WAVES ウェイブスのレビュー・感想・評価
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これはエミリーの物語
前半1時間、ハイスクール生活を満喫していたタイラーに焦点が当たり、突然それは終わる。そしてタイラーの妹、エミリーにスポットライトが当たり、家族のその後が描かれる。
エミリーのボーイフレンド、ルークの父親の話も絡め、両親、タイラー、エミリーの家族が再生へ向けて僅かな光が見え始めた所で、話は終わる。
この映画は、黒人の肌が非常に美しく撮られている。色彩と、光と音楽。多少音楽は過剰気味に感じたが、とにかく画面が美しかった。反面、物語は切なく重く、苦しい。
今を生きる、愛を伝える、家族であり続けることの難しさ。アメリカということで一見派手に見えるけれど、抱える問題の根は同じなのだと思った。
「家族という他者」と生きていく
「誰が正しい」とも「誰かが間違っている」とも言えないのが『家族』という繋がり…という、至極普遍的なテーマ。
混ざり合う色彩描写や(特にアメリカでは警戒を示す)赤と青の点滅、使われている音楽も、ただノリの良いだけのヒップホップではなく、多層的な構成になっているあたりも、家族というものの多面性を表している様に見える。
その誰もが「家族のために」と思ってとった言動が、結果的には家族を追い込むことにもなりえる。それでも、その時自分が「正しいと思う道」を選び続けなくてはならない。
途中まで、主人公は兄のタイラーだと思っていたら、上映開始から1時間20分ほどかけて描かれるのはあくまでその「前フリ」。
そこからもう一度『家族』というものを、そのそれぞれが手探りで築いていこうとする。
家族という共同体は、その選択を放棄することが許されないからこそ、誰しもがいろいろな軋轢や葛藤を抱えながら生きていくことになる。
どの家族にも、少なからず「不和」があるし、どの家族も何らかの形でそれを乗り越えて暮らしている。
そういった家族の「崩壊」と「再生」の物語。
コレといった派手さも明快なカタルシスもないが、それがむしろ家族のリアルでもある。
(評価の★の数を「オススメ度」としてとらえると、そういう意味ではもうひとつ。)
「ああ。ちゃんと親に会っとこう…」
そう思わされる映画。
寄せては返す音と色彩
プレイリストムービーといわれた本作。
何でもリストを組んで、そこから脚本を作り上げたらしいですね。
だからか楽曲のこだわりは強く感じます。
まぁ音楽ジャンル的には正直好みかというと、決してそうでも無いんです。しかし物語には実にフィットしていました。
特にそれぞれの内面や置かれた状況をとても良く表しており、時にはそれは台詞の代わりにもなっているようでしたね。
そして目まぐるしく回るカメラワーク。
力にあふれ無軌道で何処か危うげ、そんな彼らの世代をよく表していたと思います。
また色彩も鮮やかで美しく、所々に挟まれる波のようなグラデーションも効果的でした。何というか嫌みの無いセンスを感じます。画角変えてくるのもすごかった。
作品は起承転結のようなテンポではなく、大きく前後に切り分けた構成が新鮮で、そのじっくりとした見せ方は後半にとても効いていました。
また楽曲だけでなく、劇伴自体も良かったです。
ただ豪華なアーティスト達が話題になっているので、BGMだけのサントラは出なさそうな気がしますね…残念。
それにしても全編を通して楽曲の使い方は本当に秀逸で、レディオヘッドの入れ方とかこれ以上無いくらいでした。
最後は「Sound & Color」、この作品全てを表しているようでしたね。
そんな素晴らしい楽曲達が散りばめられた作品ですが、個人的に一番印象的だったのはエイミーでした。
歌の内容のマッチングもですが、入れ方とあの切り方。
とても強烈でした。
物語は基本とても重いのですが、後半のゆっくりと夜が明けてくるような感じが少しずつ心を軽くしてくれるんですね。
そうして訪れるラストシーン、時間にして1分程だと思います。たったそれだけの時間ですが、そこで見た虹はそれはとても美しく、気がつくと心が満たされていました。
寄せては返す音と色彩、素晴らしい作品でしたよ。
長くて強烈なネタフリ
前半の兄の話の兄の転げ落ちっぷりがあまりにも壮絶過ぎたので、それを受けての後半の妹の話に一体どんな事が起こるのだろうかとドキドキしていたら、、、
前半の兄の話は後半の話のための長い長いネタフリだったのですね。
というか、前半の兄の話だけである意味映画として成立してるので、その時点でおわってもヨカッタくらい。
でも、監督や脚本家は後半を描きたかったんだろうね。
最後まで見たらそれは伝わってくるけど、、、
しかしながら、兄の転落ぶりはあまりにもヒリヒリし過ぎていて、見ていてツラかった。もう充分でしょというラインをどんどん越えて、そこまでしないといけないの?というくらいの転げ落ちっぷりですから。しかもそれがメインの話ではなく、ネタフリって、、、
スタイリッシュな映像にかなりキツめな内容という、変わった映画でした。
物足りない
#49 感情をスクリーンサイズで表現する
新しいやり方。
タイの気持ちが縮こまると正方形サイズ、エムは上が切れた横長さいずになり、気持ちが満たされると通常のサイズに戻るという具合。
タイが厳しい父親の教育のプレッシャーに押しつぶされるのは最初からわかる話。
タイが主人公の前半よりもエムが主人公の後半のほうが私は共感できた。
"Sound & Color"
プレイリスト・ムービーと大々的に宣伝する程、個人的には音楽にインパクトを感じられなかった、最近の含めて聴かないジャンルばかりが流れた要因か?
ラストに"Alabama Shakes"の「Sound & Color」が流れて、好きなバンドの曲がエンディングで、エイミー・ワインハウスは気付かずにスルー!?
凝った映像と場面に合わせた音楽、心を揺さぶられる感動や衝撃を求める感覚で観ていた反面の肩透かし。
将来の夢に一直線で全てが順調な日々から一転、全てが砕け落ちる様が定番とも言うべき分かりやすさで描かれていて、共感出来る若者は国は違えど日本にも沢山いるのでワ。
娘との絆を取り戻そうとする父親が、逆に自分が相談する立場に、複雑な家庭環境の中、二人だけの関係性に涙するが、娘が自分を責めて後悔する場面、あんなムキムキの父親が息子に対し一回吹き飛ばされて断念してしまう情け無さ。
斬新さとは違うが、全てが新しい2020年代の正しく今!を象徴した映画って印象を受ける、日本の中高生は観るべき作品としてお薦め。
大理石の床は危険すぎる、、、!?
期待していましたが、普通でした。
邦画的
テンプレすぎない?
おしゃれな映像
フォトジェニックでオシャレミュージック盛り盛りだけど、辛いお話
映えるものが好きなら観ればいい
なんだか似た様な映画を同じ日に観てしまった様だ💦
レスリング馬鹿親子(父と兄)、妹、血は繋がっていない母と言う構成家族のお話。
前半はある事件までの兄貴の話、後半は事件後妹の話。
「これ普通の撮影内容だったらつまらないだろうな」と思う台詞を曲の台詞で被せている所は中々ユニーク。
(プレイリストムービー?ちょっと何カッコつけて名称付けてるかわからない💦)
また、分かりづらいが映像によってアスペクト比が変わる。
刑事事件とその家族。崩壊と再生。
この映画も本日別で観た「許された子どもたち」と同じ様にどの家族でも成り得る社会話。
そこに焦点を当てた事でわかりやすい話とテーマではある。
がしかし、この家族の崩壊と再生を中心にしすぎたかなとも思うし、映える⤴︎❤️映像と歌の割には上手くマッチしている様には思えない物足りないストーリー。
方向性がアカデミー賞クレクレなのも頂けない。(まぁA24特有ですが。)
全然泣きませんでしたし、亡くなった相手側を思う気持ちがこの家族映画的にはほぼ無かったですし。
映像音楽的に拘りがあって挑戦的な作品だけは分かりました。はい。
私にすれば「真面な運転せえや❗️ゴラァ‼️」
「身体乗り出すなぁ❗️オンドリャ‼️」
360°車内撮影はセンス悪っ💦
私には悪ノリ運転の方が印象に残った映画でした。
新感覚映画
映像美と音楽を十二分に楽しむ
マイアミに住む黒人家族の崩壊と再生の物語。ただそれを描けばとても重たい作品だと思う。よくこの手の映画のメッセージとしてある、普通に生きていても幸せになれない。人より努力してようやく普通、自分のしていることに誇りを持て、というセリフ。何度聞いてぐっとくる。が、この映画はそれらのシークエンスもさながら、映像作品と、音楽を楽しめる映画。本当に画像に食い入りそうなほど映像がきれい。自分の生き写しのように兄に過剰なほどに愛を注ぐ父の元、そっと生きる妹。全身にプレッシャーを受け爆発してしまう兄。そのあと大きな事件があって、さらに殻に閉じこもりそうなところをルークという神のような人が現れて、人生を取り戻そうとする妹。ラストシーンも印象的。
T・マリック監督の正統後継とも呼びたいシュルツ監督の傑作。乗り物酔いしやすい人は(前半部のみ)ちょっと注意。
冒頭、自転車を漕いだ女性が並木通りを疾走する後ろ姿を、やや逆光気味に捉えた映像。陽光のまぶしさだけでなく、陰に沈んだ部分すらも豊穣さに満ちています。これほど美しく世界を捉える映像作家は、一人を除いて知りません。その一人とは、つい最近も『名もなき生涯』(2020)が公開されたばかりのテレンス・マリック監督です。
物語は、色彩に満ち、時に不安定に映像が疾走する前半部と、対して絵画のように静的で、穏やかに沈んだ色調の場面が積み重なる後半部の、大きく二つのパートで成り立っています。人物の心情は台詞よりもむしろ、計算された色彩表現や、もちろん多くのアーティストによる曲によって雄弁に語られます。人物の心境と共振すると同時に、音楽も心に染み込んでくるという、まさに「プレイリスト映画」。
トレイ・エドワード・シュルツ監督の31歳という若さももちろんですが、20代の頃にマリック監督の撮影補助として働いていたという経歴には驚かされました。敬愛する監督に強い影響を受けつつ、何とか自分なりの映画表現を確立しようとした成果が本作とのこと。導入部を含め、多くの場面でマリック作品を想起させるのは当然のことだったんだ、と納得しました。まさか、一時は忘れ去られそうになったマリック監督の、正統な後継者の作品を劇場で体験する日が来ようとは、としみじみ。
シュルツ監督の体験、個人的な音楽の趣向を遠慮なく作品に取り込んでいることが、作品の瑞々しさの一因となっていることは間違いありません。それと同時に、例えば後半の父と娘の会話場面が、明らかに小津安二郎の影響をうかがわせたり、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』との共通性を感じさせるテーマ設定など、古今東西の映画作品の取り込み方、敬意の表し方には、「老練」さすらも感じさせます。
本当は★10くらい付けたいところだけど、前半部のカメラの揺れ、横移動に慣れずに画面酔いを起こしかけたという、非常に手前勝手な理由で現在の星数になりました(中盤以降は全く問題なし)。乗り物酔いしやすい人は少し注意した方が良いかも。
映像と音楽に包まれる、得がたい体験ができる作品には間違いありません。ただRotten Tomatoesなどの海外批評サイトでは、絶賛と言うよりもやや落ち着いた評価なところが意外!
愛にまみれた作品だった
映っている人の、鼓動や、悲しみなどの感情が、
音で伝わってきて、
心が打たれ、、、すごく苦しくなった。
思春期の葛藤、
どうしても止められない想い、
自分の気持ちをコントロールすることの難しさ、
思春期を思い出した
タイラーは、ほんの少し間違えただけだった。
愛があるのに、すれ違ってしまう。
でも、きっと、ずっと愛を持っていれば、
人はつながることができる。
親の愛、兄妹の愛、恋人の愛、、、
本当にそれぞれいろいろな形がある。
愛とは、こうやって心がほっとして、
安心するものだったと思い出す。
何色でもなく、何色でもある。
エンディングに現れた
スクリーンいっぱいのレインボーを見て、
"いろんな感情をそっと受け入れ、見守っている。"
それこそが、
愛そのものだと感じた。
終わった後も、後を引く。
胸に残ってまだ消えません。
見てよかったです。
ありがとうございました。
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