劇場公開日 2020年10月30日

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「観出したら止まらなくなった。国と宗教が違えばこんな現実世界があるのです」パピチャ 未来へのランウェイ Marikoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0観出したら止まらなくなった。国と宗教が違えばこんな現実世界があるのです

2021年9月9日
iPhoneアプリから投稿

冒頭から若さ弾ける女の子たちのエネルギー。
仕事上がり、タクシー車内で着替え、おめかしして、いざ夜の街へ!
何が始まるのか?と、こちらも心浮き立つのは束の間で、銃を備えた兵たちの検問に凍りつく。
ここはアルジェリア。90年代の。

イスラム原理主義に支配され、女の服装にまで厳しい目や規制がある中、勝気な女子大生の主人公ネジャマは、持ち前のファッションセンスと裁縫の技術を駆使して素晴らしく素敵な服を作り出す。ナイトクラブの女子トイレでこっそりと注文を取り、生地を決め採寸をし、小さなビジネスを行っていた。

この子はもってるな〜 いい美的センスしてるし、何より意志が強い。まっすぐで澄んだ瞳がそう語ってる。
「人の言いなりになんてならないよ」と。

それが、ある悲劇に見舞われ、悲しみのどん底へ。
これには泣いた。酷すぎる。

悲しみ抜いた後に彼女が行動したこと、それは女子寮での禁断のファッションショー。
仲間の女の子たちもいい味出してるんですよね。
みんな辛い目にも遭ってるんだけど、慰め合い、共に闘う決意をする。
さまざまな苦難の中、ようやく迎えたその日・・・

軽い気持ちで観だしたら止まらなくなってしまいました。
「簡単に屈しない強さ」
「本当に大切なものを守る信念」
自分の国を愛するからこそ、逃げずに闘う。

今のコロナ禍の中の日本人、目立たないように国の言うことを聞いているだけ。
非難されたくない、人と違うことをしたくない、嵐が過ぎ去るまで大人しくしていれば大丈夫。そんな大人ばかりだから・・・
この映画を観てなんだか勇気づけられた気がします。

バピチャとは、アルジェリアのスラングで「愉快で魅力的な、常識にとらわれない自由な女性」という意味だそうです。
実話を元にしているらしく、彼女たちのその後が知りたい。

Mariko