「【無意識のスイッチと、僕の告白を少し】」82年生まれ、キム・ジヨン ワンコさんの映画レビュー(感想・評価)
【無意識のスイッチと、僕の告白を少し】
映画は原作とは異なることもあるが、もしかしたら、原作を読んだ上で映画を観たら、映画の良さがより伝わるかもしれないと思った。
僕にはデヒュンと少し似た経験がある。
一度目の結婚の前、相手の精神状態が不安定になって(なったように思えて)、僕が精神科に一人で相談に行ったのだ。
その時は、精神科という名前だったと思う。
映画と同じで、本人が来ないことには始まらないと言われた。
また、僕の説明を聞く限りは、本人が来るのは難しいかもしれないと思うし、もう少し様子を見ても良いんじゃないかということだった。
その後、式もしたし、籍も入れたが、ギクシャクし始めた。
彼女は仕事や自分の能力には自信のある人だったが、短大卒で、四年制大学卒の人とはそもそも差別があるのだと言うので、編入可能な夜学の大学(良い大学)を勧めて、勉強に協力したりもした。
しかし、結局、ギクシャクは止まらず、離婚することになった。
僕が良かれと思って色々してやったのにと言うのに対して、私は貴方のステップアップしていこうとする上昇志向についていけないと言い争いをしたのを覚えている。
もうひとつ。
僕が転職することになった時に、僕の下で働いていた若い女性社員に、僕が転職した後のキャリアに不安があると相談された。
僕は女性の部下には恵まれていたし、彼女は人柄もよく、決して他人から意地悪されるようなタイプには見えなかった。
僕は、彼女に、どんなキャリアプランを考えているのかを聞いた上で、優秀と評価していたこともあって、八方手を尽くして、ドンピシャの社内のポジションを見つけることが出来た。
僕が離職する時には、長い粘着質な鼻水をぶら下げて彼女は泣いてくれて、僕はつい笑ってしまった。
しかし、彼女は、その2か3年後くらいに、鬱になって会社を辞めてしまった。
女性の先輩社員のハラスメントのようなことがあったと聞いた。
そして、僕は、彼女の当時の経験を十分考慮しないで、性急にポジションを当てはめすぎたのではないか、じつは自己満足のため手を尽くしただけではなかったのか、悩んだ。
実際、彼女が回復して結婚することになり、結婚式でお父さんにお会いすると、色々尽力してもらったことは感謝はしているが、あの子は争ったり、抑圧的な環境には耐えられない子なんだと言われて、また、落ち込んだ。
人事は難しい。
確かにその通りだ。
しかし、前段で書いた経験と併せて、僕は善人になりたいという欲求が勝ちすぎていたのではないかと思うのだ。
別に偽悪が良いとは全然思わない。
その時々に湧き上がる気持ちを頼りにするのではなく、もう少し客観的で冷静な判断が出来たのではないかと云うことだ。
離婚は正解だったし、あの場面を切り抜けても絶対離婚はしてたと確信もしてる。
しかし、この作品を見て、つい、「君のため」と強調してしまいがちなのは、今は違うなと思うのだ。
そして、この映画のなかに散りばめられる言葉もそうだ。
無意識に発せられる言葉に傷付けられたことは、殆どの人が経験しているはずだ。
前に、ジェンダーの話しをしている時に、僕は「普通に」男性で、「普通に」女性が好きだと言ってしまったことがあった。
では、LGBTQは「普通じゃない」のか。
そんなことはない。
人としては普通のはずだ。
女性はかくあるべきだ。
女子生徒は、
女子学生は、
女性社員は、
妻は、
母は…かくあるべきだ。
これらを主語にして考えられる定義は国や地域、地方によっても異なるし、本当に沢山あるだろう。
しかし、本当にそうだろうか。
無意識にそう信じ込んでいるだけなのではないか。
人は思考のフィルターの網目を最大限に広げ、教えを説いてくる。
それで、人を傷付けても、悪気は無かったと言い訳をして、更に、世の中では一般的だと能書きをたれて、傷口を広げる。
もう少し、人は無意識のスイッチをオフにした方が良いように思う。
そんなこと考えてたら窮屈だという人もいる。
単に面倒臭いと云う人もいるだろう。
また、差別が好きだと云う輩も必ず存在する。
啓蒙するのも大変だ。
田舎に住む叔母や叔父に、余計な一言を言うのを止めさせるのは至難の業だ。
でも、出来る人からだけでも、無意識のスイッチをオフにするようにして欲しい。
僕は新卒で外資の日本法人に入社した。
配属先の上司は女性で、女性の先輩が多く、男性の先輩より総じて優秀だった。
異動先の上司は日系アメリカ人の女性で、毎日あげなくてはならない英文のレポートでは絞りに絞られたが、彼女のお陰で海外で勉強させてもらう機会を得た。
転職先の米本社のCEOは女性で、本当にイノベーティブでパッションに溢れる人だった。
でも、病気で早くに亡くなられた。
女性の部下には本当に恵まれた。
今は部長やキーマンになってる人も多い。
女性の活躍する場面は沢山あるはずなのだ。
これからの日本は大変だ。
だから、もう少し、因習のような、実は窮屈な殻を取り払って、女性を見てもらいたいと願う。
テレワークでもっと活躍できる機会が増えると良いなとも思う。
きっと、それを否定する圧力もあるに違いない。
でも、そんなものを笑い飛ばすネットワークでも構築して、女性のみならず、より多くの人材が効率的に能力を発揮する出来る有機的な社会になれば良いなと心から願う。
ワンコさん、初めまして♫先日からこの原作を読みかけていて、あぁ、重い、苦しいなあと感じ、映画ではどうだったのだろうとレビューを覗いてみました。そしてワンコさんのレビューで、旦那さん側の気持ちにも触れた気がしました。先程本を読み終えて、こんなに韓国が何から何まで男尊女卑だったとは、びっくりでした。
ワンコさん、コメントありがとうございます。仰るように映画では気持ちざわつきませんでした!夫(コン・ユ、好きですが)には心の中で色々つっこみ入れましたけど!
ワンコさん、この小説、あるいは映画に限らず、この類のものは本当にざわつくんです。ざわついて、結果的に(わたしの場合は)怒りに結びつきます。特に自分が20代~30代真ん中あたりまでは怒り狂ってました。今は大丈夫になってきました。年とるっていいな~。今でもドキドキするかな、とは思うのでまだ映画みていませんけれど。ワンコさんが書かれたことよく分かります(部下への思い、優秀な女性が多いな含めて)。一方で結果的に辛かった女性の気持ち(詳細を知らないのにすみません)も分かる気がします。この分野で男性と意見を交換するの、かなり難しいと思ってます。だからこそ、いいな、嬉しいな、と思いました。お返事ありがとうございます!
talisman さん、
こんばんは、
コメント、共感、ありがとうございます。
深呼吸して考えてみてください😁
僕自身は、こっちの方がざわつかない気がします。
小説は、イマジネーションが膨らみすぎてざわつくんだろうなとは思います。
ワンコさん、原作読みました。映画はまだ見ていません。NOBUさんにも書きましたが、心がザワザワするので覚悟が必要だからです。ワンコさんのレビューを読んで、共感ポチしました。