魚座どうしのレビュー・感想・評価
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子供たちVS優しくない世界
19歳で撮ったという怪作『あみこ』の山中瑶子監督が、文化庁委託事業の「プロのスタッフを使って35mmフィルムで短編を撮る」という企画に参加した30分ほどの作品だが、山中監督の恐るべき才能がここでも炸裂している。
小学生の女の子と男の子、近いところに住んでいるけれど交わることのない二人の日常が綴られているのだが、周りの大人たちの不安定さが、日常にいつ崩壊するかわからない脆さを与えていて、もうホラー映画を見てるみたいにハラハラするし不安になる。
それでいて、ミニマムでこぢんまりとした作りに陥ったりはせず、小さな話なのに、子どもたちを押しつぶしかねない大きな世界の存在を感じさえる。決して優しくはないけれど、外の世界には確かに可能性が広がっていて、子供たちがこの閉塞した日常が飛び出せる日を願わずにはいられない。
いや、そんな映画だったっけ?と思う人もいるかも知れないが、それはそれできっとこの映画の別の可能性なのだろう。決して一義的な解釈に収まることにない、なんとも挑戦的な作品なのである。
本作の長編版を観たい、観たい、観たいーーーー。
ポレポレさんで「あみこ」と併映で鑑賞。
30分の短編です。
親子の関係ってなんなんでしょうね?
親にとっての子供、子供にとっての親。
登場する子供達は小学生。
そして登場する大人達は子供が従わざる
を得ない人達。
ここで描かれる世界は、きっと珍しくない
現実の縮図なんでしょうね。
それをなんの説明もなく、映画として語りきる
演出は見事だと思います。
画面に無理無く、たくさんの情報を入れるの
うまいなぁ。
ある事を守ろうとして崩壊していく2つの家族。
守るべきなのに守られない、
皺寄せを一手に引き受ける子供達の
また来る明日、変わらぬ(もっとひどい?)明日を
予感させるエンディング。
どんどん違和感が増幅し、ゾワゾワ、ザワザワと
たった30分なのに、気持ちがかき乱れました。
なんという作品を作ってしまうのでしょう、
この監督は。長編を作ったらどんな作品になるのでしょう?
題名の「魚座どうし」の意味は、アフタートークで
監督自身が語ってくれましたが、なるほど。
足りないところを補う性質があるそうですね。
大人の中の子供が、まさにその役回りなのかもしれません。
本作は、僕としては「中途」で終わっている認識です。
この題材で長編作ってもらいたいなぁと切に思いました。
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