劇場公開日 2020年9月18日

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「注意‼️逆行してもどうやら若返るわけではないらしい。」TENET テネット グレシャムの法則さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5注意‼️逆行してもどうやら若返るわけではないらしい。

2020年9月19日
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鑑賞方法:映画館

【2回目の鑑賞記】2020.9.21
1回目にスッキリしない理由がその難解さ以外にもあるとすれば、私の場合、ラストの主人公とニールの会話が、本人たちだけが分かってて、こちらには「えー、もう少し分かりやすく種明かししてくれないかな」という部分があったからだと思います。
そこで、2回目はニールの観点に立って展開を追いかけてみました。すると、想像以上にクリアに見えました。特にレッドチームとブルーチームの戦闘シーン以降は、1回目と違う映画を見ているかのようでした。
1回目が『父親たちの星条旗』、2回目が『硫黄島からの手紙』と例えてもオーバーではないほどに。
自分が逆行モードの時、周囲は逆に動いていても、自分はあくまでも普通に懸垂トレーニングなどもできるわけですが、1回目に見た戦闘シーンは、今はどちらモードの目線?と混乱していたことも分かりました。ニール目線で追いかけていると、始めはブルーチームの逆行から始まり、その後……という具合に、割と混乱せずにクライマックスまで見通すことができました。
そして、1回目には思いが至らなかったニールの◯◯◯に大いに感動することになりました。思いのほか、深い余韻に浸ってます。

1回目は、合格基準点60点の試験にギリギリで受かったつもりでいたら、実は50点も取れてない不合格。2回目は、それなりに復習と過去問をやったから、もしかしたら75〜80点くらい取れたかも。
というところまでやっと来れた感じです。
(満点とるのは一生無理そうです)

【1回目のレビュー】
(2回目の鑑賞前に、こういうことかな、という拙論追記あり)

私はノーラン監督の大ファンです。
野球とかサッカーの贔屓チームと一緒で、客観性や公平さとはまったく無縁のレビューですが、贔屓の引き倒しとならないよう気をつけながら、書いてるつもりです。

まさにファン心理のなせるワザだと思いますが、見終わった直後の印象は、そのまま始めからの期待と100%一致してました。逆に言えば期待を超えるほどのことはなかったということなのですが、『インターステラー』には及ばなくても満足度という点では文句なしです。
(個人的に『もののけ姫』と『インターステラー』を今まで観てきた映画すべての中で、東西の横綱(結構、張出横綱もいますが)思っている私としては、番付の変更をしなくて済むことに妙な安心感もあったりしました。)

正直、科学的な理屈の部分は半分も分からなかったのですが、〝分からないのに大満足〟という不思議な昂揚感が得られます。それはたぶん、スポーツの名勝負を見た時のカラダ全体で感じるアドレナリン出まくりの興奮状態のようなものです。

例えば、昨年のラグビーワールドカップ。
前半35分のあの交代がインパクトをもたらした、とか、後半早々のあのタックルが分岐点となった、などと後になっての振り返りで感動が一層深まることがあります。
でも、ゲームを見届けた瞬間は、そんなこと知らなくたって間違いなく、いいものを目撃できた、という高揚感に浸ることができます。なので、あとから他の方のレビューやネタバレ情報などで当初の満足度がさらに高まったり、もう一度観て確認しなくちゃ、という二次的三次的な楽しみがある点もスポーツの名勝負と似ています。

この映画、分からないことが多くてもなんだか凄いぞ、というシーンの連続なので2時間半ずっと映画の世界に引き込まれっ放しになります。
感染予防で付けてるマスクなのに、主人公が逆行するときには、ちょっと待って❗️過去に戻っても、順行の時はマスク無しでも平気なんだよね?死なないよね?とまるで自分もそこにいるかのような気持ちになって自分の口元を確認してました。

ノーラン監督のこれまでの映画なんかよく知らないという〝にわか〟の人だろうが、前からのファンだろうが、この一戦(この作品)は〝劇場で観た甲斐があったよね〟と観たもの同士で大いに語り合える濃密な作品です。

(以下、2020.9.20 追記)

エントロピーという専門用語と時間の関係が今ひとつ分からないままだったので、一日中考えてたら、科学的に正しいかどうかは別として、自分なりには納得できたので(でもすぐ忘れてしまうので)記録化。

まず、相対性理論による時間の伸び縮みについては、こんな感じで理解したつもりになってます。

距離=速度✖️時間

日常生活の感覚では、時間は不変なので、同じ速度の新幹線であれば、東京•名古屋より東京•大阪の方が時間がかかる。
光速の宇宙船が走ってるとします。
その中でキャッチボールをした時、乗組員にとっては1秒で10メートルだとしても、宇宙船の外の動かない場所から見てる人からは、光速30万キロ/秒➕10メートルの移動距離に見えます。日常の感覚であれば、同じ経過時間に動いた距離が圧倒的に違うのだから、宇宙船と共に動いているボールの速度が異常に速いことになるはずです。
観測者の位置やスピードによって(例えば、平行して走ってる宇宙船から見た場合とか)ボールの見かけの移動距離も違うので、上記の距離は色々と違ってきます。
ところが、『光速度はどこにいる観測者から見ても秒速30万キロで不変』という宇宙誕生以来の原理があるので、上記の算式で距離がどれだけ増減したとしても、光速はその原理によりどの観測者から見ても〝不変〟なので〝時間〟を調整するしかありません。それでも光速で移動中の人にとっての体感は日常と同じ1秒なので、時間が伸びた、としか言い表しようがないのです(と、私が理解してるだけで、正しいかどうか分かりません)。

そして、どうやらエントロピー(何かの乱雑さ)というのも、ビッグバン以来、『時間が進むにつれて必ず大きくなる』という宇宙の不変の法則のひとつらしいのです。
それは『熱力学の第二法則』と呼ばれているのですが、乱雑さと熱がどう関係するのか。
弾んでいるボールが永久に弾み続けないのは、運動エネルギーが空気分子やボール分子や地面分子の熱に変わってしまうということだそうです。
ややこしいので、もっと大雑把に言います。

宇宙誕生直後、超高温の無限の質量を持つ小さな火の玉は大爆発(ビッグバン)以来、ずっとエントロピーと呼ばれる乱雑さが増し続け(例えるならば、秩序のある塊が熱を放出しながら、銀河や太陽系のように局所的には秩序のある部分はあるけれど乱雑に散らばり続けているということ?)、最終的には秩序立った構造はどこにも見当たらなくなり、宇宙の乱雑さが最大限に達する。それを『宇宙の熱的死』というそうですが、その時間の経過中、宇宙全体の平均のエントロピーが小さくなることはなく、必ず大きくなる。

つまり、宇宙における絶対的な〝不変〟のうち、光速は時間を伸縮させました(相対性理論は既に実証的に確認されている。だからGPSの誤差…地上と人工衛星における重力による時間差が調整できる。ここでは光速と重力の関係は割愛)。
もうひとつの〝不変〟である『エントロピーは時間と共に必ず大きくなる』という法則も、この映画のようにもし小さくすることができれば、時間の流れを変えることができる、ということになります。
ただし、時間の流れの向きを変えることはできても、一足飛びに過去のある瞬間に行けるわけではないし、まだ起きていない未来へも行けないということになります。
以上、私の理解が大筋で間違っていなければいいのですが、このまま、2回目の鑑賞にチャレンジします。

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グレシャムの法則