劇場公開日 2020年2月29日

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娘は戦場で生まれたのレビュー・感想・評価

全43件中、21~40件目を表示

5.0母としてジャーナリストとして伝える、世界に届かぬシリア民の悲痛な叫び

2020年4月22日
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鑑賞方法:試写会

泣ける

悲しい

開始冒頭、幼き我が子を映す母親。でもその途端、凄まじい爆音が響き、周囲から白煙が噴き出てくる。
この世に生を受けたばかりなのに、いきなり死の危険に晒されてしまう現実。
その後もカメラは、周囲で次々と起こる死と、その現実から逃れるかのように幼き娘の笑顔を交互に映す。
それでいて、爆撃によって死んだ親子を映しながら、「子どもを埋葬する前に死んだから」という理由で、死んだ母親に嫉妬する。観客の心も揺さぶれば、彼女自身の心も揺らいでいる。
それでも彼女は、ジャーナリストとしてカメラを回し続ける。
娘の名に、アラビア語で「空」を意味する「サマ」と付けた彼女が望む空には、爆撃機は飛ばない。

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regency

3.0かなり偏った立場の人が撮った作品。批判する気はないけど・・・

2020年4月14日
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鑑賞方法:映画館

アラブの春と呼ばれる政治運動当初から活動していた方の作品で、かなり偏った立場の人が撮った作品。

シリアは少数派の政権が多数派の民衆を支配する国家体制だけど、さかのぼれば植民地支配の方法として宗主国(フランス)がもたらした国家体制。
支配される側が政権を不満に思うのは当然なんだけど、歴史的な背景には踏み込んでない。

また、スクリーンでは主人公側には武器がほとんどないように描かれてないが(一瞬だけ画面に映る)、戦闘員と民間人が混在するなかで戦闘員も負傷しているはずなのに、不自然に省かれてる。

というか、一旦国外に出たのに生まれたばかりの赤子連れて包囲されてる都市に戻るのは普通の人間ではありえない。それだけ反政府活動に思い入れがあるのだろうけど、だからこそ偏った立場の人が撮った作品と言える。

安全な立場にいる人間が気安く作品を批判する気はないけど、少し割り引いてみた方が良いのではと感じた。

ついでにいえば、最後のドローンによる空撮は完全に蛇足。後から撮影したことが丸わかりで映像全体が嘘っぽく見える。

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お抹茶

5.0【”アレッポの悲劇”を風化させない意義ある作品。アサド政権とロシア空軍が行った、人道上卑劣極まりない事を世に明らかにした作品でもある。】

2020年4月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 シリア革命(のちに内戦という言葉になってしまう・・)を描いた映画は幾つかあるが、この作品ほど彼の地で実際に何が起こっていたのかを雄弁に語る映画を知らない。

 反体制派が、一枚岩になれずイスラム過激派のような組織の介入を招いてしまった事も事実だ。
 そして、一部の反体制派の非道な行いがアサド政権を強硬姿勢に向かわせたことも事実である。

 だが、アレッポの一般市民は、彼らの思惑以上に拡大、激烈化していく内戦の完全な被害者になっていく。

 今作をスマートフォンで撮影し、監督したワアド・アルカティーブと、後に彼女の夫となる医者ハムザが私たちに訴えかけてくる事は重い。

 サマ(空という意味だそうである・・)を宿し、喜ぶ二人の姿、サマが生まれた時の幸せそうな二人の姿。

 が、状況はどんどん悪化し、”サマを産んで良かったのか?”というところまで追い詰められていく二人。
 どんな時でも笑顔を絶やさなかったハムザの表情から笑顔が消えていく・・。

 その傍らで、子供たちが、爆撃により亡くなっていく様が次々に映し出される。必死で救おうとするハムザ達僅かな医師達。観ていて辛い・・。
 又、アレッポから脱出せず、空爆により負傷した市民を救うために奮闘する医者の姿に頭を垂れる。(劇中、サマを取り上げた医者の死が告げられる・・。)

 今作で、最も怒り心頭に達したのが、アサド政権とロシア空軍が”病院”を次々に空爆していく場面が映し出されるシーンである。

 ー 病院を空爆するなどという事は、人道上、到底許されない。ー

 徐々に包囲されていく、アレッポの市民達。そこには、ワアドとハムザとサマも含まれている。

 そして、2016年12月22日 アレッポは陥落する。彼らが決死の思いでトルコへ脱出する場面の緊迫感は凄い。(ハムザは顔が割れてしまっている・・)

<彼らはアサド政権に負けたのではない。サマのため、そして新たに産まれてくる幼子が、安心して空を見上げる事が出来る場所に活動の拠点を移しただけだ。
 そして、彼らはこの作品を世に送り出した。そこには、アサド政権とロシア空軍が行った卑劣極まりない事が確かに記録されているのだ。
 最後に勝利したのは、どちらなのかは火を見るより明らかである。

 彼ら”4人家族”が笑顔で映っている映像に心底、良かった・・と思った。他の多くの脱出された方々も元気で暮らしている事を心から願いたい。>

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NOBU

1.5相変わらず、。

2020年4月1日
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鑑賞方法:映画館

民間人を殺しているのは政府軍だけではない。
反政府軍も無関係の民間人を大勢殺している。

この女性は本当にジャーナリストなのだろうか?
あまりにも一方的で偏った作品に思え、中立性が感じられない。

そのせいで、映像をそのまま鵜呑みにし、政府やロシアが一方的に悪いなんて言う人が現れる始末、、。

結局は人の死を利用した、反政府側のプロパガンダに感じてしまった。

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やみくろ

4.0残虐で無残

2020年3月24日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

病院をも攻撃してくるロシア軍
もう言葉がでない


「爆撃音で普通の子供みたいに泣かない娘を見てると辛くなる」

目の前で我が子を亡くした母
「撮影してるの!?ならこの酷さを世界に知らせてよ(泣)!!」


「子供の死を見なくて済む死んだ母親に嫉妬する」
って……

本当にシリアの内戦の酷さが伝わってきました

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H1DE!

4.0戦火のアレッポを撮り続けた女性がいた

2020年3月21日
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鑑賞方法:映画館

1年以上のブランクが空いたが「ラッカは静かに虐殺されている」「ラジオ・コバニ」「バハールの涙」に続く自主企画『シリア発見』の第4弾。

2011年から始まったシリアの内戦は泥沼と化し、数十万人の命が失われた今も収束の兆しはない。

今作は2012年から2016年にかけてシリア最大の都市アレッポの姿をそこに住む一人の女性が捉えたドキュメンタリー。

アレッポ大学に通う女子学生ワアドは反独裁政権のデモへの参加をきっかけに映像を撮り始めた。しかしデモの高揚感も束の間、ロシア軍の後押しを受けた政府軍の攻撃が激化した。

結婚、出産、医師の夫と病院で過ごす日々。爆撃により廃墟と化していく街。おびただしい数の死傷者。SNSで世界に映像を発信したが救いはなかった。政府軍に包囲されて半年、国連を通じての最後通告によりアレッポを後にした。

ワアドは生まれた娘に『サマ』と名づけた。『空』を意味する名前だった。平和への願いをこめた。

生き延びたことが奇跡。この作品が在ることが奇跡だ。

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エロくそチキン

3.5現実と思えないほどの凄惨さ

2020年3月16日
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悲しい

怖い

あまりの凄惨さに心が追いつかない。
観終わって、劇場を出た時、一挙に悲しさが込み上げてきた。
もっと現実を知って、考えることが大事なんだろう。

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山田

4.0誰も助けない

2020年3月16日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

難しい

シリアの現状は世界中に知られているにもかかわらず、誰も助けない。私も映画を見るだけで、心を痛めても具体的には何もしない。日本の近い将来も同じような状況になるかもしれない。世界中で有り余っている武器を消費する場所が必要なのだ。利用価値がなくなった後の日本が、その場所に指定されるかもしれない。その時、世界は日本を助けない。誰も助けない。武器商人と投資家たちが「もういいだろう」と納得するまで、破壊し尽くされる。金と命が交換された後、辛うじて生き残った人たちは果たして幸運なのだろうか…

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shanti

4.0死がすぐ目の前なのに

2020年3月15日
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リアルな戦争、爆撃され包囲されている中での撮影は、まさに緊迫感がハンパない。
歴史的な背景や、国際的な立場とか政治とかわからなくても響くものがある。
ジャーナリストとして伝えたかったものとか、政権への反発とか。けれども、そこに巻き込まれるこども達とか、親だからこその葛藤とか。

それにしても。
人間は愚かだ。
造っては壊し、生み出しては殺し。
そのくせ自然の力には無力なのに、自分たちで種を守らない。
争うことが使命かのように、今もどこかで殺し合っているのだろう。

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ミツバチば~や

4.5身に迫る

2020年3月12日
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鑑賞方法:映画館

普通の街の学生運動が地獄の戦場へ、更には大虐殺の現場へと変わり果ててゆく記録。
何故誰もこれを止められないのか、何故なにも知らない子供たちが犠牲にならなくてはならないのか、問いかけ続けるほかないが、答えは与えられない…
ただ、子供たちだけが未来への希望であるのもまた確か。
ごく個人的な範囲を記録しているのもより身に迫ってきて良い。

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ぱんちょ

5.0瓦礫のなかの笑顔

2020年3月9日
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戦場にあっても笑顔を絶やさぬよう努める人々が、そこには確かにいた。

大人のおどけた行動に声を上げて笑う幼児。
柿をもらって笑顔で喜ぶ大人。
顔に落書きをし合って喜ぶ医師ら。
背中におぶさっていた子供が、爆弾の音に驚いてお漏らしをして、背中にあったかいものが広がったと笑って皆に話す大人。

大怪我をした妊婦から帝王切開で取り出された息もせず心臓も動いてなかった赤子が、医師達の必死の蘇生で泣き声を上げたのを見て、おもわず手を叩いてしまった。
そこには確実に人の生きようとする力があった。

だが、つくづく地獄は人間が作り出すものだと思う。
天や神が地獄を作ったのではない。
人間が作り出すのだ。

シリア内戦は、アラブの春に呼応して始まったスンニ派の人々のアサド政権に対する民主化運動に端を発したものだ。
アサド政権は、これに強硬に反発。

アサド政権打倒を目指すアメリカやフランスは反政府勢力を後押しするが、反政府勢力の内部分裂や、イスラム国の侵攻、クルド人組織の関与、周辺のトルコやサウジアラビアなどは国境線の防衛のために軍を派遣したり、内戦は一層複雑化していった。

そして、アサド政権側はイランの支援を受けるイスラム過激派のヒズボラのみならず、ロシアの支援も受け、反政府勢力の拠点、アレッポへの攻撃を強化していく。

こんな中、アメリカではトランプが大統領となり、シリアへの関与は薄まり、イスラム国のとの対決は継続したものの、イスラム国の掃討をもって、シリアからは手を引き、シリア民主化はより一層遠退くことになった。

アレッポの街は、まるで映画のセットで誇張されたゾンビの住む廃墟のような感じだ。
とても、現実とは思えないよう瓦礫の世界だ。

犠牲者は既に38万人を上回り、国内外の避難民は合計で1200万人にのぼると言われている。

ロシア軍の空爆には憤りを禁じ得ない。
アサドは第二次世界大戦後で最も多くの人を死に追いやった人物とも言われている。
こんな酷いことをなぜ同じ人間が出来るのか。

やはり、地獄とは人間が作り出すものなのだとつくづく感じる。

だが、伏線がある。
第一次大戦後のオスマン帝国の崩壊を機に引かれた国境線や支配者は主に欧米戦勝国の思惑などを孕んで生まれたもので、民族や宗派など十分に考慮されたものではなかったこと、のちにイスラエルの建国で中東の緊張が一気に高まったのだ。

中東の地政学だといって先進国が傍観していられるようなものではないのだ。

また、こうした政府、反政府勢力への武器供与は欧米やロシアなどからも行われており、シリア難民の受け入れを積極的に行わない先進国武器輸出国は単なる責任逃れをしているに過ぎないとの非難は、ローマ教皇の弁だ。

やはり、地獄は人間が作り出すのだ。

僕達が幼い頃から聞かされた地獄と違うところがあるとすると、この地獄は、亡者が蠢くのではなく、人の信念や生への渇望があるところだ。

この作品を観て、「彼らは生きていた」や「1917」で感じたことも吹き飛ぶようなインパクトを覚える。

人間の残酷さや非道。
逆に、人の信念や生への渇望。

そこにはエンターテインメントとは真逆だが、圧倒的なリアリティとメッセージがあった。

出来る限り多くの劇場で長く公開されることを祈ります。
特に若者に観て感じて欲しいと。

ところで、日本は僅か50人程度のシリア難民の受け入れも拒否している。
また、日本がロシアにシリア民衆に対する空爆を止めるように強く抗議したと聞いたこともない。
ロシアを慮って、経済協力ばかり進めても、北方領土の返還ばかりか、返還交渉のテーブルにも着けてないではないか。
外国人労働者の受け入れが急務になる今、せめて難民の受け入れ程度は実施して欲しいと心から思う。

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ワンコ

3.5評価するのが難しい

2020年3月9日
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鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

作品というよりも、記録としての価値が凄すぎて、評価するのが難しい。しかし、明らかに私的ドキュメンタリーのような作品に仕立てているので、映画観賞による個人的立場でしようとは思うけれど、やっぱ難しい…
正直、面白いものではなかった。当然といえばそうなのだが、後追いのように語られているシナリオとか、廃墟と化したアレッポの洗練されすぎたドローン映像のためか、何となくリアリティを持てなかった。
とはいえ、映し出される内容は凄まじい。
あまりの悲しさや過酷なものを目にしたとき、一瞬リアルに見えないという出来事を知っているのであれば、まさにこの作品がそれ。
大量の死体や、数々の子供の死と涙など、目の前の映像が本当だと分かっていても、それを受け入れることができないという思いが働くのか、別世界の虚構のように見えてしまう。これほどまでの境遇に生き尚かつ執拗に記録し続けたこの志には、ただただ頭が下がるのみ。
ただ、リアルに見えない分、自分の子供を利用しているようにもとられかねない危険性も感じてしまった。
いずれにせよ、価値ある作品であり、多くの人が目にするべき映画だと思った、この悲惨な出来事をもはや忘れてしまっているだけに…というより真剣に目を向けていなかったという方が正しいのかも─。

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SH

3.5見なくてはならない

2020年3月9日
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たとえ残酷でも、恐ろしくても、同じ時代に生きている者として目を背けてはいけない、見なくてはならない映画。
医療機関すら政府の攻撃の対象になるような世界。決して別の惑星でも、地球の裏側でもない、すぐ近くで起きている事。そしてシリアから逃げてきた難民は、日本にも暮らしている。私たちもまた、多くの"サマ"のためにできることをしなくてはいけない。

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オフ

4.5「何も逃さないように、撮り続けたい」

2020年3月8日
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鑑賞方法:映画館

“ひとつの究極”のドキュメンタリーのかたち、と言って良いのではないか。
一見すると、ニュースやドキュメンタリーで何度も見かけるシリア空爆の映像である。
しかし、かなり独特で、今まで見たことも感じたこともなかった印象だ。

反体制派による「反アサド、反ロシア」のプロパガンダと見ることもできよう。
実際、主人公ワアドは「イスラム過激派の方がマシ」と語るのだ。だが両者の間で、何があったのか語られることはない。
“過激派の掃討”が加わることで、国際世論が分裂し、見捨てられた民間人の犠牲者が増加するという構図が見て取れる。
(※追記)とはいえ、後で聞いた話によると、アレッポにおいては、イスラム過激派の活動がもたらした影響は、ほとんどないということである。
しかし、政治的な見方は避けたい。少なくとも、貴重な“歴史の証人”たる資格をもった作品だ。

映画は、娘のサナに語りかけるかのような、ナレーション形式で進んでいく。
2016年7月、政府軍がアレッポの反体制派支配地域を“包囲”した時から、同年12月の“降伏”と“退去”に至るまでの、時系列に沿った映像が中心だ。
2012年~2015年の過去の映像も、折に触れて差し挟まれるので、ワアドが当初からジャーナリズムを意識していたことが分かる。
しかし、これほどまで、自分自身が“主人公”になるとは、予想しなかっただろう。

当初は、「勝利を疑わなかった」し、「“自由”のためなら死ねる」と意気盛んであった。
仲間を失えば、「何があっても続ける」という意志を固める。「根を下ろす覚悟」で、家も購入する。
しかし包囲後は、病院が次々と破壊され、水道などのインフラも遮断される。
食料にも事欠き、“降伏やむなし”となるまでの、一連の状況が記録されている。

このドキュメンタリーを独特なものにしているのは何だろう?
主として、3つあると思う。
まず、これまでの作品は、被害映像を“探して”撮っているところがある。しかし、この作品では、わざわざ出かけて収集する必要は無い。自らの本拠地である、自宅や病院が爆弾の標的になっており、かつ、病院には次から次へと犠牲者が運び込まれてくるのだ。究極の“臨場感”である。

2つめは、包囲前から降伏にいたる一連の流れが、“切れ目なく”取材されているという点だ。この持続感は、外国のジャーナリストの戦場への潜入取材では不可能なものだろう。
3つめとして、極限状況下の“家族愛”の物語が、巧まず自然に、映像に“ビルトイン”されていることだ。人々の揺れ動く感情も、克明に映し出される。「作品 = 自分たちの物語」であり、“取材”ではないのだ。

つまり、苦労して取材対象を探し歩き、時間をかけて信頼関係を築いて作っていくという、通常のドキュメンタリーとは真逆に位置するタイプだ。
安直な“自撮り”であって、“ドキュメンタリー”ではない、という意見もあるだろう。
しかし、質・量ともに充実し、オンリーワンの高みに達している。
映画「アレッポ 最後の男たち」でさえ比較にならない、“破格”のドキュメンタリーだ。

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Imperator

3.0重過ぎる紛争のリアル。一本の映画としては…?

2020年3月6日
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内戦の只中で何が起き、何が生まれ何が消えていくのか。
爆撃音の中でもジョークを飛ばす住人たちは、強いのか麻痺してしまってるだけなのか。
苛烈な内戦のど真ん中が舞台なだけに、数ある戦争ドキュメンタリーの中でも衝撃度は凄まじいです。作中いくつも出る悲痛な叫びを、果たしてどう受け止め活かすべきか、先進国とされる我々の重い課題です。
本質とズレますがグロがダメな人は要注意!

ただ、これを一本の映画として観ると手放しには褒められないのも事実。
シリア内戦はただでさえ関係勢力や国が多くてややこしいのですが、本作はその中でもほとんどロシアとアサド政権にしか触れていないので、前知識が中途半端だと変に混乱します。
また、これはおそらく共同監督の案なんでしょうが、時系列をちょいちょいいじくってるのでこれも混乱の元です。
あと、やはり撮り手が撮り手だけに撮影技術が拙いので、映像のクオリティは残念ながらかなり低め。そこがリアルなので一概にダメとは言いにくいのですが、やはり「他人のホームビデオ」感は拭いがたかったです。

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克晴

5.0目が離せない

2020年3月6日
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こんな子育てがこの世に実在するとは…。

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フェネック

2.5ホームビデオから垣間見るアレッポの情勢

2020年3月4日
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焼け石に水状態に見えるその抵抗、渦中の映像としてはとてつもなく貴重だろう。
地響きが凄まじい爆撃音と、次々と運び込まれるぐったりとした血だらけの人達。
壮絶な臨場感を感じるのに、とてつもなく遠く感じるのはメインがホームビデオだからじゃないだろうか?
民主化運動に参加して、同朋との結婚そして出産まるで家族愛を記録したホームビデオ、でもたまたま舞台が内戦だった、そんな風に感じてしまった。

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パプリカ

4.0空爆の悲惨さがそのまま

2020年3月3日
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シリアの「アレッポの戦い」 (2012-2016)を、一般市民の視点からビデオカメラで取材したドキュメンタリー。
スマホ撮影での配信経験からジャーナリストになり、医師と結婚してアレッポに住み、妊娠・出産した女性が、5年間回し続けたビデオを編集して撮影したもの。

過度に演出したものではなく、ただ事実を知ってほしい、という思いの羅列であり、観る者の心を打ちます。
ニュースで「空爆がありました」「市民の被害者は●●人」と見聞きするのとは全く異なる、そこで生きた人々の苦しみがそこにありました。

「アレッポモデル」といわれる政府軍による包囲・攻勢(殲滅)と、国連や諸外国の仲介を通じて反体制派を退去・投降させ、政府の支配を回復する手法が、いかに非人道的かがよくわかります。
自由と平和を希望し、故郷から離れたくないと願いながら、非武装で暮らしている人々の家や病院まで空爆し、虐殺を繰り広げているからです。
遊んでいただけの子供たちの手足がもげ、大人のはらわたがはみ出て、息を引き取る。
モザイクは一切なく、死んだ子供の顔も、泣き叫ぶ親の顔も、床に拡がる血や皮膚や筋組織・内臓も、まったく隠されることなく映っていました。
加担したロシアを含め、アサド政権のやり口は許しがたいと思いました。

ただ、この作品だけでは、わからないこと、伝わりきらないこともあったと思います。
2014年くらいまでのISILを筆頭としたイスラム過激派組織については撮っていたりセリフで言及したりはしていても、2015~2016の反体制派が政権側軍と戦闘を繰り広げていることは、発言を含めてほとんど触れられていませんでした。
なので、戦闘する反対勢力の武闘派とはつながってないのか、つながっているけどあえて伏せているのか、といった距離感の判断がつきませんでした。
戦闘が続いていること自体を知らない、と判断していいのか?すでにスマホが普及した年なので、知らないのはむしろ違和感があり。
「編集」が、事象の意味を意図的に変質させることが可能なことを知っている身には、「これが全て」と受け取っていいのかと悩む部分もありました。
疑い深い性格ですんません。

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コージィ日本犬

4.0☆☆☆☆ 簡単に。 これは凄いのを観たかも知れない。 映画はドキュ...

2020年3月3日
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☆☆☆☆

簡単に。

これは凄いのを観たかも知れない。

映画はドキュメンタリーなのですが。今現在の悲劇をこれ程までに生々しく捉えたモノは、そうそう在るものではないと思う。
人々の生きた生活が一瞬のうちに消え去ってしまう、その真実をここまでハッキリと観せられてしまうと。今の日本が如何に平和であるか…その幸せを噛み締めずにはいられない。

ドキュメンタリーと言えども、これは劇場公開される映画には違いない。
この作品を製作するにあたって、一応はイギリスの資本提供による支援はあったのかも知れないが。その作品製作に於ける基本的な思いは、極めて私的な思いから。
通常の映画製作ならば、多くの観客に対して〝 伝えたい 〟との思いからに対して。この作品自体は、ある特別な《人》に対しての〝 これを伝えたい!知って欲しい 〟との思い、ただそれだけ。
観ている観客には、その【想い】が痛いほどに伝わって来るだけに。その想いの純粋性に魂が揺すぶられてしまうのだ!

昨年公開された『アレッポ 最後の男たち』もそうだったのですが。スクリーンに映るその映像から発せられる力強さには、とにかく驚きを隠せない。
必見なドキュメンタリーだと思います。

2020年3月2日 シアターイメージフォーラム/シアター2

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松井の天井直撃ホームラン

5.0For Sama (原題: サマのために)

2020年3月1日
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鑑賞方法:映画館

これまで観てきたいくつかのドキュメンタリーの中で、最も心を揺さぶられ、また考えさせられる内容だった。

「アラブの春」から派生したシリアの民主化運動が、各国・各勢力の思惑と絡み合い最悪のかたちで泥沼の内戦と化していく。
シリア最大都市の「アレッポ」を舞台に、内戦の狭間を反体制派として生き抜いた、若い医師とジャーナリスト夫婦の2012年から2016年までの命の記録である。

この作品には、紛争地域での現実が如実に映し出されている。
日々平和の中に暮らす私が、ニュース映像やネット記事を見て分かったつもりでいる戦争や紛争の現実は、あまりにも惨く、悲しく、悲惨で救いが無い惨状であることを知った。

この映画が観る者の心を打つのは、悲惨な現状を「客観的」な立場から描くのでは無く、一人の市民(当事者)として、そして母親としての立場から「主観的」に記録しているからに他ならない。この意味では、一般的なジャーナリズムのセオリーには反するのかもしれない。
その一方で、どんなドキュメンタリー作品よりも観る者に当事者意識を植え付け、問題意識を喚起することに成功している類稀な作品である。 またその視点は、一貫して罪の無い「子どもの命」に向けられている。

言葉では伝えることの出来ない映像の力、映像である必然性を感じさせるとても重要な作品です。

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リオ