ワイルド・ローズのレビュー・感想・評価
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ハラハラさせつつも目が離せないジェシー・バックリーの魅力
『ジュディ 虹の彼方に』では歌手ジュディ・ガーランドのサポート役を好演していたジェシー・バックリーが、こちらではガッツリ歌いまくるカントリーシンガー役で驚いた。いや、カントリーシンガー志望のシングルマザーと呼ぶべきか。
階級格差、貧富の格差などの社会問題を折り込みつつ、主人公ローズにとっての最大の敵は、理想の高さと反比例するだらしのない自分自身。歌声は素晴らしいし、自信も夢もあるけれど、現実と向き合うことがとことんヘタ。「そんな不器用なダメ人間がどこまで成長できるのか?」がこの映画の主軸であるとすれば、まあここにしかないよなというところに落ち着く話ではある。
そういう意味では驚きはないのだが、ジェシー・バックリーのハラハラさせつつも魅力的な演技と歌声で、やはりローズという人物を応援せずにいられない。口を歪めるような笑い方も、ローズというキャラクターにピッタリ合っていてチャーミングだと思う。
彼女の圧倒的なパフォーマンスに心震える
英国映画には伝統技のごとく、一つの才能が逆境を超えて羽ばたいていく名作が存在する。その代表作『リトル・ダンサー』『ブラス!』『フル・モンティ』はいずれもサッチャリズムの時代を背景にしたものだったが、あれから数十年を経て、現代に生まれた『ワイルド・ローズ』もどこか似た香りを持つのが興味深い。
舞台はグラスゴー。この地で出所したばかりのシングルマザーが、子供達を養いつつ、カントリー歌手としてナッシュビルに立つ日を夢見る。もうこの組み合わせだけで十分パンチが効いているが、そこに半ば夢断たれた現実や社会状況を描き、その一方に、逆境を吹き飛ばすかのような彼女のパワフルな歌声がある。すべての核たるジェシー・バックリーのパフォーマンスは一目触れただけで惚れ惚れするほど。さらに人間的な成長と共に、彼女の生き様が変化し、凛々しい表情を宿していく様も心揺さぶる。誰しもに笑顔と底知れぬ元気をもたらす秀作だ。
☆☆☆★★★ 『イン・トゥ・ザ・スカイ』の監督が、その前作に撮った...
☆☆☆★★★
『イン・トゥ・ザ・スカイ』の監督が、その前作に撮った音楽映画。
主演はこの後、『ジュディ 虹の彼方に』で、印象的な演技を見せたジェシー・バックリー(公式サイトではバックリーなので)だけに、観る前から期待感が膨らむ。
観客7名。簡単に。
(本人曰く)イギリスで、男なのに女に生まれたカントリー歌手。
好きな道を突き進むローズ。その為に周りに迷惑をかける日々だが、元から「パン屋で20年働くのは自分には無理だ!」…と、意に返さない。
そんな彼女を、多くの人が支援するも。母親だけはその姿を良しとしない。
何よりも、自分の子供をないがしろにしている事が許せない。
映画は序盤から、ローズ目線で進んで行くだけに。この母親との、根深い確執が少しずつ炙り出されて行く。
ただ好きなだけ。実力は有っても、歌い手がオーディエンスに対して、自分自身を曝け出し。《何を伝えたいのか?》が、はっきりと歌声に現れなければ。人々の心の隙間には入り込めず、〝 単なる歌の上手い人 〟 にしかすぎない。
それを初めて意識するのが、ある有名なDJに言われた「伝えたいメッセージは何だい?」との問いかけ。
その言葉が有り。更には、スザンヌの夫に言われあた一言で。今の自分の置かれた立場と共に、しっかりと、母親との確執と。幼い2人の子供との関係を見つめ直すローズ。
それまでの展開で、まるで『ジュディ 虹の彼方に』でのジュディの姿を想起させるローズの描かれ方で。その後のジェシー・バックリーの活躍を、予見している様でも有りました。
「責任は持って欲しかったけれど、希望は捨てて欲しくなかった!」
やっと母親との確執も和解し、今こそ自分の在るべき姿を探しに、憧れの地へ降り立つローズ。
あまりにも出来過ぎの展開…と思わせながら、映画は別の展開へ。
♬ どこより故郷が一番 ♬
♬ どこよりここが一番 ♬
♬ 靴の踵を3回鳴らそう ♬
最後も『オズの魔法使』を表す歌で締め、不思議な感覚を感じつつも。素敵なジェシー・バックリーの笑顔で、幸せな気持ちにさせてくれる良作でした。
2020年 6月28日 角川シネマ有楽町
ジェシー・バックリー。抜群の歌唱力!!
『ボヘミアン・ラプソディ』『アリー/スター誕生』の成功あたりから、
続々と似たような映画が生まれる。
エルトン・ジョンの伝記映画『ロケットマン』
ジュディ・ガーランドの『ジュディ 虹の彼方に』
観てませんか、「エルヴィス」に、
セリーヌ・ディオンの伝記映画「ヴォイス・オブ・ラブ」
流れが止まりません。
この映画『ワイルド・ローズ』は、フィクションなのです。
主役のジェシー・バックリーの抜群の歌唱力と
気持ちよくまとめたストーリーを楽しめばそれで十分満足・・・ってことなのですが、
しかし取ってつけたような映画である。
まず実話でないと聞くとガクンと値打ちが下がる。
イギリスのグラスゴーで、カントリー歌手を夢見てるローズ=リン・ハーランは、
26歳でありながら8歳と4歳の2人の子の母親。
おまけに刑務所に一年いて、出所したばかり。
足首にICチップを埋め込まれて(血がダラダラと流れてたぞー)
午後7時から翌朝7時まで外出禁止なのだ。
イギリス人とカントリー歌手。
カントリーと言えばアメリカが本場。
(グラスゴーって、違和感あるよね)
で、ローズもアメリカ・カントリーの聖地ナッシュビルを目指すのだった。
まあ、音楽映画と言うジャンルの映画。
主役が歌が上手い。子役が可愛い。
(お姉ちゃんの子なんか、うま過ぎて作り話と思えなくなった)
つまり、遅ればせの自分探し。
目の前の大事なものに気づく話だった。
母性愛にも親孝行にも、故郷の良さにも、気づくのが
あまりにも遅すぎる気がするけれど、
作り話なので・・・。
因みにジェシー・バックリーは、『ジュディ 虹の彼方に』では、
ジュディのイギリス公演のお世話係のローズを好感度満点で演じ、
『ドクター・ドリトル』では病気に伏せるヴィクトリア女王を演じてました。
この作品でイギリスのアカデミー賞の主演女優賞にノミネートされたそうです。
売れっ子街道間違いなしです。
おばあちゃんがいい
スローな雰囲気が良かった
ストーリーの流れがスローすぎて序盤眠りそうになったりアクビが出そうになったりしたが、我慢して最後まで見てよかった。この手のストーリーの映画は話が右へ行くか左へ行くか展開が大きく分かれる。ので、この映画はどうなるんだろうというサスペンス感があってそれで惹きつけられた。
主人公は歌を歌うのが素晴らしく上手いのだけれども歌が上手い人はどこにでもいる。私の行きつけのスナックにもいるし、行きつけのフィリピンパブにもいる。例えば小説家を目指す人だったらば面白い小説をバンバン書けば必ずプロになれるだろう。でも歌で身を立てようってのは本当にでっかい野心と言うか儚い夢と言うか・・・あんまり書くとネタバレになるのでやめておこう。主人公の演技が良いと言うか役にバッチリハマっていたと言うか・・・女優がマッチしていたのがこのスロースタートな映画の成功のポイントだった。低予算でもこのようなまともな映画を作れるイギリスがとても羨ましい。
そう都合よく人が・・・って思うけ、どそこは映画。これでいいのです。
これを見て、「オズの魔法使い」をまだ見ていない人がいたら、ぜひ次はそれを見ることをおすすめする。
あ、そうそう、この映画はフイルムで撮られている。フィルムの味わいとストーリーの味わいがマッチしていてとても効果的だった。映画監督よ映画はフイルムで撮れ。
歌声は必聴。
主演のジェシー・バックリー、吹き替えなしの歌声。痺れます。良いです。この女優さん存じ上げないのですが、歌のお仕事出身なんですかね?まー、見事です。
魂込めた歌声、心震えました。
さて、おはなしのほうはイェーイ!なサクセスストーリーと思いきや、そいつをBGMにした家族、HOMEのお話でした。
大きな盛り上がりや、感動押し売りはありません。ですから、地味な印象です。しかし、やさしーくじんわりと展開していく物語です。
夢みがちな子持ちスイーツ女子の成長物語でもあります。
ナッシュビルに行けばなんとかなる、ナッシュビルだけが本物。そんなことを言ってた主人公が選ぶ道が非常に興味深く、かつ成長を感じます。場面ごとに使われる曲の詞もストーリーにマッチしているので、主人公のジェシー・バックリーが歌う歌を人物の気持ちを考えながら聴くのもオツです。
また、ジェシー・バックリーの演技も素晴らしいです。序盤からの変化を巧みに演じてます。
ストーリーはもう少し親子の関係性について描いて欲しかったかな。その他も大体ラストで片付けてる感があるんで、丁寧に描いて欲しかったかな。
良作です。(大量歌声加点)
イギリスのカントリー歌手
主人公はカントリー歌手を目指すイギリスのシングルマザー。
酒飲みでだらしない性格のため刑務所にも入ったことがある。
子育てもいい加減で母親に頼っているのが現実だ。
ハウスキーパーとして働き始めた屋敷の奥方から、とてもいい話があるのだが・・・。
アーティストはみんなが、こんなことではあるまい。
責任を持って欲しかったけど、希望を奪う気はなかった
映画「ワイルド・ローズ」(トム・ハーパー監督)から。
カントリー歌手を目指す女性が主人公であるが、
私は何故か、その彼女の母親の心境に共感してしまった。
親として、我が子をどう応援していくべきか、葛藤があったと思う。
もちろん、刑務所に入るほどの犯罪を犯す娘の将来に不安はあり、
さらに、自分の夢を追い続け、子育てをしない行動に不満もあった。
けれど・・自分の娘、親だけは最後まで信じてあげたい、
そんな気持ちも持っているんだろうな・・と思っていたら、
案の定、嬉しい場面が物語後半に展開された。
母親が自分の素直な気持ちを娘に打ち明けるシーン。
「責任を持って欲しかったけど、希望を奪う気はなかった」
「15歳で働く必要がなければ私は大学に行きたかったし、行ったはず。
夢は薬剤師だった。問題はなぜ行かなかったのか。
あなたを産んだ後にでも行けた。
でも子供に夢を託したほうがラクだったのよ。自分で夢を追いかけるよりね。
ガッツがなかったの、それが真実。でもあなたは違う。
子守は任せて行きなさい。未来を見てきて」
周りが娘のことなんと評価しようと、私は母親。最後まで信じる。
そして、自分を見つめて帰ってきた娘の歌声に、涙する。
「黄色いレンガの道はグラスゴーにないけど、
石よりも強いものを見つけた。どこよりも故郷が1番。どこよりここが1番」
久しぶりに涙腺が緩んだ作品だったなぁ。
カントリーマアム
主人公のやさぐれた言動の連続に、「ローズ」や「ジュディ」の記憶が甦ってきて、またぞろミュージシャンが破滅していく話かと思いきや、さにあらず。かと言って、定番の「スタア誕生」物語へも極力寄せず、BBCのお偉いさんに気に入られてデビューするでもなく、豪邸でのチャリティーライヴで成功するでもなく、ナッシュビルのゲリラ歌唱で一躍脚光を浴びるのでもない。少しずつ想定を外して、ほど良く地に足のついたエンディングへと導いていく。
20年パン屋で働いてきたという母親の吐露がとりわけ胸を打つ。主人公の子どもとのぎごちない接し方もせつない。英国では犯罪歴のある人間に皆GPS付きの足輪をはめるのだろうか。近頃何かにつけて彼の国の労働者階級のやるせなさを映画で目にする機会が多い。
ナッシュビルのライマン公会堂での歌からラストのグラスゴーのステージでの歌まで、不覚にも涙が止まらなくなった。たぶん、それは物語と言うよりは歌の力のなせる技だ。この映画で圧倒的な歌唱を披露したジェシー・バックリーが、次作の音楽映画では完全に裏方役に徹しているのも意外だ。
グラスゴーというと、この街出身のバンド、ディーコン・ブルーのファースト・アルバム“RAINTOWN”のジャケットが思い浮かぶ。すすけたような工業都市にカントリーは似合わない気がするけど、その片隅で歌い続けるローズにはエールを送りたい。
p.s.ロバート・アルトマン監督の「ナッシュビル」は、ミュージシャンたちが共和党の大統領候補のキャンペーンに巻き込まれていく話。時節柄、今見ると別の感慨があるかも。
二本立て二本目。底抜けに明るいアンポンタン姉ちゃん(母)の成長物語...
二本立て二本目。底抜けに明るいアンポンタン姉ちゃん(母)の成長物語。
やや太めだけどなんともキュートなスマイル、この主人公、危なっかしいけど憎めないんです。そして物語が進むにつれ、どんどん応援したくなってくるんです。周りの人たちも最高です。なんと言ってもお母さん、泣かせてくれます。人のいいセレブとの邂逅はもう少し丁寧に描いて欲しかったけど、それもまあご愛敬。ほんと面白かったー!この手の音楽映画ではマイベストとなりました。
何より、歌がいいんです。主人公の歌唱力、半端じゃありません。超魅力的。久しぶりにサントラ欲しくなりました。私、カントリー(&ウエスタンとは言ってはダメらしい 笑)好きなようです。
主人公に魅了されて調べてみるとジェシー・バックリー。えっ?一本目「ジュディ」の魅力的な世話役の人なの?全然分からんかった。この人、凄い!いっぺんに虜になりました。今後、要注目です。
ジェシー・バックリーの声がいい
スコットランドのアメリカ人
ヤバ。このローズ・リンに全然共感出来へん。乱暴者やし、酒飲みやし、あららな事をえええな場所でするし、仕事中に酒くすねて飲みまくるし、子供達との約束は酒飲んでてすっぽかすし。列車の中でバッグ盗られるとか自業自得だから喚くな。夢を実現するチャンスとは言え、子供達を置いてパーティーとか最低でしょ、最悪でしょ。Wildというより、Animalでしょ。
だけどだけどだけど。このまま終わっちゃ映画になりません。
"Three Chords and The Truth" は有名なフレーズ。そのココロは「シンプルに真実を歌え」。BBCを訪れたローズ・リンにボブ・ハリスは問います。
「君のメッセージは何だ?」
あの時点でローズ・リンが答えられるはずもなく。「ナッシュビルで夢を叶えたい」。頭の中には、それしか無いから。メッセージが音楽に必要な"Truth"。伝えたいこと、言いたいことが無い歌に価値はねーぞ。誰にでも歌える歌を歌うだけでは、プロにはなれない。
子供達を抱いて眠れる幸せ。ビーチを訪れて感じた安らぎ。ナッシュビルには無いもの。ナッシュビルの本物の"Grand Ole Opry"のステージで歌ったローズ・リンは、ボブ・ハリスの言葉を、やっと理解します。飛んで帰ってグラスゴー。生まれ育った街で、母と子供達を前に自分自身の真実を歌うローズ・リン。で、お終い。
ジェシー・バックリーのキャリアを見たら、歌から始まってるんですね。知りませんでした。どうりで、堂々とした歌いっぷり。今、巷(欧米)ではオーディション番組が大流行です。AGTとかVOICEなんか、たまに腰抜かすくらいの歌い手さんが登場します。日本は動画公開サイトですかねぇ。そう言うのを見慣れてると、ローズ・リンの歌は正直物足りないってのがw
最近、女王蜂がお気に入りのわたくしとしては、歌の迫力不足が地味にマイナスポイントだった事を告白しておきます。
カントリーを全然知らなくても、絶対ナッシュヴィルに行きたくなる作品。
ローズ=リン役の方、どこかで観たことがあると思っていたら、鑑賞後に『ジュディ』でコーディネーター役を演じていたジェシー・バックリーと知り、なんで気が付かなかったんだろう、と悔しくなると同時に、あんなに「おしん」のように耐え忍んだ反動で、今度は人を振り回す側に回っちゃったんだろうかねぇ、と虚実入り交じった感慨に勝手にふけって、涙を禁じ得ないのであった…。
『ボヘミアン・ラプソディ』を始めとした、実在のアーティストの伝記映画が陸続と公開されている状況で、創作の音楽映画(ローズ=リンのモデルになった歌手はいるそうだけど)を作るというのはなかなかな挑戦では…、と思いつつ鑑賞しました。
冒頭からローズ=リンの無軌道ぶりにちょっと狼狽。観客に共感させる意図はないのか、と思ったりもしたけど、これは自分が正しいと思ってる社会的規範を押し付けてるだけだよね、と反省し、ローズ=リンの姿をしばらく追ってみることに。すると彼女の、子供達と上手く接したいけどできない、意図せず周囲を振り回してしまう…、という苦悩が透けて見えて、一気に応援したくなりました。
ジェシー・バックリーの歌唱が見事で、その力強い歌声は、ローズ=リンが類いまれなる才能と魅力を備えている、という設定に説得力を与えています。富豪の妻や音楽プロデューサーがちょっとローズ=リンに肩入れしすぎでは…、と思うけど、自力でデビューまでこぎ着けたので、全く問題なし!
彼女が意気込んで訪れた憧れの場所で、有頂天になりすぎて完全に観光客になっちゃう姿は、微笑ましいと同時に、それまでの傍若無人、尊大な自己認識が穏やかに落ち着いた過程を示していていると理解しました。ここでの聞かせる静かな歌声は非常に感動的。
ともすれば天才アーティストの物語は、「栄光をつかむためには何かをあきらめなければならない」というテーマに落ち着きがちですが(『ラ・ラ・ランド』[2016]はその典型の一つ)、本作は「何一つ捨てなくても、理想は実現できる」と強く訴えかけています。
『アルプススタンドのはしの方』と同様、「仕方ない」じゃあきらめきれない人のための映画です!
納得できるまで。
タイトル通り、まさにワイルドな主人公で歌声もクレイジーパワフル。
しかしその生き様は全く褒められたものではなく、刑務所帰りに男と
SEX、パブで同僚をぶっ飛ばしステージを奪い、帰った家では子供
たちにも怯えられるという始末。この、どうしようもない母親である
ローズに与えられた唯一の才能は歌が上手いこと。カントリー歌手を
ずっと夢見てきた彼女は何としてでもナッシュビルへ行き成功したい。
子供達の面倒をみてくれた母親はローズに生活を立て直すことを要求、
資金を集めて歌手として成功する夢を抱きながら、家政婦として働く
彼女の歌声にマダムが手を差し伸べたことでチャンスが巡ってくるが、、
共感度0の母親が子供をほったらかしている状態に、昨今の幼児虐待
事件が重なって見え、日本人はやや複雑な気分になると思うこの作品。
歌以外に何の取り柄があるんだろうというくらい、性格もヤンチャで
手の付けようがないのだが、しかしその歌声にかなりの説得力がある。
主演のJ・バックリーがほぼ全編を網羅している素晴らしい歌唱には
こちらも聴き惚れるほど魅了される。J・ジョプリン風かと思ったが、
B・ミドラーにも近い。タイトルがローズで内容的に家族の話なので
そっちを連想させられるかもしれないが、とにかく歌以外はダメダメ。
しかし周囲にはなんだかんだと世話を焼いてくれる親切な人間が多く、
子供の面倒や資金の調達にしても協力的、もうダメだと歌から離れた
後半に、厳しかった母親の援助には涙が零れる。彼女の夢は叶うのか、、
ストーリー的には凡庸であり、ラストもそうなることを予測できるが、
自身の夢を叶えるひたむきな前進力に圧倒されるほどパワーをもらう。
納得できるまでやり尽くすことで獲得できた自信は、今まで描いた夢
とは違うかもしれない。だけど、多くの共感を齎す選択もできるのだ。
ローズが人間的な成長を遂げることで得た教訓が歌から伝わってくる。
スリーコードと真実!ところが、劇中のほとんどの曲がスリーコードだけでは弾けない真実
最初から感動した!そんな馬鹿な・・・刑務所出所からスタートすると言えば『ブルース・ブラザーズ』。そんな驚きとともに、カントリーとは言っても生ギターのオープンチューニングとスライドギターの音色にとりあえず感動してしまったのです。もう頭の中は「サントラ欲しい」。
14歳の時から一緒にバンドやってるから♪と、パブのステージに飛び入り参加するローズ。歌ってた下手っぴな男を蹴落とすというワイルドでファンキーなシングルマザーのローズ。バンドメンバーも文句も言わず彼女に合わせていくといった展開を見せるなんてのも『ブルース・ブラザーズ』に似てると思った。
スコットランド・グラスゴー。タグを付けたまま時間制限を守らなければならない鬱屈した出所後のローズも、弁護士の力により外してOKになったときの陽気な笑顔がチャーミングだった。しかし、歌えば歌うだけ子供たちへの愛情も薄れ、やがてそれが原因ですんなり歌手デビューする夢も揺らいでしまうのだ。動画配信したりパーティでクラウドファンディングを募るという今風の展開も良かったのに、バンド練習と子供と過ごす休日を天秤にかけてしまったからだ。
カントリー(&ウェスタン)にこだわり、腕にはTHREE CHORDS AND THE TRUTHという刺青を施し、破天荒なまでに生きる姿はソウルフルながら心に響く歌声を披露するローズ。大好きなロンドンBBCのボブ・ハリスに直接会うこともできるのですが、楽器を弾くこと、オリジナル曲を持つことの大切さを知る。
パーティでのすったもんだの後、ナッシュビルのライマン博物館内のステージでいきなり生歌を披露し、ヴァイオリニストがそれに合わせるシーンがとてもいい。澄んだ歌声は天使のように会場に響くのだ。ここでの警備員のやり取りも絶妙。破天荒な彼女の心が見えてくる。カントリーとは何なのだ?!
とにかくムチャ歌が上手いジェシー・バックリー。エンドクレジットも注視したけど、ほぼ彼女自身が歌っていた。夢や希望までは奪っちゃだめよね・・・と、ローズの母親の言葉も良かった。かなり逡巡があったのだろうけど、決断も彼女らしいものだった。スザンナの女優ソフィー・オコネドーも素敵だったし、双子の男女も良かった。もちろん、ボブ・ハリスが最後のステージを観ていたことも嬉しくなってしまいます。カントリーなんて大した歌詞はないものだという先入観も変わってしまいました・・・
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