「グレタガーウィグ信頼できる。」ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 だいずさんの映画レビュー(感想・評価)
グレタガーウィグ信頼できる。
若草物語といえば世界名作劇場の愛の若草物語であるアラフォーが、グレタガーウィグ監督のLittle Womenを観た感想です。
小説は、高3時に一巻だけ読みました。受験勉強の逃避で。
今回の映画は若草物語1と2を原作にしているようです。映画を見終わってから、1と2の合冊された小説を買いました。訳文は青い鳥文庫と同じみたいです。
さて、COVID-19の大流行により、3月末の公開が延期となり、6月中旬に改めて公開されました。制作されるとのニュースを見て以降楽しみにしていました。
公開前にアメリカでの評判はそうよくもないと聞きかじっていて、あまり期待しすぎるとだめなのかなと思っていましたが、杞憂杞憂。めっちゃいいやん!と思いました。
かなり原作小説に忠実ですし、それでいて現在(メグ子育て中、ジョーNYで作家志望、ベス死期が迫る、エイミー仏留学中)と過去(4姉妹がローリーと出会って南北戦争が終わるころ?)を交錯させる構成は効いてるし、4姉妹がやかましくしゃべりまくって嵐のように去って男たちがぽつんと…みたいな場面は楽しいし、本当によくできていると思いました。
ベスがピアノを弾かせてもらうお礼に、ローリーのお祖父さんに手縫いのスリッパをプレゼントして、そのお礼にピアノをもらう話が、愛の若草物語のころから好きだったのですが、しっかり再現されていてうれしかったです。
シアーシャローナンとティモシーシャラメはいいコンビですね。
振られてやさぐれるローリーの可愛いこと。
ジョー演じるシアーシャローナンは相変わらず良いと思いました。
19世紀の女の子が、21世紀の女の子とこんなにも似通っていると感じさせられたのは、シアーシャの力が大きいのではないかと思います。
ジョーは、女の幸せは結婚ではないって思うのに、でも(結婚とか恋愛とかに縁がない)自分はこんなにも寂しい(要約)と叫んでいましたが、だよねって首がちぎれる勢いでうなずきました。
あとは、エイミー演じるフローレンス・ピューがよかったですよ…
氷がわれて池ポチャしたエイミーから、パリのアトリエで絵を描くキリっとしたエイミーまで、ふり幅のある演技でよかったです。
いとしのローリーがやさぐれているので叱り飛ばし、愛していない人との結婚は踏みとどまるも、ローリーは姉が忘れられないみたいだし、でも…みたいな心の機微が、よく感じられて本当によかったです。
メグとベスもよかったのですが、やはりジョーとエイミーが抜けてました。
姉妹の少女時代を描いている部分しか、アニメ・小説では触れていなかったので、冒頭からルイ・ガレルがでてきてるけどなんやろ?もうでてこーへんとかないよな?っておもってましたら!
彼がジョーの愛する人になるってことなんですねえ、よくできてるなあ(何度目?)と思いました。
私としては、(恋愛はいいとして)ジョーには結婚せずにいてほしかったのですが、そのあたりを、きっとオルコットは意に反する要求を版元にされしゃーなしでジョーを結婚させたんだろうとの解釈ができるように、ガーウィグは書いてくれたので、まあ納得しよか、となりました。
ごはん食べなあかんし、稼ぎとしての仕事には、金の出どころへのすり寄りもある程度必要ですもんね。
結婚ってロマンスという砂糖をまぶした人身売買じゃんよ人身御供じゃんよと私はおもっているので、オチが結婚してハッピリーエバーアフター💛では、結局それかよってなるんですよね。
原作小説がジョーは結婚して学校を開いたってなっているので、それには沿わねばならない、でも現在にそれではってことで、オルコットは書きたくてそう書いたんじゃないかもよってにおわせておくね。そのように解釈しました。