オフィシャル・シークレットのレビュー・感想・評価
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民主主義のお手本の国でトップが平然と嘘をつき戦争しようとする時、あなたならどうする?
「9.11」という数字の意味を知らない人はいないのですが、「9.11」のすぐ後にアメリカとイギリスが起こした「大量殺害」の話は、すっかり忘れ去られている気がします。 「9.11」が起こった後のアメリカのブッシュ大統領は、突然「悪の枢軸」と言い出し、イラクが核爆弾などの「大量破壊兵器」を持っている、と言い放ち、「9.11」の黒幕は(石油大国の)イラクのフセイン大統領だと決めつけました。 日本も賛同した「イラク戦争」は、すでに証明されているように、実はアメリカ政府が「でっち上げた嘘」に因るものだったのです。 本作は、イギリスの諜報機関に勤務する女性職員が、無理やり戦争をしようとするイギリス政府に「おかしい!」と感じ、マスコミにリークする実話を描いています。 同じテーマの作品としては、昨年に公開された「記者たち 衝撃と畏怖の真実」や「バイス」がありますが、これらはアメリカ視点で描かれているのに対して、本作は、イギリス視点で描かれている新しさがあります。 キーラ・ナイトレイの演技が良く、しかも、彼女の扮する「諜報機関職員」が主役のため裁判も関係するなど、物語としても、昨年のアメリカ視点の2作とは違った展開をしていきます。 「イラク戦争」での死者は、本作では「イラク人が15万~100万人、アメリカとイギリス軍は4600人以上」とされています。 いずれにしても、2000年代の、これだけ情報が行き交う社会で、100%の嘘で、平然と民主主義代表のような国が数万人以上もの人を殺してしまうわけです。 歴史に「もしも」は、ないのですが、「過去」(と言っても、まだ10数年前の話ですが…)からの教訓によって「未来」を変えることはできると思います。 その意味で、本作の役割は非常に大切なものだと感じます。
欺瞞のぶつかり合い
「私は、国家に仕えているのではなく国民に仕えている」は、壮大なる後付弁明だった。そういう点を露わにした演出は素晴らしいと思いました。 防諜、諜報の仕事ってそういうもんだし、そこに瞬間湯沸器的に正義心を抱くのは構わないんだけど、指示された業務のどこにもイラク戦争の大義がない(実はそうなんだけど)なんて、一ミリもない。非常任理事国各国の弱みを探ってくれ、なんて普通の防諜だろうし、そこにイラク開戦の大義がない、とするのは飛躍しすぎ。 圧巻は、ラストの法廷闘争です。凄まじいまでの腰砕け、猫騙し、肩透かしには大笑いました。これはダメという評価ではなく、とても面白いとしての大笑いです。実際、国家としてはそうせざるを得ないわけで、防諜の難しさと合わせて情報の保全の大切さを優先させればそうならざるを得ないのは理解できます。 2018年の映画のようですが、日本がUKUSA(ファイブアイズ)に参加云々の話が出てくるタイミングでこの映画の上映ですよね。何かを感じさせませんか?
Whistleblower
「国民の名の下に集められた情報はすべて公表すべきだ。問題は時期だけ。」「規制が必要なのは国の安全が危ぶまれる時だけでいい。政府が困るかどうかは関係ない。」 映画の中で出てくるウィルキンソン海外少将の言。ブレア政権の嘘は後に開示された。いつかは開示されるという信頼が施政者への抑止力となる。ブッシュやブレアの汚名は消えることはない。日本で欠けている機構。 主人公の行動は軽率ともとれる。社会的なキャリアの浅い翻訳家が、国家機密触れる場所に立ち入ることに驚きすら感じる。そのあまちゃん度合いに、主人公に感情移入することができず、距離をとってしまう。 内部告発には、告発する事実に公益に反する問題がなければならず、それを証することができなければならぬ。彼女にはその信念があったかもしれぬが、証明できた訳ではないだろう。 それがあやふやな状況であっても告発を社会が許容すべきなのかも知れぬ。しかし、それは結果的に証せなかった場合においても、社会が寛容であり続ける前提が必要である。その寛容さを社会に期待できるか。 政治的な判断により政府は追及を諦め、彼女は放免された。彼女の信念は証明されたが、それは結果である。同じくあやふやな状況で開戦したブレアは凶とでた。調査委員会が不必要な戦争と結論づけた。ブレアは自らの判断を未だ正当化している。多くの自国民もイラク国民も殺されたが、戦争犯罪人として裁かれた訳ではない。 先の主人公への距離感は全体として、良いバランスをもたらしてくれた。彼女の行為の是非とともに、社会のあり方の是非も問う良作である。 公正ミスをあそこまで罵るのは完全なるパワハラでNG。
あなたは、政府を敵に出来ますか?
自分の生活が犠牲を払ってまでも、政府の事を敵に出来ないなと思う。 イギリスの諜報機関GCHQに勤務していた女性の実話です。 正直、政府の嘘はよくない。 でも、女性もそこで働いて、怪しい話なんて一杯あるだろうし…。 その人が働くべき職場では無かったなと思った。 正直 勇気なのか? あまり考えていないのか?と思う所があった。
【諜報活動考】
この事件で、最もゾッとするのは、法廷で検察側が証拠を示さず、争うのを中止したことだ。 キャサリンが無罪になったという高揚感より、僕は、この法廷を通じて様々なことが明らかになることを拒む、戦争犯罪を主導した組織の闇が続いていることの方が、よほど怖いと思う。 イラク戦争の闇については、他の映画「バイス」や「記者たち」でも触れられるが、この作品で語られる、諜報活動の地道な作業の積み重ねに改めて驚く。 だが、現在、イギリスやアメリカの、このような諜報活動は、対中では劣後していると言われている。 冷戦下では、ロシア語を理解する諜報員が多くいて、傍受した会話などの内容を理解し、分析できていたのが、今は、中国語を理解できる分析官が相対的に少なくなってしまったからだ。 理由は、中国は所詮は新興国だと軽く考えていたこと、中国の経済発展が激しく、経済の拡大によって、資本主義的な権利の考え方が根付くと勝手に自由資本主義サイドが信じ込んでしまっていたこと、一帯一路のような野心を中国が抱くとは考えていなかったことなどで、政府機関としての諜報活動の体制が対中で整備が著しく遅れたのだ。 さらに、SNSの活動などで意図的か否かを問わずフェイク情報が増え、真偽の確認に、より時間が必要なことも重要な要因だ。 これに対して、中国の諜報活動の活発さは、サイバー攻撃や、違法なハッキングによる重要情報の盗難などニュースで報じられているところからも明らかで、中国人の多言語の理解能力は群を抜く状況になっている。 諜報活動は外交上、非常に重要だ。 だが、必ずしも監視は外にだけ向けられるものではないことも「スノーデン」のケースでも明らかだ。 だから、正しくコントロールすることが望まれるのだ。 そして、国家は、これを利用して犯罪を犯してはならないのだ。
普通でした。 実際のお話をもとにしているため劇的に内容を変更するこ...
普通でした。 実際のお話をもとにしているため劇的に内容を変更することは不可能だとわかってはいますが、よくできた再現VTRをみている感じでした。 起承転結の振れ幅がフラットです。 しかし事実を元に作成と考えると恐ろしいことに変わりはありません。
公僕は、政府でなく国民の為に働いて下さい
政府と国は同一でなく、国は自分が生まれ育った郷土と同一ではない。 校正の箇所は、ひぇ~!!と非常に心臓に悪かったです!校閲の後、担当記者なり編集長による最終チェックは入らないのだろうか!と校正係の女性に同情しました💧 イギリスの街並み、いいなあ。いい雰囲気の煉瓦の建物、郊外の草原というか荒野、そして海、どこもいつも天気悪くて寒そう…住みたくはない。イギリスの法廷での鬘姿、思わず笑ってしまう。英国って、何か変、でもいい俳優がたくさん!ファインズが弁護士なら大丈夫!と思いました。でもああ終わるとは!隠したいこと山ほどあった証拠だ!「コリーニ」でもそうだったけれど、法廷外で弁護側と検察側ってよく話すのかな。かまかけたり、隠して言わないこともあるんだろうけれど。 キャサリンえらい。記者のマーティンもオブザーバー紙編集長の決断も素晴らしい!裏取りのアメリカで調査してた奴も変わり者だけどよかった!ブッシュ、パウエル、ライス!すごい圧力で嘘だったよね。 インテリジェンスの仕事は怖い。誰の為なのか、を常に意識してないと頭がおかしくなりそうだ。キャサリンは入ってまだ2~3年だったからまともでいられて、加えて自分への信頼と勇気があったんだろう。
圧巻…
個人的には911は米国政府が中近東で行って来た多くの非戦闘員の民間人殺害のツケを国民が支払わされた結果だと思うが…中には米国政府の犯罪の支持者も居たで在ろうとも思っている。 それはさて置くとして、この作品を観て、日本でここ迄やりきれる国家公務員やメディアや弁護士は居ないだろうと思っている。居ればこの国はもう少しはマシだろうから。 しかし、国に告訴されて1年も苦しめられた結果がこうなるとは予想もしなかったし、勝てないと解っていて正しい者を苦しめるとはネ… ある意味気が抜けたが告訴された本人も弁護士も同じ様に思うが… 国家の偽りや過ちは徹底して裏を取り逃げ道を塞ぐと正義は必ず証明出来るのだネ…それを信じて生きて行きたい。 日本の役立たずな野党さんはこの作品を観て死にものぐるいで政権を追い詰めて税金の無駄喰いを恥じて欲しいけれどネ…
真実は小説より奇なり
イラク戦争に米英が突入していく背後で、英国人による国家機密情報がリークが大スクープされいた事件を映画化。 バグダッドを占拠したあと、1年くらいの長い調査の結果、イラクに大量兵器が見つからなかったことは記憶に新しい。物語のようだが知ってる登場人物と事件でぐいぐい引き込まれた。
平和ボケ
これが真実で現実という事実。 あの戦争の裏にある事実 兵器なんて無かった...。 だけで終わらせてはいけない これから先、こんなことがおきてはいけないし 起こしてはいけない 引き継がれなければいけないことで 引き継いでいかなければいけない 戦争で人が死なないことは無いし 戦争で幸せになれるひとなんていない。 自分の無知さが情けないし 平和ボケにもほどがありました。
うらやましい
もっと追い詰められるのかと思ったけど、拍子抜けしたラストだったな。 主人公だけじゃなく、回りの人間の立場や考え方、仕事の仕方などわかりやすく引き込まれた。 主人公が弁護士や警察に堂々と答えているのを見ると自分自身も気持ちいいし、うらやましくなる。 自分を信じるって大事。それだけで魅力が増す。 そんな主人公に引き込まれた映画でした。
裏取りは大切!
存在しない大量破壊兵器のために戦争を始めた米英。世界的な世論も「もしかしたら開発してるかも」と疑っていた人は多い。全ては情報操作。国連安保理の理事を盗聴せよというメールがアメリカNSAからイギリスGHCQに届いたことから、戦争推進派のインパクトは強まるばかり。疑問を持った中国語担当のキャサリン・ガンがメールを告発すべくマスコミにリークしようとする内容だ。全然知らなかったよ・・・ 多くのメディアはフェイクかもしれないと報道を躊躇う中、オブザーバー紙が綿密な調査、本国アメリカへと追いやられたエドが貢献して謎のCIA職員フランク・コーザが実在すると確信したため記事にした。戦争を食い止めることができるかもしれない!と思われたが、メール内容が単語の綴りが米国式ではなく英国式だったためフェイクとされた・・・可哀そうな校正係エレンちゃん。 内部調査官からは同僚がみな尋問され、自分は疑われなかったけど、気の弱い者はうそ発見器にもかけられそうになった。自分のために・・・と、ついに「私がやりました」と告白するキャサリン。警察での取り調べ、起訴されるまでは全て盗聴されてると思わなければならない。当然、相談した反戦活動家も秘匿しなければならない。そしてクルド人である夫ヤシャルが移民局に拘束され、強制送還される恐れも出てきた。 結果的には戦争は行われ、多大な死者数を出したが、キャサリンの勇気は称賛すべきものだ。公務秘密法で有罪の判決を受けるかもしれない恐怖も感じられるが、メール内容を記事にした記者たちからも応援され、周りの友人たちからも応援され、女性刑事でさえ有能な弁護士を紹介してくれた。もう・・・泣ける。 裁判に至るまでの間にも検察が裏で・・・といった後からの内容も信じられないくらいで、裁判も呆気なかったが、これも前代未聞の出来事。何回も観たくなる映画でしたが、最終的にはレイフ・ファインズ演ずる弁護士が美味しいところを持って行った感じ。法律はどうあれ、メール内容そのものが違法なのだからと、国民に尽くすといった強い信念を持ったキャサリンに拍手を送りたい。新聞記者のマーティンやエドの記者魂も感じましたよ。
現実は映画より
出来心で秘密漏えいしたイギリス人諜報員と、弁護士の話。正直、弁護士の方が頼もしいと思いました。レイフ・ファインズは貫禄ですね。 正しい民主主義とは何か?を問う映画だと思いました。マスコミも含めて。公文書を平気で破棄する日本と違って欧米はしっかりしてるなあ、と感心。ラストも肩透かし気味だけど、現実はドラマよりシビアなんだなと思いました。
勇気ある行動
映画としてはまぁそこそこ楽しめるという感じでしたが、やはり内容がすごいですね。。イラク戦争ってついこの間のことだもんな、、いったいこれによって何万の命が奪われたのか。。信念のある勇気ある行動は尊敬します。アメリカはやっぱなんか怖くて苦手。
見て見ぬ振りよりやる偽善?
舞台はこじんまりとしていて、起伏も大きくないけど、当時のUK国内情勢に疎い人でも分かるよう背景描写がされていて、丁寧なつくりです。 もはやあの2000年台初頭の世界を覆っていた空気感なんて忘れかけていたのもあり、 あの少し異様で、世界中の国とヒト同士がお互いに疑心暗鬼になっていた、舌に苦いものが残るような雰囲気を思い出す。 第三者になり切れば、彼女がしたことは極めて独善的で、おおよそ視界に入る誰も幸せになれない行為なんだろうけど、 ただ、国家が違法と思しき行為をしつつある中で、それをリスクを負わずに止める方法がない時、どうしたら良いのだろうかと、小市民は悩んでしまうのです。 何より、少なくともいろいろと屁理屈捏ねて道理を立てようとする彼の国とは違い、 こちらでは、官僚が白昼堂々と彼らの命とも言える書き物を、改竄したり捨てちゃったりが横行しているので。
スパイ魂に感動。職業倫理か、人間倫理か。
数年前、ブレア元首相が懺悔していたのを見たのはBBCだったかな。信じられなかった。 大量破壊殺人兵器存在のエビデンスなきまま、イラクへの爆撃開始したことは、ブッシュの一人お手つきかと思いきや、影ではブレアも同調していたのだ。 職務上その動きを知り、前後の見境なくリークし、ともかく罪なきイラクの無辜の民の犠牲を防ごうと行動を起こした女性スパイの話、という大筋は理解していたものの、期待以上の出来だった。おそらく、主演女優・キーラ・ナイトレイがカッコ良いことが8割(主観です)貢献していると思う。自分の罪を潔く認め(クルド人の夫はかなり振り回され悲惨)、減刑よりも国家とのガチ対決を望む強さに感銘。「崖から飛び降りる」っていうのはこれくらいの状況で使うべしです。伴走する弁護士は完全に彼女の分身でしたね。二人が裁判に向けての戦略を話し合う場面、シンプルな英語・すごくロジカルで気持ち良かった。 ともあれ、史上最悪の大統領はトランプではなくベイビーブッシュなのでは?との思いもよぎった。今のところ、ね。トランプよ、選挙直前に妙なキナ臭いマネはしないで!!
裁かれるべき人は?
間違った事をしなければ、裁かれないのか。正しいことをしなければ、裁かれないのか。映画は21世紀始めの戦争の事実。その犠牲者数は米英兵士を含め40万人にも及んだ。 ありもしない大量兵器を口実に戦争を起こした英米首脳。イギリス諜報情報部員のひとりがその戦前、情報の不正義を新聞記者にリークする。裁かれるべきは、戦争を始める人であって。戦争を阻止する人ではない。 ps.実話の中のご夫妻は現在、イギリスではなく、夫の母国トルコで生活されているようだ。
観て、知るべし!
前情報なく、好きな女優さん作品なので鑑賞。 いやいや、自分が不勉強なだけなんだけど、 こんな政治的企てがあったなんて、知りません でした。 戦争は人災の面も多分にあると痛感。 それはそれは人間と言う生物が恐ろしくなるほど。 この映画は単なる暴露ドキュメンタリーではなく、 ただの庶民、一市民である主人公があくまで等身大に 国家に、組織に対峙していく様に心打たれます。 ただ、当たり前の事を、日々願っていることを やる事の大変なこと。 世界はおかしい。 キーラ・ナイトレイはじめ、俳優陣のしぶーい 抑えてる感じの演技がより物語に深みを 与えてると思いました。 個人的には ラストシーンが大好きです。 僕は、弁護士さん側の人間だなぁ(笑)
人として、を問われるメッセージ
前半は、キャサリンの行動が、正義に突き動かされた結果かもしれないけれど、あまりに想像力のなさに呆れてしまったけど。 覚悟は徐々に固まっていくのだね。 その気持ちを支えるのは、周囲の理解者。 検察と弁護士は同業だから、ツーカーかもしれないけど、人としてのあり方が浮き彫りになった結末でした。 友人関係もなあなあで済ませないのは、国民性?日本人なら……って、考えてしまった。 それにしても、国家権力って怖いですね。 登りつめたら、何か勘違いしてしまうのでしょうか。
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