魚座どうし 劇場公開日 2020年2月21日
解説 文化庁委託事業「ndjc(New Directions in Japanese Cinema):若手映画作家育成プロジェクト」の2019年度に製作された短編3作品のうちの1作。小学4年生のみどりはママと2人暮らし。パパは仕事で外国へ行ったきり、ほとんど帰ってこない。ママの心には穴が空いていて、みどりは自分がそれを埋められないことを知っている。学校へ行けば友達がいるけど、なんだか満たされない。同じく小学4年生の風太の家にもお父さんはいない。お母さんは宗教に熱心で、お姉ちゃんは中学生になって反抗しはじめた。子どもたちは今日も「起きたら何もかも大丈夫になっていますように」と願いながら眠りにつく。監督は、初監督作「あみこ」がPFFアワード2017に入選、第68回ベルリン国際映画祭に史上最年少で招待された山中瑶子。
2020年製作/30分/G/日本
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19歳で撮ったという怪作『あみこ』の山中瑶子監督が、文化庁委託事業の「プロのスタッフを使って35mmフィルムで短編を撮る」という企画に参加した30分ほどの作品だが、山中監督の恐るべき才能がここでも炸裂している。 小学生の女の子と男の子、近いところに住んでいるけれど交わることのない二人の日常が綴られているのだが、周りの大人たちの不安定さが、日常にいつ崩壊するかわからない脆さを与えていて、もうホラー映画を見てるみたいにハラハラするし不安になる。 それでいて、ミニマムでこぢんまりとした作りに陥ったりはせず、小さな話なのに、子どもたちを押しつぶしかねない大きな世界の存在を感じさえる。決して優しくはないけれど、外の世界には確かに可能性が広がっていて、子供たちがこの閉塞した日常が飛び出せる日を願わずにはいられない。 いや、そんな映画だったっけ?と思う人もいるかも知れないが、それはそれできっとこの映画の別の可能性なのだろう。決して一義的な解釈に収まることにない、なんとも挑戦的な作品なのである。
極端なソフトフィルターと意味もなくつねに動いているカメラによって役者の芝居が入ってこなかった。ぱっと見シネフィルの映画っぽいけど、アンゲロプロスだったら、ムルナウだったら、溝口だったら、こんな無意味で適当な雰囲気だけの移動ショット撮らないよねって思った。ネグレクトや宗教の描写もありきたりすぎて、単に奇をてらってるようにしか見えなかった。想像力もないし、ちゃんと取材したのかしら?あみこ がこの監督の最高傑作なのかな。
2021年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ポレポレさんで「あみこ」と併映で鑑賞。 30分の短編です。 親子の関係ってなんなんでしょうね? 親にとっての子供、子供にとっての親。 登場する子供達は小学生。 そして登場する大人達は子供が従わざる を得ない人達。 ここで描かれる世界は、きっと珍しくない 現実の縮図なんでしょうね。 それをなんの説明もなく、映画として語りきる 演出は見事だと思います。 画面に無理無く、たくさんの情報を入れるの うまいなぁ。 ある事を守ろうとして崩壊していく2つの家族。 守るべきなのに守られない、 皺寄せを一手に引き受ける子供達の また来る明日、変わらぬ(もっとひどい?)明日を 予感させるエンディング。 どんどん違和感が増幅し、ゾワゾワ、ザワザワと たった30分なのに、気持ちが描き乱れました。 なんという作品を作ってしまうのでしょう、 この監督は。長編を作ったらどんな作品になるのでしょう? 題名の「魚座どうし」の意味は、アフタートークで 監督自身が語ってくれましたが、なるほど。 足りないところを補う性質があるそうですね。 大人の仲の子供が、まさにその役回りなのかもしれません。 本作は、僕としては「中途」で終わっている認識です。 この題材で長編作ってもらいたいなぁと切に思いました。
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