劇場公開日 2020年9月18日

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TENET テネットのレビュー・感想・評価

全979件中、21~40件目を表示

4.5凄まじいSF

2025年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

『テネット』を2度以上見た。
それからようやくまた見る気になって鑑賞した。
それにもかかわらず、謎だらけのままだ。
この物語が何を表現しているのかと言えば、ニールの最後の言葉「世界を変えることができる威力ある爆弾」に集約されるだろう。
そしてそのひとつは、たとえ知らないことでも影から守ってあげたいと思う気持ち、いわゆる愛なのだと思う。
そのために、クリストファー・ノーラン監督が壮大なフィクションを手掛けるのは本当に凄いとしか言いようがない。

ややこしさの最初にあるのが、主人公に名前がないことだ。
ここにも何か仕掛けられているように感じる。
彼こそ視聴者を象徴しているのだろう。
そして、この世界を滅ぼそうと考える男セイター。
彼はすい臓がんのため刹那的感情を持っており、まるで三島由紀夫が言った「オレが死ねば世界も消える」と同じ発想だ。
この意外に思われるかもしれない普遍的な考えが、この作品の下敷きになっているのだろう。

この世界が私の誕生と共に発生し、私の死と共に消え去るという概念はスピリチュアルにもある。
このややこしい概念からスタートしているのも、わかりにくさの一因だろう。
それをSFを通して物質的にやってしまったのがこの物語だ。
この緊迫感は「オッペンハイマー」の核分裂の連鎖が起きたらどうなってしまうのかというのを感じさせる。

未来の科学者の女性がアルゴリズムで知ってしまったこと、そして荒廃した未来人が望んだのが世界の破壊だったことが語られる。
この極端な発想と荒廃した未来の未来人の説明が割と淡々としていることで、わかりにくさに拍車をかけている。
そして、巡行する時間と逆行する時間の同居こそ最大の矛盾を感じるが、これこそがこの作品の特徴でもある。

そして同時に存在する「私」。
理解不能に拍車をかける理解不能な設定。未来からの指示を受けて任務を遂行する過去の私(主人公)。
未来の彼の命令を順守するニールもまた矛盾しか見えない。
ニールだけでも、見ていないところでいったい何度回転扉を潜っているのだろうか?
全体的な空間だけでなく、個々の人物たちに個々の命令を出しているという点もややこしすぎる。

世界を破滅から守る。
この壮大な計画こそがモチベーションだが、クリストファー・ノーラン監督が視聴者でもある主人公に見せたかったのは、やはり「希望」だろう。
何としても、どんな手段を使ってもやり遂げる意志こそが未来を創っていくものなのだと思う。この希望こそがこの作品の着地点だったように感じる。

主人公にとってキャットの存在は非常に重要だ。
彼女はセイターの妻であり、彼の支配から逃れたいと願っている。
主人公はキャットを助けることで、セイターの計画を阻止するための鍵を握ることになる。
キャットは主人公にとって、単なる協力者以上の存在だが、彼女への想いがどこにあるのかは難しい問題だ。
彼女を救うことは、主人公にとって倫理的な使命であり、彼の人間性を示す重要な要素だが、女性として特別な想いを抱いている影だけが見えるようだ。

キエフ(私はあえてこの名前を使う)から始まったこの物語。
ロシアのウクライナ侵攻の2年前。
プルトニウム241
そして未来。
監督はこの陰謀論に相当詳しい。
もし、あの時ヒラリーが大統領になっていたら起きたはずだった事件を彷彿とさせる。
マレーシア航空370便の不明事件も臭わせている。
何もかも前もって仕組まれていることを映画を通して見せられているというのも、あながち嘘ではないと想像してしまう。

しかし、難しい。
ややこしい。
だから面白いのだと思う。
日本人が作るのが弱いSFだが、世界のSFは相当進んでいるようだ。
難し過ぎてもうついて行けないと感じてしまうほどだ。

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R41

4.0起きたことは仕方ない

2025年4月2日
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鑑賞方法:DVD/BD

興奮

知的

難しい

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カズユキ

3.0ノーランの人気な所以が全て詰まったような作品

2025年2月24日
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鑑賞方法:VOD

"わかりやすくわかりづらい"というノーランの特徴が最も顕著に現れた作品だという印象。
にしてもここまで難解なのに人気が高いのは凄い。
自分は完全に置いて行かれてしまった。

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ボブす

4.5難解だが最後には一つの繋がりが見えてくる

2025年2月10日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

前半の難解で意味のよく分からない出来事が後半になって徐々に関係性が浮き彫りになっていき、最後には一つの大きな繋がりが見えてくる。ラストのこれまでのシーンが一本の線に繋がる感覚は圧巻でした。
また映像も素晴らしく、世界各地、舞台が移り変わるところも見どころがありました。
過去と現在、未来の時間軸が複雑で、セリフも難しく、クリストファーノーラン監督の作品らしい秀逸な作品でした。

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Sugi

2.5展開がテキパキしていて新しい登場人物がどんどん出てくるので、物語に...

2024年11月24日
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鑑賞方法:映画館、VOD

楽しい

興奮

難しい

展開がテキパキしていて新しい登場人物がどんどん出てくるので、物語についていくのが大変だった。
時間の逆行と順行の入り乱れ&切り替わりを巧みに使った戦闘アクションは見応えがあった。
案外、ストーリーより映像重視の映画かも?

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Omi

5.0そもそも

2024年10月28日
iPhoneアプリから投稿

同じ映像で時間が進むのと逆行するのを同時に見せるのをCGほぼ使わないでやるとか 最後の進んでる軍隊と時間の逆行してる軍隊のはさみ撃ち作戦とか発想が意味わからなさ過ぎるしやはり天才なんでしょうね!
しかも監督の発言で全てのシーンが決して整合性がある訳じゃないとか言ってて 考察好きの人を殺しに来てるのには笑いましたよ🤣
ノーラン作品て 合う 合わないが極端ですが自分はメメントを見てからずーっとノーラン作品は全部劇場で見るくらいのノーラン信者でハズレ作品は無いと思ってます🤓 ただ真面目過ぎてふざけたシーンが一切無いから変な疲労感が見終わった後にあるんだよなあ😵

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お主ナトゥはご存じか2.1ver.

3.0うーん。

2024年9月17日
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鑑賞方法:VOD

難しい

映像や発想は、すごく面白いと思う。
いかんせん内容が全然わからない。
見返してもよくわからなかった。

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ぼんじょび

難解にみえるが…

2024年9月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

それっぽくして誤魔化してる。
矛盾や荒らさは結構あるしなんとなく見てないとかえって矛盾などが気になり冷める。
信者が持ち上げてるだけでノーランはやはり演出家としての才能はない。
これを見て時間を無駄にしたことは悲しいし泣ける。

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阿呆

0.5やはりダメだった。

2024年9月4日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

まず主演に華がない。
そして小難しい(或いはそういう風に聞こえる)ワードを並べ立てたりそういう様なプロットにしたりすれば物語に深みを与えられると思うのは大間違い。
それで誤魔化せるのは受け手が表面しか見ていない場合のみだ。
インテリぶって深みを与えようとして失敗し矛盾だらけにもなっている。
映像面でもアクションシーンやIMAX上映を利用し演出力の乏しさを誤魔化している。
(撮影監督のホイテ・ヴァン・ホイテマは撮影技術はいいのだから無能のノーランともう組む必要はない。)
こういった面がノーランの小賢しさであり浅はかさである。
子供騙しだね。
理解が難しいという様なレビューがあるが、くだらないものをわざわざ理解しようとしなくていい。
2時間30分を無駄にした。
何が「理解しようとしないで。感じるのよ」だ。
粗さや矛盾を誤魔化すな。
責任を放棄するな。

Don’t underestimate me.

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阿呆

2.5私には難解すぎた……

2024年9月2日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

難しい

もう逆行を活用し始める段階からついていけなくなった。
逆行中は空気を吸えないのはわかるけど、なんで室内なら大丈夫なの?
最後、主人公達は何と戦ってたの?ていうかそんな撃ち合うくらい敵居た?誰が死んだの?
飛行機内戦では逆行を利用した戦い方していて魅せられたけど、終盤とかもう利用してるのかできてるのかもわからなくなった。
多分二度目どころか何度見返しても理解できないだろうな。

主人公は世界も一人の女性の人生も同じくらいの重さで救っているように思えるのがカッコよかった。
黒幕も渋くてイイね!

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bex

4.0世界を救え 〜 逆行と順行

2024年8月24日
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こころ

1.5一回で理解出来ました(笑)

2024年8月22日
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知的

難しい

一回では理解出来なかったという至極真っ当なレビューに対して、
「一回で理解出来ました。あなたの理解力に問題があるんじゃないですか」
というさも
「私はお前と違って頭の良い人間だ」
という勝ってもないのに勝ち誇ったような稚拙なコメントが散見されるが、恥ずかしいからやめたらどう?
頭の良い人はそのようなコメントは書かないのが分からない時点でお察しである。

さて作品に関してレビューするならば、サッパリである。
もう気持ちの良いくらいサッパリ分からない映画であった。
人によってはクリストファーノーランの自慰行為とすら取れる作品である。
映画を"ちゃんと"観れる人間と思われたい人が何度も足を運び、またはサブスクで夜な夜な何度も観て8%ずつ理解度を深めるような作品である。
または理解出来ない事に憤りを感じ、例えるならば逆上がりが出来ない事でキレて日が暮れるまで鉄棒にぶら下がっている小学生のように、この作品に一定期間ぶら下がって理解出来るように練習する作品である。
そして人類の数パーセントは一回で
「なるほどなぁ。良い映画であった」
となっているのだろうけども、残りの人類は
「なんだこれぇ…わっかんねぇ…」
であるはずである。

因みに私は鉄棒小学生タイプだった。
ずっと「なんだこれ訳分かんねぇなぁおい」とイライラしながら見ていたのだけども、ラストあたりのシーンでの主人公の表情を見た時に、深く理解したいと感じた。
ストーリーやエントロピーやらなんやらを理解したい訳ではない。
主人公の気持ちを理解したいと感じた。
それから数回観てみては撃沈している。
でも理解したい人間を撮れるって実はとても素晴らしい事なのかもしれない。
そういった面で理解が少し進んだおかげもあって、この映画には価値があるかもと感じる。

難しい映画を好きになれる人。
理解したいと探究心が強い人。
分からないことに我慢できる人。
何度も同じ映画を観れる人。
こんな要素が数個当てはまる人はこの映画を観て楽しむことが出来る可能性が高いと思われる。
そうじゃない人からしたら人生の時間を無駄に過ごしただけの駄作と感じてしまうであろう。
人がどう感じるかは自由だし全ての感想は否定されるべきではないけれども、お勧めできるか動画で考えると、お勧めしずらい映画だなっていうのが全てである。

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綾鷹ごくごく

3.5映画だけを見てストーリーを理解するのはこんなんだと思ったので、途中...

2024年8月19日
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映画だけを見てストーリーを理解するのはこんなんだと思ったので、途中で解説を見ながら視聴。
解説を見てもしっかり理解できたかどうかわかりませんが、逆行するアクションは中々面白い試みですね。
ノーランは毎回映像美で我らをびっくりさせてくれますが、今回のはストーリーが難解すぎるのでもう少し柔らかい表現でお願いしたいです。

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ハーブ

4.0訳分からん(でも好き)

2024年8月11日
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知的

難しい

時間を扱う作品は数あれど、逆行というのは珍しい気がする。
順行者と逆行者が入り乱れてわけわかめ。
最後のシーンも画面が暗いし、皆同じような防弾服だから何が起きたのか分からなかった...

でも飛び込んだ女が実は、とか、要所要所でハッとなるポイントがあって良かった。
たぶんまた観る。

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Hej

5.0これがほんとの”伏線回収”映画。IMAX再上映!グランドシネマサンシャイン池袋が世界のIMAXシアターの中でNO.1の興行収入を記録!

2024年7月9日
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鑑賞方法:映画館

興奮

1週間限定、グランドシネマサンシャイン池袋開業5周年記念再上あ映は、ほぼ満席でした!
初公開時は、グランドシネマサンシャイン池袋が世界のIMAXシアターの中でNO.1の興行収入を記録!
クリストファー・ノーランから劇場に感謝の手紙が届き、今でも展示されてます。

本作は、まさに、これがほんとの”伏線回収”。​​
前半に敷かれた伏線が、後半次々に回収されていくのが快感です!
逆行原理?世界?が良い意味で理屈っぽくて面白い。
特殊な論理×大スケールアクション(+ちょっと滑稽)という点では「インセプション」に通じます。
全体としては、007のエピゴーネン!!
ジャンボ機が突入炎上大爆発!
敵ボスのふてぶてしさとボンドガールならぬTENETガールの魅力!
クライマックスの大団円、後ろ向きに歩く軍隊が可笑しい!
ツッコミどころ満載なのに、観てるときはそれに気付かせる前にぐいぐい進んでいくストーリーに身を任せるのがおすすめです。
何度観てもちゃんと理解できずに、騙されているような独特の雰囲気も楽しくなる。
博士?科学者?も「考えるな」と言ってるし。

これでも2度目の鑑賞ですが、初公開時に、以前(コロナ禍前)IMAX劇場で、突然、他作品の上映前に一部特別公開。
本編の冒頭十数分(劇場テロシーン)を延々強制的に観せられて、なんだ?NETFLEXの新作ドラマか?ドラマにしては頑張ってるかなぁでも微妙…と思ってましたが、それがこれだったのか!
ちなみに、IMAXフルスペックの劇場(池袋)では、従来の横長+上下のサイズ(1:1.43)に驚きました。
これまでスタンダードより横に広いシネマスコープが偉かったけれど、今後は横はシネマスコープのままで、さらに上下に広がる「1:1.43」の方がすごい・・・という技術の進化に驚いた、いい思い出です!

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ITOYA

3.02回目にも関わらず、まったく分からなさすぎて1時間ほどで就寝。翌日...

2024年7月5日
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鑑賞方法:VOD

2回目にも関わらず、まったく分からなさすぎて1時間ほどで就寝。翌日、ネタバレサイトでストーリーを把握した状態で満を辞して臨むものの、30分ほどで就寝。3度目の正直なるか。

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芝本祐介

4.0難解であるが、SFではない。

2024年5月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

科学的に理解しようとするから難解になる。基本ファンタージ―と考える事で説明が付く。

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mark108hello

3.0ノーランのうまく説明出来ない作品シリーズ

2024年5月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

あまり、感動はしなかった。

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ムーラン

1.0画映るわ変が方見の界世

2024年4月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

世界の見方が変わる映画。映画を観終わって信号待ちをしていた時、ふと歩いている何人かが逆行しているように見えた。
「そんなバカな…」と思って目を凝らすと、世界はなんの歪みもなくきちんと順行していた。当たり前の世界なんだが、ホッとすると同時に奇妙にも感じられた。
そんな風に感覚に侵食してくるような、味わったことのない映像体験が「TENET」にはある。

もしかしたら、何も「知らない」ことの方が、「時間の逆行」よりも重要な事かもしれない。
理解できない事を恐れなくて良い。「知らない」ということは、目や耳から入ってくる刺激にとって、大きな驚異と感動をもたらすスパイスになりうる。
未体験ゾーンの衝撃は、未体験だから生まれる。体験後にその衝撃は来ない。

体験後にしか言えないこんなアドバイスは、未体験の人にとっては「何のこっちゃ?」で、未体験だから体験するまでわからない。
しかし、体験してからだと刺激と衝撃は「既に知ってること」になってしまうから「未体験」とは言えなくなるわけで…、あ~ややこしい!
まさに「TENET」的だ。
とりあえず、覚悟を決めて観た方が話は早い。

意外なほどノーランは優しくて、「名もなき男」と同様に作品世界に投げ出された私たちに沢山のヒントを与えてくれる。
そのヒントたちや今までに体験したことをしっかり心に「記録」しておけば、巨大スケールで展開される出来事に翻弄されつつも、未来と現在をつなぐ光明をとらえる事は出来る。
観測する私たち、観測の「記録」だけが「TENET」の中の指針だ。

一応言っておくと、翻弄され続けて脳幹が痺れても、「面白い!」と思う人は面白いし、理解不能なことが不満な場合は、例え後々理解できても「面白くない」事は変わらないと思う。
映像のこだわりに対して、エモーションの部分を掘り下げる場所が少なく、映画に情緒を求める人にとっては物足りないだろうな、と思ったのが正直な感想だ。

完成度は高いけど、観た直後はそんなに興奮できなかったなぁ~、と思っていたのに星4評価にしたのは、家路の間に私を襲った「TENET」効果が今もなお続いているからだ。
こうしてレビューを書いている間も、ふとした拍子に何かが逆行してくる気がして落ち着かない。
そして逆行していないことが奇妙に思えて仕方ない。
そんな感覚が味わえるのは、後にも先にも「TENET」だけだろう。

━━追記━━━━━━━━━━━━━━━━━━
と、ここまで書いて投稿したのだが、隣でノーラン信者(全作品鑑賞済み)の旦那が「全く面白くない!星1!」と激おこプンプンなので、それについて書いておこう。
あと、協議の結果星の数を1に修正することにする。流された訳じゃなく、熱量の問題だ。ふわふわした浮揚感に流されているのは私の方だな、と思ったから素直に受け入れよう。

「メメント」でノーランと衝撃的な出会いを経験した彼は、「ダークナイト」でその信仰を確固たるものにし、以来敬虔な信徒として作品に耽溺してきた。
「フォロウィング」を探し回ったのも良い思い出である。購入したDVDは今でも折に触れ見返していて、とても鑑賞済みとは思えないテンションで楽しんでいる。
そんなノーランに身も心も骨抜きにされた旦那が、「話はわかる。別に難しいことなど何もない!わかったからって、面白くないもんは面白くないんだよ!」とマジ顔のプーチン並みに怒り狂っているのである。はわわ。
確かにアクションは薄いし、ドラマチックでもないしな。
多分「インセプション」のアクションか、「インターステラー」のドラマ、どちらかだけでもあったなら彼はそんなに怒らなかっただろうな。

「つまんなかった時は、つまらないってちゃんと言っておかなきゃダメだ!」との事なので、ここに「記録」しておく。

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