シェイクスピアの庭

劇場公開日:

シェイクスピアの庭

解説

「ヘンリー五世」「から騒ぎ」「ハムレット」と、シェイクスピア作品を数多く手がけてきたケネス・ブラナーが、シェイクスピアの人生最後の3年間を描いた監督・主演作。1613年6月、「ヘンリー八世」上演中のグローブ座が大火災により焼失した。断筆したウィリアム・シェイクスピアはロンドンを去り、家族が暮らす故郷のストラットフォード・アポン・エイボンへと戻った。20年以上の間、ほとんど顔を合わせることのなかった主人の帰還に妻と娘たちは戸惑いを隠せなかった。そんな中、シェイクスピアは17年前に幼くしてこの世を去った最愛の息子を悼むために、庭を造ることを思い立つ。シェイクスピア役をブラナーが演じるほか、オスカー女優のジュディ・デンチ、「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズのイアン・マッケランら豪華なキャストが顔をそろえる。

2018年製作/101分/G/イギリス
原題:All Is True
配給:ハーク
劇場公開日:2020年3月6日

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映画レビュー

4.0フィクションを交えつつ、ありえたかもしれない文豪の「心の内側」を雑味なく描ききった名作

2020年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

ロンドンのグローヴ座消失後、故郷のストラットフォード・アポン・エイヴォンへと帰ってその後は一本も戯曲を書かなかったシェイクスピアの余生を描いた物語。謎に包まれた彼の人生ゆえ当然ながらフィクションも混ざっているが、他でもない英国を代表するシェイクスピア表現者であるケネス・ブラナーが主演、監督を務めているので、この「フィクション」にもある種の説得力というか、ありえたかもしれない文豪の心の内側をよくぞこれほど雑味なく描いたなという旨さがある。とりわけ興味深いのは、これまでありったけの情熱と創造性を「筆と紙」にぶつけてきた主人公が、故郷では「庭づくり」へと情熱を移行させる様だ。そこには内面世界がこれまでの戯曲とは全く違う形で投影され、表現者を突き動かす原動力の正体を静かに浮かび上がらせていく。静かだが、力強い。従来の人物像から一歩踏み出した人間性を描こうとする作り手の心意気を感じさせられる一本だ。

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牛津厚信

3.5「お父さんの留守で家庭内に溝ができて…という話?」…と最初は拍子抜けしたが

2024年3月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

幸せ

見進めるにつれ、この家族の抱えている悩みが想像以上に深刻だったので、段々と気になっていった。
事件としてはなかったことにされようとしていた。ところが、この家族…特にジュディスにはそれが背負い切れていなかった。無理もないと思う。
でも、この家族はやっとそれを精算した。柔らかさと優しさが家庭に満ちてくる。清々しい。
彼は人生の最後に、愛する家族という場所にやすらぎを見出した。それ自体は平凡なといえる。でも、シェイクスピアのような名声も財産もある人間でもそうだった、ということが、なかなか興味深い。かれの人間性、誠実さを垣間見る気がした。

映画全体としては、わたしは、セリフや間の取り方などに、ややとっつきにくさ、わかりにくさを感じ、少々ひとりよがり?…という印象を持った。
美しい映像はよかった。昔の素朴な家やインテリア、当時の生活スタイルが楽しかった。
妻役のジュディ・デンチの演技には魅入ったが、主役のブラナーが私にはひまひとつ響かなかった。なぜだろう…。

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あま・おと

3.5【”知られざるシェエクスピアが筆を折った晩年を描いた作品。”サー・ケネス・ブラナー、ジュディ・レンチを観るとあー、英国映画だなあと思う趣深き作品。】

2024年3月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■1613年、「ヘンリー八世」の上演中に大火災が起こり断筆したシェイクスピアは故郷へと戻る。
 20余年もの間、滅多に会うことのなかった主人の帰還に、妻や娘たちは驚きを隠せない。そんな家族をよそに、シェイクスピアは愛する息子ハムネットを悼む庭を造り始める。

◆感想

・私は、シェイクスピアの全作品を読んでいない。
ー と言うか、”全作品俺は読んだぜ!”という方が敬服したいが、ハッキリ言って近年のエンタメ要素に満ちた作品を読んでいると、あんまり面白くない。-

■今作は、自身の戯曲が掛かった劇場で起こった火災を切っ掛けに筆を折ったシェイクスピアの晩年を描いているが、彼が帰って来たことで戸惑う家族の姿が、面白くも哀しい。
 シェイクスピアは愛する亡き息子ハムネットを偲ぶ庭を作り始めるし、それに反発する家族たち。

<今作が見応えがあるのは、サー・ケネス・ブラナーが演じる晩年のウィリアム・シェイクスピアを人間として描いた姿である。
 英国映画の抑制したトーンが好きなんです。>

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NOBU

3.5ケネス・ブラナーが頑張っていること

2024年2月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

もう何年も、ケネス・ブラナーは映画人としてイギリスに関係する作品に率先して出演したり制作したりしているように見える。
自身の出身地である「ベルファスト」を撮ったり、イギリス人作家アガサ・クリスティのポワロシリーズを撮ったり、自身のルーツ、そして出身国イギリスのルーツを、表に出していこうと頑張っているように見える。
本作「シェイクスピアの庭」も、その系譜なのだろうと思うのだ。

シェイクスピアの戯曲はイギリスで舞台をやっているだろうからそれはせず、シェイクスピア本人を描く。
しかもシェイクスピアの黎明期ではなく、最期を描くというのは、ケネス・ブラナーが最期にしっかりとイギリスの痕跡を残してやろうという意気込みのように思えた。
まあ、まだそこまで年寄りではないのでケネス・ブラナー自身が死期を感じてはいないだろうが、映画人としていつまで活動できるかと考えれば、そんなに長い時間が残されているわけではないだろうから。

作品はそんなに面白いものではなかったけど、イアン・マッケランとジュディ・デンチは久しぶりに見た気がして、そこは良かった。
イギリス映画なので当たり前だが、ハリウッド映画にもうあまり出なくなったイギリス俳優が見られたのはいい。
イギリス人キャストだって、ケネス・ブラナーが残したいものの一つなのかもしれない。

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