劇場公開日 2020年2月21日

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「惜しくて惜しくて惜し過ぎる~」バトル・インフェルノ R41さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0惜しくて惜しくて惜し過ぎる~

2025年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悪魔という宗教上信じられているものは一般的に浸透しているものの、日本では「マツコの知らない世界」でバラされた心霊現象映像の嘘によってたちまち消え失せてしまった。
しかし今でも海外では心霊現象や悪魔にまつわる何かしらのものは人々の中で信じられているのだろう。
そこにある最初の概念 神 この概念の逆というこの世界の仕組みが、悪魔というものも同時に存在させている。
それを現代に置き換え、いわゆるYouTubeをモチーフにしたSNSで悪魔祓い儀式をライブ形式で配信するという設定
従来これがなかったのは、ややもすれば3流作品へとなってしまう危惧があったからかもしれない。
しかしこの作品の脚本はうまくできていた。
ホラーとしてのタブーに近い部分にまで踏み込んでいるが、それを上手に処理している。
確かにホラーとして着地を決めている。
さて、
この終わり方はまさしくホラーだったが、SNSの問題点と絡めればもっとよかったように思った。
つまり、悪魔が登場しケーブルをかじった瞬間に消えることで悪魔とSNSが融合し、その結果、最後のニュース映像になればその原因こそネットで悪魔に洗脳された各自の認識がそれらの事件を引き起こしたということは、視聴者は汲み取ってくれると思う。
ただ、そもそもあの裕福な少年が何者だったのかを伝えたかったのだろう。
しかしそれさえも、あの少年の奇怪な行動によって大統領に判断ミスが起きたということも描けたと思う。
タイトルがそもそもバトルインフェルノに訳されていることが2流以下を感じさせてしまう。
しかしそれは内容を鑑みつけられているので仕方がない。
原題であるThe Cleansing Hourをもっと別の言葉にした方がよかったようにも思えるが、あの内容ではこれもまた仕方がない。
世界の人口の約55%を占めているキリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒の総和
つまり「神」の存在と悪魔の存在を信じているのは、最低でも世界の55%いるということだ。
これこそが人類が最初にかけ間違えたボタンだと思う。
物語では偽神父マックスが、悪魔に言われて懺悔する。
このシーンこそこの作品の最も興味深い場所だった。
彼は言った「頭が悪くても悪いことはわかる」
彼がした懺悔 キリスト教の学校で受けた体罰に対する反撃とケガをしたシスター
「教会に近づくほど増えていく悪」
これこそが真実であり、落ちこぼれの彼らが見てきた世界の真実だったはずだ。
この真実を、400万人が見ている中で悪魔がマックスにしゃべらせるという快挙は、悪魔といえども圧巻だった。
せっかくそこまで持ってきたのだから、やっぱりその路線で最後まで物語を書いてほしかった。
悔しくて仕方ない。
つまり、
悪魔と神とは一緒なのだ。
時に悪魔の姿をして現れることもある。
宗教の真実と教会の真実を世間に公表し、それらが招く人々の苦悩や病気の正体こそ、間違ったことを正しいと認識させられることで起きる現象であり、様々な出来事に通じる。
それは今やネット上で人々を無作為に攻撃し始めているというように締めくくって欲しかった。
マックスたちのした行為とそこに乗っかってきた悪魔
そこに示されたこの世界の真実
焼け焦げたスタッフやカッターで自分を切ったクリスは、ケガひとつなく生きていたことにして、でもマックスの指は嚙み切られており、彼らは悪魔との対峙によって宗教がしていることを悟る。
そして彼らは宗教を否定し、まったく新しい世界観を世界に向けて発信し始めたという完結にしてほしかった。
いろいろ勝手なことを言ってごめんなさい。
信じなくなったキリスト教に対するマックスたちを描いているのであれば、どうしてもそこに着地してほしかった。
悔し~~~

R41