地獄の黙示録 ファイナル・カットのレビュー・感想・評価
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地獄を観た。やっぱり凄い映画だ
原題は「アポカリプス・ナウ」 つまり今現在こそが黙示録なんだって題なんですね。
今回IMAXで観て、若い頃にはよくわからなかった映画の中身が少しわかった。映画は題名通り、ベトナム戦争を舞台に地獄を描いているんだってことがわかった。
イントロ:戦地ではあれほど帰りたいと思っていたのに、故郷に帰っても辛いことばかり。逆に故郷では戦地に行きたいとばかり考えてしまう地獄。
前半:戦地で繰り広げられる狂気の世界。サーフィンするために村をナパームで焼き尽くす中佐。戦地に似つかわぬ、けばけばしいプレイガール達による慰問。プランテーション農業を維持し、正装での夕食にこだわり続けているフランス兵達とその家族。上官なき最前線での戦い。次々と現れる不可思議なシーン。中でも強烈なのは、一般人の船を検閲しているうちに、ふとした弾みから乗船していた一般人全てを乱射した後で、かすかに息をしている女性を見つけ、彼女を必死に助けようとするシーン。乱射に対してはなんら悪びれることはなく、殺そうとしたその相手の命を必死でつなぎとめようとする、通常からみたらイカレた欺瞞に満ちた行動。それを誰も違和感を感じずに行わうという地獄。戦争の前線がいかに人間を押しつぶしているかを表す。
後半:なんのために戦うのか。本国と前線の思惑がかけ離れた中でも、自分が信じるものを信じて進んでいたら、ジャングルの王となていたカーツ。優れた兵士による部隊を構成できたにもかかわらず、何のために自分はこれを作り上げたのか、本人でもわからなくなていただろう。マーティンシーン演じるウィラードの視点に立つことで、カーツの足取りを知り、その行動に少なからず共感?を感じながら観ているこちらにも、やはりわからない。わからないのに王を続けなければならない地獄。
アポカリプス・ナウ、いま現在の黙示録、タイトルそのままの映画だ。
今回は3度目の編集による、監督として完全とした版。20代で自分が観たのは、最初の147分版だ。2002年の特別完全版203分は観ていないけれど、今回の182分版も十分長いぞ。かつ、前半最高、後半がっかりという評価もチラホラあるのがわかる気もする。制作裏話的に、カーツ大佐役のマーロンブランドが監督の意向に反し太ったまま現れたとか、原作も読んでないとか、金を受け取ったままキャンセルしようとするとか、台風でセットが丸々破壊されたとか、デニスホッパー(カメラマン役)がシャブ中だとか、特に後半に関してはたいへん同情の余地ありという状況で完成させたとことをネットで知りました。ならばしょうがないかなと思いますが、たしかに前半のキレキレ感に比較すると、後半のもっさり感が際立っちゃいます。これはこれで思わせぶりな感じだけれど。やはりカーツ大佐が、不可思議な感じは出せたが、人間的魅力までいかなかったことが後半の残念さの原因でしょうか。
後半もうまくいってたら、ほんとにすごい映画になってたんだろうな。いまでもかなりすごい映画と思うけれど。
この映画でワルキューレを知ったのは自分だけだろうか?
IMAX は初めてでしたが、迫力がありますね〜。TNET と007 の予告観ただけで、もうお腹いっぱい、へとへとでした。映像もさることながら、ウリは音響ですね。
"ナパーム弾の香り"
サーファー野郎!キルゴア中佐の名言?迷言?そんな不謹慎極まりない劇中で最もぶっ飛んだセリフ、どんな臭いなのか?その場に居たくはないが、嗅いでみたい!?
やはり、キルゴア中佐の波乗りシーンが観られないのは非常に残念でならないが一番悔しいのは本人であり?ボードを盗まれヘリで捜索するシーンは笑えるし、爆音がそこら中で鳴り響く中、ビビりもせずに平常心?カーツ大佐の存在すら掻き消してしまうインパクト絶大なキャラを演じたロバート・デュバルがヤバ過ぎる!!
まさか二度も映画館で観れるとは思わなかったが、今回はIMAXレーザーでの鑑賞でスクリーンのデカさに圧倒されたのも束の間、その状況に慣れるのも早く一回目に観たシネマート新宿の古びた劇場の雰囲気など、圧倒的にシネコンを上回る衝撃度にIMAXの凄さがイマイチ伝わらず!??
オリジナル版、特別完全版、本作のファイナル・カットと全部観ている中、特別完全版とファイナル・カットの違いの差が難しくもあり?フランス人のシーンに意味はあるのだろうが退屈に感じてしまうし、ラストは炎に包まれる中での"The End"が最高な訳で、オリジナル版が一番好きなのは否めない。
The Doorsに一瞬流れるストーンズのサティスファクションとロックンロールのイメージが強かったが、基本的にシンセサイザーの音が流れる音楽が印象的でもあり、父と子の共同作業が素晴らしくコッポラ一家は才能溢れる人材がテンコ盛り。
極め付けはやはりデニス・ホッパーの存在感、終盤に突如として現れアッサリと消えてしまう、まるで「アメリカン・ドリーマー」からそのまま出て来たかのような異端児ぶりが堪らない。
イカれた人間が集まった映画は絶対的に面白い、このイカれ具合に勝る映画を知らないし、この先も「地獄の黙示録」を超える映画は作られないと断言!??
闇の奥から見つめるもの
ここが、地獄の最終到達点。
IMAXで鑑賞。
「特別完全版」よりは観易くなったものの、最初のバージョンが一番好きだなぁ、と改めて実感しました。興行的な制約のせいとは云え、簡潔にまとめられているのは確かなので…。
前半のナパームがハイライト過ぎて、後半の禅問答みたいなカーツ大佐との対決が冗長に感じてしまいました…。最初のバージョンにもそのキライはありましたが、そこへたどり着くまでにフランス人入植者のシーンがあることで余計に中弛みしたような…? しかし、これがフランシス・フォード・コッポラ監督が欲した「地獄の黙示録」の究極の姿―。監督自身も撮影の渦中でテーマを見失ってしまったという、まさに生き物のような怪物映画に新たな命が吹き込まれたように感じました。
――
本作を映画館で観られて幸せでした。
IMAXという最高の環境で、まさに本作を体感! 極上の音響で「ワルキューレの騎行」が流れ、ヘリの爆音が鳴り響き、炸裂したナパームに体が痺れました!!
最後にこれだけは言っておきたい!
大スクリーンのナパームは格別だ(笑)
「大人」になってから見ると…
ひとを狂わせるもの
私のようなにわか映画好きにとっては「とてつもなく有名だけど観たことない映画」が大量にあって、当然「地獄の黙示録」もそれにあたる。
で、今回IMAXで観られる機会を得たので行ってきたわけです。
話の筋はもちろん大体知ってはいるが、いや観るとあれね。本当に地獄ね。
鏡を殴って流血する、いかにもやばめなマーティン・シーン(若いな)がドアーズに乗って登場。
そしてロバート・デュヴァルのキルゴア中佐ですよ。強烈だ。戦場にサーフボード!サーフィンするために村を焼き払え!危険ななかで波乗りさせる!よく分からないけどとりあえずガンガンぶっ放す!なんとも趣味の悪い(けど悲しいかな、合ってると感じてしまう)「ワルキューレの騎行」!キルゴア中佐が "I love the smell of napalm, in the morning." って言ったときは「言ったーーーー!」って思ってしまいました。
前半というか、かなりの部分がただただ「戦争の狂気」を見せつけてくるやつ。マーロン・ブランド出てこなくてもこれだけでヤバい映画だな!というくらい、戦場はタガが外れている。制御を失ってしまった兵士たちの姿。何もかもに過敏になりすぎて神経をすり減らし、薬に走る様。
マーティン・シーンのウィラード大尉も冷静そうだけど、既に「取り憑かれて」しまっている。戦場にしか居られなくなってしまった奴。戦争を虚無と思いながらそこから抜けられない奴。
マーロン・ブランドはあれだけしか出てこないのにまじやばかったですね。いやもう...バッチリ映ってるとこほとんどないんですけどね。体型が当初のイメージと違いすぎて物語を変えさせてしまったというマーロン・ブランドですが、色々あっても台詞をひとこと発するだけで世界作るのはやっぱりやばい。戦場で生まれてしまった自分でも制御できない哲学っていうかね...。そういうのは感じた。
なんだか後半に進むにつれてどんどん映画も憔悴してくというか、実際マーロン・ブランドはあれだし、デニス・ホッパーは台詞覚えなかったらしいし、マーティン・シーンも倒れたし(というかそもそも最初の主役のハーヴェイ・カイテルは降板したし)、何もかもが壮絶だわな...。
ちなみにフランス人入植者のシーンは公開時にはなかったそうですね。あそこが一番知識が要るシーンだった。
「映画」として圧倒的に映像で押してくるものを感じた。美しいとか、気持ち悪いとか、怖いとかを超えて攻めてくるもの。物語は正直まとまりがなく散漫な部分も多いのだが、それでもなお「押して」くる。これでもかと。
しかしコッポラは三島の「豊饒の月」読んでイメージを膨らませたって何かで読んだけど、悲しいかなそこは読み取れない私なのであった。
そしてまあどうでもいいですが、戸田奈津子さんの字幕はやっぱり意訳がすごいね。良いとか悪いとか判断できるほどの英語力はないが。
時代
70年代のアメリカが輝いていた頃にこの映画を見るのと、現代で見るのでは全然違うだろうなーと思う。
ベトナム戦争が失敗だったのなんでもはや自明だけど、あの頃はまだ揺れてたし、アメリカは圧倒的だった。
有名なワーグナーのシーンは意外と前半だった。後半はややぐだぐだしているような…。キルゴア中佐の頭のおかしさが際立つ。ああいう人アメリカ系外資にいる!出世するタイプ。あとは植民地白人(フランス系)の傲慢さとか。
ウィラードはもう戦場にしか生きられないし、帰るところも故郷もない。カーツ大佐と同じ。かわいい子供たちも思い出の中だけ。ウィラードはどこにいくのだろうか。鹿狩り?
カンボジア人あんなに未開人じゃないだろ…。
ヘリに手投げ弾投げる女の子ね…。すごい。
IMAXで是非見るべき
地獄の黙示録 ファイナル・カット (2019)
フランシス・フォード・コッポラ監督が再編集とデジタル修復を施したIMAX版ファイナルカットです。
上映時間は3時間の超大作ですが名作は何回見ても面白い。
前半のワーグナーの音楽とヘリコプターの激しい戦場シーンだけでもIMAXで見る価値ありです。
相変わらずカーツ大佐の意味不明なセリフも多々ありますがそれも含めてこの時代にこの作品を作り上げたコッポラ監督の執念が素晴らしい。メイキング映画 ハート・オブ・ダークネス コッポラの黙示録 も見れば、多くのトラブルに見舞われたこの映画が完成できた事だけで凄いというのが良くわかります。
この機会にIMAXの大画面で是非ご覧ください。
一生に1回は見るべき映画です。
追加シーンはやはり蛇足だが
重いテーマの冒険RPG
40年ぶりに観ました。当時は中3であまり記憶に残ってません。
そんな訳で自分的には、ほぼ新作を観たという感じです。
観終わって、これって何かと同じ感覚だと思い浮かんだのは冒険RPG。
メインキャラがユニークな仲間を連れて謎めいたラスボスを倒すまでのストーリー。
ボートで共に進行していく過程で遭遇するイベントの数々。幾度となく「YES」「NO」の選択場面があり、自分ならどうするかと考えさせられる。コントローラーがほしい。
そしてサーフィンの一幕はドリフの「もしものコーナー」を想起してしまいました。
「もしもサーフィン好きな指揮官がいたら♪♪♪♪」ダメだこりゃ
重いテーマの作品ですけどコッポラ監督が観客を楽しませてやろうという意欲がひしひしと感じられます。
この映画を観て久し振りにRPGをプレイしたくなりました。
狂気に浸れる幸せ
心の闇を覗く
映画で初めて、戦争のPTSDを見たのは地獄の黙示録だったと思う。
ウィラードだ。
初演当時は、そのPTSDという言葉を知らなかったが、今、改めてそう思う。
今では、ベトナム戦争だけではなく、イラク戦争などの帰還兵のPTSDもアメリカの社会問題だ。
そして、ベトナム戦争が泥沼化してから始まった徴収兵制度は、若者を巻き込んで、アメリカの価値観を内外から揺さぶり、どん底に突き落とす。
爆弾が飛び交うなかでのサーフィンや、プレイメイトの慰問の場面に、この戦争に大義などなかったことを感じる。
戦争でもマニュアル通りであろうとするもの、取り敢えずマシンガンをぶっ放したがるもの、音楽をかけゲーム感覚のもの。
兵士として訓練も行き届いていなかったのではないかと考えさせられる。
取り返しのつかないと気がつく前に、命を落とすしか無いのだ。
そして、ナパーム弾を使用して、ベトコンの隠れるジャングルを焼き払おうとするが、多雨で湿度の高いベトナムでは効果は限定的だった。
同時に使われた枯葉剤もナパーム弾も今では米軍で残虐性や環境の観点から使用が禁止されている。
ベトコンの地の利を生かした戦いはアメリカを凌駕し、アメリカの戦いは泥沼化の一途を辿る。
そして、カーツ大佐の王国。
カーツは何を見たのか。
映画の完成後に、コッポラは、この映画のテーマは何かと問われ、撮ってるうちに分からなくなったと答えた話はよく知られている。
カーツが何を見ていたのか、考えたのか。
想像することは自分の心の闇を覗くようでもある。
力を持つことによって、自分の王国を築きたかったのか、神になりたかったのか。
或いは、混沌とした世界に秩序をもたらそうとしたのか。
もしかしたら、両方かもしれない。
だが、いずれにしても、屍が転がり、遺体が木々に吊るされるような暴力と搾取の王国は、砂上の楼閣でしかないように思える。
そして、もしかしたら、コッポラは、今僕たちの生きる世界は、このカーツの王国のような世界と同じようだといつの間にか期せずして示すことになっていたのかもしれないとも思う。
世界のあちこちで戦闘は続き、宗教を背景にしたテロ、アメリカの銃の乱射事件は後を絶たないし、ネットの攻撃やフェイクニュースの悪意は、どこかで善良な人々を常に追い詰めている。
この映画は、自分の心の闇を、そして僕達の生きる世界の闇を覗くような作品だ。
この作品の元ネタとなったのは、「闇の奥」というコンラッドの小説だ。
アフリカの奥地で行われた搾取や植民地帝国の様を描いたとされる。
その頃と、僕達の世界はあまり変わってないのかもしれない。
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