わりとすんなりと、地球を救う話へ重なってくる。という仕組み。
定石とはいえ家族愛を描き、レゴを撮ったことしかない監督とは思えなかった。
余談だが、まえに(2017)エンタメニュースでクリスプラットとアンナファリスが破局したと知った。どっちもそこぬけに明るいキャラクターで、騒々しいカップルなんだろうなとは思っていたが、お気に入りのふたりが別れたのは、なんとなくざんねんだった。
余談2だが、前半、ダンがバイオロジーのクラスで講義しているとき、いちばん前列に、豊頬で強い眼力のある、真っ白な子がいた。ボーイッシュで、白人よりも白くて、なんかドキッとした。一瞬だけの登場なのに忘れられずクレジット検索したらPiper Collinsという人。まさに深窓の佳人。