劇場公開日 2020年10月3日

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「石井監督が撮るべき映画はこんなんじゃない」生きちゃった 野川新栄さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5石井監督が撮るべき映画はこんなんじゃない

2021年2月1日
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鑑賞方法:映画館

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興奮

2021年映画館鑑賞14作品目
2月1日フォーラム盛岡

盛岡で『生きちゃった』が公開されていたので近場の石巻を変更し高速料金1700円あまり払ってまで遠征して観に行った石井裕也監督のファン
自分が住む岩手と宮城の県境付近と違い盛岡駅周辺は驚くほど雪が積もったらしく駐車場は雪かきしないと一晩停めたクルマを動かせない状態で歩道が滑りやすく歩くのも楽じゃなかった
盛岡が仙台に勝っているところはほとんどないが唯一優れているのは映画館が集中しているのではしごをしやすい点である

前置きはここまで

半年後半年後半年後

楽しみに見に来た『生きちゃった』ではあるが最初の30分は石井裕也監督作品とは思えない陰鬱で辛気臭い話が進んでいくだけで正直がっかりした
これがあと1時間続くのかとG-SHOCKを観ながらイライラした
満島ひかりとの離婚に思うところがあったのかも知れないが石井裕也監督に作ってほしい映画はこんなんじゃない
元プロ野球選手とか石井裕也とは同姓同名の別人がメガホンを取ったのかと思った

ところがレ・ロマネスク登場あたりから石井裕也監督らしさが出てきた感じ
父ちゃんと母ちゃんが大麻やめろと長男を叱るシーンが面白かった
刑務所の帰り記念撮影する際ラーメン屋でカメラの使い方がわからない男や別の場所で別の人にカメラを撮ってもらうときの父ちゃんの作り笑顔も好き

3人の高校時代の詳細は描かれていない
パピコを分け合うことがすべてだ
2人にとっては後々にも特別な意味を持っている

仲野太賀はなまはげに続きまたしても離婚を突きつけられる役で主人公厚久
今回も演技が素晴らしかった
父より彼の方が好きだ
伊藤沙莉もよく観るが彼もよく観る気がする
若葉演じる武田は厚久の無二の親友
2人が泣きじゃくるポスターの印象的な場面はラストシーンに続くクライマックス
ああいう終わり方も悪くない
最後まで観てみるとやっぱり石井裕也監督作品だとわかる

厚久の兄で透役の役者さんは初めて観た人だが韓国生まれの韓国人らしく映画監督の人でセリフがないのは日本人のような日本語が喋られないからだ
なぜ彼を起用したのか知らないが喋られない設定なら良かろう
大根では演技指導もままならないだろうし存在感はたしかにあった

この作品の1番の売りは大島優子だろう
今回の観客の多くは若い女性だったけど
厚久の兄に殺された愛人の借金の保証人になってしまいデリヘル嬢に落ちぶれてしまう
いわゆる体当たり演技というやつだが僕はそういう表現が大嫌いだ
ここまでリアルな口淫はなかなかない
世の男性の多くが見たいのは北村有起哉のお尻ではないだろう
なぜデリヘル嬢なら殺していいのか全く理解できなかった
Wikipediaの大島優子の写真はキンタローの物真似みたいであまりにも馬鹿みたいな姿だった
それなりだが今の大島優子には必死になって女優の階段を登っていく姿が眉間の皺に窺えた

ゲイのふりをしているつもりかもしれないが手を握りあって山田と武田が殺害現場のラブホを目指す演出も石井裕也監督らしいといえばらしい

野川新栄