劇場版ごん GON, THE LITTLE FOXのレビュー・感想・評価
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名作に新たな息吹
わずか28分で2時間分の感動をもらった。木彫りの人形によるストップモーションの生命の躍動感。その生命が失われる瞬間があまりにも悲しい。生命のやり取りは生きる上で避けられないという残酷な教訓を教える原作と、手彫りの人形を1コマ1コマ動きをつけて生命を再現するアニメーションとすごく相性が良いと思った。
兵十を演じた入野自由の芝居も素晴らしかった。ナイーブな若者役が上手い人だけど、そのナイーブさが生命を奪うことの抵抗感につながっていた。「ごん、お前だったのか」の抑揚の効いた芝居がすごく良い。諦めたような、感情が一つ死んだような、でも悲しみがこもっていた。八代健志監督の作品をもっと見てみたいと思った。
キツネを狩るのは、西洋人。 忠別岳で出逢ったキタキツネは飢えていて可愛く無かった
稲荷信仰の始まり見たいな話?
若しくは、マザコンのバカ息子の話。
日本には稲荷信仰があるし、狐は害獣とは言えなかった。寧ろ、煽る老人が『畑を荒らす』と言うのは、鹿やカモシカで、狐は其の捕食者に当たり、その為、稲荷信仰があるのだ。この主人公は鶏等の家畜もどうやら飼っていないようで、無益な殺生になる。その理由が『母に鰻を食わせられなかった』では、お門違い。神に対する冒涜になる。とまぁそんなところだが、良く出来たストップモーションアニメだと思う。
キツネを狩るのは、西洋人。原作者は、脱亜入欧の教養人だったのだろう。
本はよく読むが、日本の童話は宮沢賢治先生以外余り読んだ事が無い。アンデルセンの『人魚姫』と『マッチ売りの少女』をいきなり読んだので、宮沢賢治先生も含めて、日本の童話で単純に泣ける事は無かった。そう考えると、僕こそ脱亜入欧の真犯人だ。でも『マッチ売りの少女』を最初に読んでしまうと宮沢賢治先生の『夜鷹の星』であっても単純に泣けないし『パトラッシュ』見たいな犬の死くらいでは泣けない。長編で心が動かされたのは『レ・ミゼラブル』の『ファンティーヌとエポニーヌ』かなぁ?
追記 狐とかオオカミが嫌われるのは西洋で、西洋人は羊とかうさぎやニワトリを育てていた。だから、その捕食者を忌み嫌うのだ。日本にもない訳ではないが、オオカミは早くに絶滅してしまうし、キツネには鹿が沢山、山の中にいた。人間が自然を壊すから、捕食者の対象が変わってしまうのだ。二酸化炭素が増えるって言う理論と一緒。二酸化炭素をエネルギーにしている森を壊す事に問題があるのだ。太陽光パネルを、森を伐採して作っていたのでは、元も子もない。
正統派なストーリー展開。わかっちゃあ、いるけど、結局は泣かされる…
『HIDARI』パイロット版の前座で同時上映。
全く知らなかった作品であったが、素晴らしいクオリティのストップ・モーション。
但し、ストーリーは、思ったとおりに進み、思ったとおりに終わってしまう。
たぶん子供向けに作ったのだろうが、あれだけの技術力と表現力があるのだから、大人が観ても唸ってしまうような展開にしても良かったとは思う。
まあ、ああいう、ある種オーセンティックな話で完成させるというのが、最初からの基本コンセプトだったのだろう。
そういった意味では、しっかり成功しているので、結局は、まんまと涙腺は刺激されてしまうのだ。
神様なんて、いるわけないじゃん。
2023年1月8日
劇場版 #ごん GON, THE LITTLE FOX(2019年)鑑賞
#新美南吉 の #ごんぎつね をストップモーションアニメで撮った作品でした
日本の原風景が美しかった
特に彼岸花
キレイだな
【”彼岸花、そしてごんの償い・・。”ちょっと、悪戯をしただけだったのに・・。誰もが知っている優しく、哀しき話を、美しき日本の情景を背景に描き出したストップモーション映画。】
ー 今作が斬新なのは、ごんの目線からは、彼は二足歩行をする人形として、人の言葉も話し、兵十の目線からは、ごんは野生のキツネに見える視点の使い訳であろう。
それは、動物と人間の垣根を暗喩させ、起こる悲劇を予感させる。
だが、今作が多くの人の心を打つのは、ごんの後悔と優しさと、兵十の怒りと真実を知った時の後悔が交錯した時に、ごんと兵十の心が繋がるところであろう。-
■ごんは、新見南吉の代表作であることは、誰もが知っているが、新見南吉は生前は決して恵まれた環境で育った訳ではない。そして、29歳という若さで病没している。
愛知県半田市には、新見南吉記念館がある。
お近くに来た際には、お寄り頂けると、彼の人となりが良く分かると思います。
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半田市の隣の安城市で、新見南吉の足跡を辿り、西尾市(旧幡豆町)で、安くて美味しい鰻を食すると、心と身体が満たされますよ。
以上、愛知県の観光宣伝でした・・。愛知県の西三河地区は、良い所なんです・・。
やさしい人間ときつね
原作も読んでみると兵十が普通の大人の人間として描かれているが、映画では優しすぎる人間として表現されている。ストップモーションアニメでこれもまた人が最も優しくなれる秋をふんだんに描いている。ごんもいたずら好きではあるが兵十を慰めようと毎日栗やきのこを届ける。ほんの少しすれ違いのタイミングがずれていたら、この物語はハッピーエンドだった。こんなにも優しさに包まれた世界なのに、分断というのは残酷である。
あっという間に物語は終わったが、誰も顔をあげなかった。大人が嗚咽して立ち上がれないのだった。
とても味わい深い作品です。原作を知る人も知らない人も、機会があればぜひ一度ご覧になってください。
予告編を観て、映像が綺麗だなと思っていたのですが
本当にその通り、期待通りのの作品でした。
とても丁寧に作られた
秀逸な出来映えのストップモーションアニメ作品です。
観終わってしばしの間
ためいきしか、出ませんでした。 ふぅ
(あ、良いものを観たときのためいきですよ)
◇
”ごん” と ”兵十”の物語です。
皆さんご存じの通り
悲しい結末を迎える訳ですが
より哀しいのはどっちだろうかと考えています。
”ごん” と ”兵十”
命を落とした"ごん"よりも
"ごん"を撃ち殺してしまった"兵十"のほうではないかな と。
栗や松茸を届けてくれていたことを知り
おそらくは
それが始まった時期に思い当たり
ウナギを逃がしたイタズラ狐のことを思い出し
色々と想いを巡らすに違いなくて…
母の命を奪ったかもしれない "ごん"
詫びようとしていたかもしれない "ごん"
それと気付けず撃ってしまった "兵十"
…切ないです。
◇
個人的には
兵十には、
母と”ごん”を弔う諸国行脚にでも行って欲しい
そんな風に思わずに居られませんでした。
このお話
小学校の教科書に載っているよと
そう聞いていたのですが、
いくら考えても学校で習った記憶がありません。
調べてみたところ
全ての小学4年生の教科書に載るようになったのが
1980年からとか。
※小4のこどもは、この作品から何を感じとるのでしょう
最後に
彼岸花をもらい、夕陽を背景に駆ける "ごん"。
このシーンが印象に残ってます。
喜びが滲み出てくる感じが、とても良く伝わってきました。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
川面はどうやってるんですか先生!
吉祥寺アップリンクにて。ギャラリースペースの作業場&撮影再現展示が最高でした。
同じストップモーションでKUBOがあったけど、あれは凄いけどなんかなあと思った理由が少しわかった気がする。
動作と動作の間にある空気感に温度がある、というか。隙間だから、絵面上見えてない部分なんだけど、画面から滲み出る手間の気配、というか。
百姓のつぎはぎだらけの服とか、彼岸花とか、頭部の木彫とか、この映画、手間しかない。
そしてどの手間にも制作者の愛が感じられる、素敵な作品でした。
アニメーションのあり方に一石を投じた作品
日本のアニメはまず女子高校生ネタが多くありきたり作品ばかり。そんなアニメに一石を投じたのがこの劇場版ごんである。新美南吉のごんぎつねを新しい解釈でストップモーションアニメーション。一見すると昔のNHK教育の人形劇アニメっぽいかなと思いつつも全くそんな事はなく、アートの要素もあり昔、子供の時に国語の授業で習ったごんぎつねを思い出させた。今のこのご時世だからこそこのごんを再確認できただけでも良かった。もう一度新美南吉ごんぎつねを読んでみたくなったアニメーションだった。30分で楽しめるのもまたいい。ぜひ、親子で観てほしいアニメーション映画である。マイナス0.5は日本のアニメしっかりしろと叱咤をこめてマイナスにしたが、日本の童話の名作を再解釈してアートアニメ映画にしたのは素晴らしく4.8点です。
趣きぶかし。
日本の元風景にストップモーションアニメの趣きがここちよい。こぎつねの表情も人間の表情もゆたか。夜空も夕焼けもきれい。忘れていたけどゴンぎつねの話ってこんな切なかったんだと知ったのでした。
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