「シアーシャ・ローナン」ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語 かゆいさんの映画レビュー(感想・評価)
シアーシャ・ローナン
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物語を書くのに夢中で短気なおてんば娘は女の幸せは結婚であるという考えにうんざりしていた。結婚相手が貧困層であったために生活が回らなくなっていく姉、芸術家を目指すも才能が頭打ちとなり結婚を急ぐ妹。数年前まで彼女たちは共に生活をする家族だった。若くもたくましい4人の女性は悩みながらも進むべき道を探していく。ありふれた日常の中にときめきがあり、怒りがあり、後悔がある。過去の何気ない言動が胸を締め付ける。けれどそんな青春時代が支えとなって今の自分を生かす。シアーシャはそんな主人公の心の変化を見事に演技で表現した。短気で早口で、こうと決めたら周りが見えなくなる主人公の性格はそのままに、見え隠れする心を揺れる青い目、息遣い、乱れる髪でオーディエンスに届けた。時代は違えど現代の女性も同じ考えを持つ人は少なくないだろう。結婚が女の幸せであると誰が決めたの。女は夢を持ってはいけないと誰が決めたの。独りで生きることが哀れなんて誰が決めたの。そんな考えにはもうんざり、疲れた。でも、自分を取り巻く人々はいつの間にか周りに居なくなっている。それがとてつもなく寂しい。シアーシャ演じる主人公は青い目を真っ赤に腫らす。1868年に出版された若草物語は2020年の今にも十分に精通する女性の人生の物語だった。
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