「シェイクスピアの妻はアン・ハサウェイ」シェイクスピアの庭 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
シェイクスピアの妻はアン・ハサウェイ
どこまでが実話なのかとわからないほどシリアス。さっそく調べてみると、次女ジュディスに関するスキャンダルは実話のようだし、家族のことはほぼ本当の話なのでしょう。最も疑わしいのがシェイクスピアが故郷に戻ったという点・・・いや、これを疑ったらストーリーが成り立たないじゃん。
そんなわけで晩年には家族と過ごすことになったウィリアム。独身のジュディスに対しても寛容だったし、遺産相続に関してもある程度均等に分割するみたいな話題で持ち切り。一見平和そうに見えたりもするが、早世した息子ハムネットの葬儀にも戻らなかったウィリアムに対する非難や葛藤が渦巻いていたのだ。
疫病で亡くなったとされていたハムネット。彼が作った詩にも将来性があると見込んでいたのに、ジュディスによる告白には驚かされるウィリアム。そのままシェイクスピア劇に使えそうな展開でもあり、見抜けなかった自分を恥じるのだ・・・しかし、驚きの展開はさらに続く。疫病なのに死者数が少なすぎる!
驚愕の事実に打ちのめされるウィリアムの心がひしひしと伝わってくる。僕の物語を完成させてね・・・とは、このことだったのか!All is true 奥が深い。さらに息子の亡霊なんてのも『ハムレット』を彷彿させる見事な設定でした。
ジュディ・デンチの安定の演技力。イアン・マッケランのガンダルフみたいな登場。ベン・ジョンソンとの会話など、興味深いシーンも盛りだくさん。Thouとか古英語を使ったりしたけど、仕掛けがいっぱいあった気がします。TV放送されたら、また見たい。
kossyさんへ
派手さは無いけど、「割と良い映画」だったと思うんですけど、埋もれちゃいましたねぇ...
「一般受けの良い話で、人気役者を揃えて、短時間でサッサと撮った映画」が溢れかえってる我が国の映画界ですが、「良く練られた脚本で、良い役者さんで、丁寧に撮られた映画」の良さを教えてくれる、こんな作品を、もっと多くの人に見て欲しいと思いますです。