「畑に帰っていった大統領」世界でいちばん貧しい大統領 愛と闘争の男、ホセ・ムヒカ きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
畑に帰っていった大統領
評判は聞いていたが、
ムヒカは、ムショ帰り。
知られているその好々爺の面持ちからは想像も出来ないような 激しい闘争人生を歩んできた御仁だったのだ。
日本で、そして世界中で試みられてきた「社会主義革命」は、結局最後は内ゲバで内部崩壊をするか、あるいは社会主義指導者による一党独裁政権の恐怖政治に成り果ててしまったものだが、
ムヒカの夢は決してそういう生き方ではなかったようだ。
ムヒカは、最も貧しい人々を探し出して家を建て、野菜の苗を一緒に植えて農業学校を作り、住民と共に生きようとする最底辺を目指す人生を送った。
国が変わるためには金の力によってではなく文化の力で国民の心が変わらないといけないのだとも。
13年の獄中生活で学んだものが、釈放後の怨念を晴らす報復計画や革命分子としての君臨ではなく、ただただ自己抑制と奉仕の姿へと花開き、「投獄体験をさえ感謝する体験だった」とムヒカは言う。
そのあり得ない言葉が凄い。
謙虚で、自分を絶対視せず、向けられる批判をも謝辞をもって受け入れ、レッドカーペットを嫌って離任後すぐに畑に戻って行った男の人生だった。
お見事というほかない。
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まるで映画のようなドキュメンタリー作品でした。
世の中には変わり者の政治家がいるものです、
実は僕の住む長野県にもかつて変人の村長がいたのです。
南相木村の故 倉根七郎さん。
村境の「別れの松」の横に「不戦の像」を建立しました。
戦争中 出征兵士を見送ったその村境に「不戦の像」を建てることだけを公約に立候補して、建立後に退任されたと聞いています。
驚くべき「碑文」は「南相木村ホームページ不戦の像」で検索して読んでください。
自らに栄誉を帰さない、ひっそりと生きた“聖人”たちによってこの世というものは清められ、腐敗を免れてきているのかも知れませんね。