劇場公開日 2020年12月25日

「新たなポケモン映画の傑作」劇場版ポケットモンスター ココ 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5新たなポケモン映画の傑作

2021年1月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

これは素晴らしい。ポケモンと人間の関係はこれまではトレーナーとポケモンという関係が基本で、そこには関係の非対称性、要するに上下関係があった。その関係の非対称性について問うエピソードはこれまでにもあったが、今回の映画はさらに深く掘り下げたという印象だ。
ポケモンに育てられた少年、ココは種としては人間であり、心はポケモンだ。その出自の真相を知り、葛藤を経て、人間とポケモン両方の自分を抱えて生きていくことを選ぶ。ポケモンと人間の関係を人間優位、人間中心主義的な視点から脱却させており、これはそのまま人間と自然との関係に当てはめて考えることができるだろう。宮崎駿の『もののけ姫』やカートゥーンサルーンの『ウルフウォーカー』のように、既存の人間社会の外部の視点がこの映画にもある。ポケモン映画の新しい金字塔だ。

杉本穂高