ミッション・マンガル 崖っぷちチームの火星打上げ計画のレビュー・感想・評価
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早くも今年の実話ベースものでは(個人の)トップ3入りしそうかな…?
今年7本目(合計74本目) ※「銀弾 the final」と、たまたま「天体がどうの何の」と出た方がおっしゃっていたので気になってセーラームーンの新作も見てきたのですが、そのレビューはさすがに要らないかと思います(必要であれば書きますが…)。
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※ そういえば、火星には「2つ」の衛星がありました。フォボスとダイモスです(いずれも半径20kmほど)。この映画では火星の衛星の話は出ませんが、そのあとにセーラームーンを見ると、あ、元ネタあれだったのね、ってわかります(セーラームーンの中で、セーラーマーズの女の子が、お寺で飼っているカラスの名前)。
ちなみにこちらの新作セーラームーンも、地味にマニアックなところで天体ネタが出てきたりします(普通に見る範囲だと気が付かない)。
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さて、こちらの映画。内容は実話に基づくものです。多少は設定などは変えてあるようですが、大筋において実話であること、またアジアで初めて火星に探査機を飛ばしたというのも事実です(日本は先に試みるも失敗しています)。
インドといえば今ではIT大国として知られ、先進国とは言わないにせよ発展途上国でもなく、その中間的位置にある程度の国であり、また科学水準も高いことで知られます。一方、貧富の差も激しいものがあり、また宗教の違いからくる民族紛争なども絶えません。特に貧富の差からくる「国家予算の配分」は大切な問題であり、極論「どうでもいい事案」である火星探索というものに大金を突っ込むことはできません。
そうすると、開発者はいかにして安く開発するか?という考え方になってしまいます。しかし、火星探査機は2年2か月に1回しか原則飛ばせません(いわゆる、火星大接近にあたるときが条件的にベストになり、かつ、2年2か月の火星大接近もその近づく差にはかなりの違いがあり、今回飛ばした条件は極めて有利な条件でした)。
そこで色々なアイデアが出てくるのです。一見するといらないであろうゴミを使ってみたり、「家庭の主婦のアイデア」がそのまま火星探査機の開発に生かされる、そんな国なのです。換言すれば、アイデアさえうまく成立していけば成り立つのであり、それは日本でも同じであろうと思われます(性能などがほぼ同等で、明らかに安く済むのなら、それを採用したほうが良いのは明らか。もちろん、特許の問題は別途考慮する必要はある)。
どちらかというとドキュメンタリー映画という分野で、ストーリーというストーリーはほとんど存在しないと言えます。かつ、「結果がわかっている」映画なので、どう見せるか?がポイントになります。そしてこのようなサイエンス系映画は、内容がマニアックすぎて理解できない(TENETなど)場合や、逆に「サイエンス系映画と思わせて中身がトンデモ科学」だったりと色々なものがありますが、この作品は非常に丁寧です。かつ、字幕も工夫されており、文系の方でもすっと入っていけるように理系特有の語(内容的に、天文学よりも物理的な話も出ます)は意味を変えない程度に使用をうまく工夫しており、「何がなんだかわからない」状態にはなっていません。
太陽系には地球以外に生命が住んでいる場所があるかどうかは未解決です。そして、その真っ先の候補が火星です(ほか、月やエンケラドゥス(土星の第2衛星)、タイタン(同6)などがあります)。しかし、それは「太古にいたであろう」生命も含まれます。「今いない生命」を論じても「あまり」意味はありません。むしろ、今後地球の開発がどんどん進むにしたがって「住む場所」がなくなり、地球以外の生活可能な場所を探していく流れになることは当然理解できます。その際たる候補が火星であり、ついで言えば月でしょう(地球との行き来を考えれば、事実上この2つ。ほかには巨大人工衛星も考えられます)。その「未来に必ず役に立つ」研究である「地球以外に住める場所の先行調査」としての火星探査が今日、また未来に与える影響は非常に大きいものがあり、その意味でインドの成し遂げたことは大きな意味があります。なぜなら、「インドと同じ程度の科学水準の国でもがんばればインドのこの例と同じように観測機を打ち上げて成功させる」という先例を作ったから、にほかなりません。
この映画がもとに、宇宙天文に興味を持つ方が増えるといいな…と思っています(私個人は、個人的に天体望遠鏡を数体持っていて、天体によって使い分けて観測したりする程度です。もっとも大阪市なのでどう頑張ってもあまり見えませんが…)。
さて、採点に入りましょう。下記の減点0.2で4.8を5.0に切り上げています。
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(減点0.1) インド映画の特徴なのでしょうか、最初に「アルコールの飲みすぎは体に悪影響があります」という趣旨の英文が流れます(ただし、映画内でアルコールをたしなむ程度の描写はあるものの、中毒になるほど飲むような人は出てこない)。おそらく、日本で「盗撮禁止の趣旨の警告画像(例のカメラ男の人が出るアレですね)」が必ず出るのと同じ趣旨なのだろうと思います(映画に、アルコールはほとんど出てこない)。
ところが、そのあとに英語以外の言語で大量に何か表示され(英語ではない。何語か不明。しかも、背景真っ黒に白い文字で大量に表示され、何か重要らしいところに線が引いてある、ある意味「怖い」文章)、そのあと始まるのですが、その部分の翻訳がありません。
一方でエンディングのスタッフロールを見ても、スタッフさんの名前は出ますが、必ず表示される「無断コピーなどは刑事罰や民事罰の対象になります」の趣旨の英語は出てこず(スタッフロールは英語です)、どうもそれが先頭のそれ(全然わからないその謎の大量の文章)に移動しているようなのですが、その部分は翻訳されていません。
もっとも、「盗撮しちゃダメ」とか「(危ないから)個人でロケットを開発しちゃダメ」とかというのは「当たり前」の話なので翻訳しなかった可能性もありますが、あまりに大量に表示されるので(おそらく、1つや2つの内容ではない)、一体何なのか気になります。
(減点0.1) ストーリーは、現地の言語(インドが舞台という事情から、方言が多いこともあり、何語かよくわからない)と英語の2つが話されています。
その中で、明らかに誤訳と思われる点があります。
「そんなことが今のインドにできる確率は0.1%以下だ」(だから、プロジェクトは採択しない、と最初に断られるシーン)の「0.1%以下」の「以下」で使われている表現は less than です。しかし、 less thanは「未満」であって「以下」ではありません(more than は「その値を含まずその値より大きい」。「以上」とは違う)。
もっとも、内容的に意味内容が理解できれば良い話であり、0.1%以下でも未満でも本質論ではないのですが、科学映画であるからこそ、このような「科学的に正しくない翻訳」は視聴者が誤った知識で理解しかねかねず、危ないなぁ、と思いました(ただ、この点はうっかりミスが多い点であり、かつ理解を妨げるほどの誤りともいえないので、0.1点どまり)。
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インドは宇宙開発も素晴らしい
夢が仕事に変わってしまった者たちのセカンド・ドリーム!!
インドも女性の活躍の場が増えてきているとはいっても、まだまだ女性差別が残るインド。一時期の「007」シリーズにおいてのボンドガールのような役割の多い映画も少なくない。女性差別や女性に対しての古い考え方が残る男性問題などの観点から描いた暗い内容での女性主人公映画というものはあったものの、ここまで女性主体の目線でガーリーエッセンスの多いサクセス・ストーリーというのは、なかなか珍しい。
インドにあるディズニー傘下のフォックス・スター・スタジオ作品ということもあって、海外マーケットも視野に入れていることで、あえて厳しい現実というのは、シュガーコーティングされているのかもしれないが、サクセス・ストーリーという点では、抑えるところは抑えていて、サクセス・ストーリーとしては高いクオリティの作品である。正に娯楽作品である。
実話ベースとはいっても、ある程度はエンターテイメント・コーティングされてはいて、弱小チームが逆転するというベタな構造にはなっているものの、インド映画業界で注目株であり、演技力も定評のあるキールティ・クルハーリーやタープスィー・パンヌーなどの若手女優を集めていて、それぞれのキャラクターが抱えているバックボーンや考え方に特徴をもたせることで、最終的にそれぞれの役割が活きてくるというのは、やはり楽しいものがある。
セカンド・ドリームという観点も素晴らしかった。宇宙開発に携わるという夢を勝ち取って、更にその中でも女性であるというハードルを越えてきたが、それが当たり前となってしまった日常では、「夢」はいつしか「仕事」になってしまった。
宇宙開発事業なんて、なんとなく就職したいと思って入れるような簡単な職業ではないだけに、重役になっている人達も、かつては夢を追い求めていたということに違いはないが、大きくなることで夢が仕事に代わり、企業として世間体や安定を求めるようになってしまった。もともとは無謀なことだったかもしれないのに、その初心を忘れてしまう。
それを思い出させ、あらゆる世代を奮い立たせ、そしてみんなの心がひとつになり、敵対していた者までもがその結果を見守り、気づけば観ている側も感情移入しないではいられない。このベタではありながら、カタルシスの頂点のような構造は、娯楽映画として見事としか言い様がない。
更にインドという特徴を活かしながら、世界に通用するグローバル的観点をもったバランスの作品を作れる様になってきたということにも注目しないではいられない。
インドにおいて映画を観るということは、一大イベントであったという、少し前のニーズではなくなってきているのだろう。まだまだインターネット普及率40%ほどと、低いとはいわれていても、貧富の差がかなりあるし、人口そのものが多いインドとしては、一般的家庭は勿論、少し貧しい郊外を舞台とした『ガリー・ボーイ』の中でも貧しいとは言われながらもスマートフォンやiPadが普及しているような状態である。
そんな中で動画配信サービスがあふれ、Netflixでは多くのインド映画を世界に発信し、また他国の映画を簡単に観られる環境になった現在では、グローバル的観点から、国境は関係なく、誰が観ても高いクオリティが求められる時代になってきたということだ。
そうやって目の肥えてきた国民にとって、やり過ぎアクション、とんでも展開、やたら入るミュージカル・シーンを時間いっぱいに詰め込んでお金をかけておけば、とりあえず楽しんでくれるであろうという、インド娯楽映画業界の安易なマーケティングも効かなくなってきたことで、質より量のボリウッド的思考は通用しなくなってきたのだ。
『ランボー』や『フォレスト・ガンプ』『アジョシ』『ナイト&デイ』などハリウッドの名作やアジアノワールをこぞってリメイクしようというのも、インド映画業界が本気で映画という産業がアトラクション的観点だったものを芸術作品にしなければ客がつかないことがわかってきて、まずは他国の真似から入る。これは、一時期やたら日本のホラーをリメイクしまくっていたアメリカや日本の映画やドラマを片っ端からリイメクし続けた韓国、海外ドラマのリメイクやオマージュを続けてきた日本…といったように各国が当然のようにしていることで、その中で自国のスタイルに変換しジャンルを形成していくという、一種の映画、ドラマ産業の流れである。
日本もインド映画なんて「どうせミュージカルなんでしょ」なんて思って甘くみていたら、あっと言う間に置いていかれてしまうだろう。LGBTQを扱うよりなフリをした腐女子ターゲットのBL映画や、ただの日常を描いたドラマの延長線上的少女漫画映画を量産している場合ではないのだ。
km7ルピー
インド宇宙研究機関=ISROが、アジア初の火星探査計画を成し遂げた実話を基にした話。
2010年、有人宇宙飛行計画のロケット打ち上げ試験で失敗し、火星探査チームに回されたチームリーダーと推進系担当学者が、無理だと言われる計画をアイデア勝負で正式プロジェクトに押し上げ、人も予算も時間もないし制約だらけな中で奮闘するストーリー。
壁にぶつかり乗り越えてというプロセスをみせていく展開は、その程度のアイデア?と思ったりもするけど、それを思いつく発想は素晴らしいし、それを具体化するのはさらに凄いこと。
それに意外なことがヒントになっていたりして面白く、へ~の連続。
ただ、試行錯誤している様子があまりみられず、結構あっさりと乗り越えちゃう感じがして勿体ない。
女性主人公の家族を中心に、家庭でのトラブルも結構丁寧、且つ、キャッチーに描かれていてなかなか面白いし、マサラムービーお約束のダンスもちょっとあるけれど、長ったらしくなくて寧ろ上手く時短に使っているし…まあ、どちらもいらないっちゃあいらないけれどねw
どこまで事実に基くのかは知らないけれど、堅苦しくないしテンポも良いし、結末はわかっているのにちゃんと愉しめて、最後はなんだか感嘆させられた。
【『M:I インド火星探査機打上ヴァージョン』” 女性ならではの知恵を働かせ、数々の原価低減アイテムを捻りだし、夢を叶えよう!”女性研究者たちが歌って踊る、エンタメに徹した姿勢も好感が持てます。】
ー”インド映画で、女性スタッフ中心による火星探知機打上の実話かあ、面白そうだなあ・・”
と仕事帰りに、イソイソと映画館へ。ー
■Caution
・”宇宙探査船打上”がテーマの作品ですが、近作で言えば「ミッド・ナイト・スカイ」「アド・アストラ」「ファースト・マン」のような映画を期待すると、肩透かしを食らいます。
インド・マサラムービーに近い作りですから、純粋に開発スタッフの苦労する姿や、踊りを楽しみたい映画です。
内容としては「ドリーム」に近いかもしれませんね。
■ストーリーはシンプルで、分かりやすいです。
・2010年、家庭の主婦業もしっかりこなしながら、インド宇宙研究所でロケット開発に携わるタラ(ビディア・バラン)は、責任者ラケーシュ(大スター:アクシャイ・クマール)の基でロケット打上業務についていたが、タラのミスによる打上失敗により、ラケーシュは”火星探査PJ”責任者と言う閑職に飛ばされてしまう。
- けれど、めげないラケーシュ。責任を感じて、PJに参加するタラ。ー
インド宇宙研究所は、”もう失敗は許されない”と、NASAから“エラソウナ”インド人宇宙科学者デサイを呼び寄せる。
”火星探査PJ”メンバーは、デサイが選んだ若き4人の女性と童貞君と定年間際のおじさん・・。
だが、彼らが奇跡を起こしていく・・。
- ヤッパリ、オモシロイゾ。
サキハヨメルケレド、モンダイナイ。コノエイガヲ、タノシモウ。ー
■今作の魅力
1.女性キャラクターが魅力的である。童貞君も、定年間際のおじさんも、魅力的なのである。
・タラ:主婦業と仕事と年頃の子供を抱え、奮闘する日々。やや、保守的な夫あり。
- 夫の態度に、最初は”ちょっとなあ・・”と思っていたら、タラに連れていかれたクラブで、切れの良いダンスを披露する・・。子供も見直す。
この映画には、”真の悪人”が出て来ないのである。そして、エンタメに徹しているのである。私は、その姿勢を、肯定する。-
・エカ・ガンディー:NASAに入りたいキャリアウーマン。けれど、幼き頃には苦労していて・・。
- それで、”ガンディー”なんだね・・。強気で上を目指す気持ちが分かったよ・・。-
・ネハ:ムスリム出身。ムスリムへの、いわれなき差別を受けたりしている。夫の浮気で離婚。
- ここでも、インドの抱える問題をさり気なく描いている。-
・ヴァシャー:姑に、”子供が出来ない”と嫌味を言われながらも、夫と狭い自宅をイロイロと工夫して暮らしている。(折り畳みベッド&食卓etc.)
そして、漸く妊娠するが、そのまま、仕事を続ける。
- 彼女の妊娠を知った、責任者ラケーシュの言葉が良い。
”産休を取っても良いし、いつまで働くかは、貴女が決めれば良いよ。子供が生まれたら、研究所内に託児所を作ろう・・。”
ラケーシュは、さりげなく口にするのだが、なかなかサラリとは言えないセリフだよ・・。ー
・車の運転が苦手な、クリティカ。夫は軍人で、大怪我をして入院している。この夫が看病する彼女に掛ける言葉も良い。
”俺は、国のために戦っている。君も、国のためのロケット開発を続けろよ・・”
ー 良い男だなあ。クリティカの嬉しそうな顔。-
・童貞君、パルメーシュワル(シャルマン・ジョシ:「きっと、うまくいく」以来だね。) ーこの”占い頼み”の童貞君は、エカの事が好きなのである。多分、エカも・・。ー
・定年間際のお爺ちゃん、アナント。
- コノヒトモ、ヨイ。ネハの元夫への仕打ちなど。ー
2.彼女、彼らが考え出す、原価低減アイテムの発想の面白さ
・定年間際のお爺ちゃん、アナントはTVで流れた、海岸に打ち上げられた大量のプラスティックの映像を見て、ヒントを思いつく。
女性スタッフがアドバイスをし、軽量で丈夫な材質を作る過程。
- 素晴らしき、廃品利用!しかも、地球環境にも貢献。流石、年の功である。-
・タラが考えた、”余熱を利用して揚げパンを作る所”から、燃料の節約術を考えて、”火星探査機、ハンマー投げ5回転計画!”
- 面白いなあ、地球の引力を最大限に活用しつつ、探査機を火星の周回軌道に乗せるとは!-
・予算が枯渇する中、更にタラはアイデアを提出する。
”凍結している、月探査用の機器を利用すれば良いじゃない!”
ー 無駄な在庫の有効活用だね!” -
◆そして、彼らは予算40億ルピー(68億円位だそうです。高いなあ、と思っていたら・・)で、見事に”一回目の挑戦で火星探査機を軌道に乗せる事に成功するのである。アメリカは4回目、ロシアはもっとかかったのに・・。
<エンドロールで流れるコメントも、オモシロイ。40億ルピーという額は、アメリカハリウッドの大作映画の製作費よりも安いそうなのである。凄いなあ・・、インドの知恵。
イロイロと突っ込みたくなるところもあるが、鑑賞後、何だか勇気を貰える作品。
困った時にも、鼻歌を歌いながら、難題を片付ける位の心の余裕が大切だなあ・・、と思った作品でもある。>
リサイクルと節約は大事
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