ストレイ 悲しみの化身のレビュー・感想・評価
全2件を表示
絶妙な気味の悪さ
クリックして本文を読む
「息子じゃない」
冒頭、亡くなった男児の身元確認のために警察に呼ばれた父親はそう言い放った。
行方不明として処理された息子・ヴァーニャ。両親は心を痛め、養子を求めて教会を訪れた。
このシーンから「なにか特別な力が働いている」と感じさせる演出。母親は何かの気配を感じてそれを探る······。
発見された遺体と幼い子ども。子どもたちから『ゾンビ』と呼ばれいじめられていたその子どもに母親は異様なまでの執着を見せ、連れ帰ってしまう。
そして、それが悲劇の始まりだった······───。
ストーリーのテンポは良いとは言えなかったが、それが逆に気味の悪さを演出していた。突然背後に現れたり大きな音で驚かせるビックリ系ではなく、視界の外で得体の知れない"何か"が蠢いているような恐怖や、手の届きそうで届かないところで大切なものが闇に侵食されていくような不快感を味わえる。
物足りなかった点としては【ここからネタバレに当たるが】、父親が『ソレ』に取り込まれるまでの描写をより丁寧に描いた欲しかったように思う。突然母親と父親の立場が逆転してしまうので、より自然に段々と変化していく······くらいが好みではあった。
『ソレ』の出生についてもっと深く掘り下げられていたらより楽しめたように感じるが、言葉では表現せず映像やフラッシュバック・鏡の演出による表現が秀逸な作品だった。
全2件を表示