劇場公開日 2020年7月10日

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「圧倒的疲労感。学園映画であり(二部構成の)家族の物語。音と色彩 -...」WAVES ウェイブス よしさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5圧倒的疲労感。学園映画であり(二部構成の)家族の物語。音と色彩 -...

2020年7月11日
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圧倒的疲労感。学園映画であり(二部構成の)家族の物語。音と色彩 --- 流石A24作品、全編から確かなこだわり随所で繊細な手触りを感じさせる。ブラッド・オレンジはじめ名だたるミュージシャン達の楽曲から着想を得たような物語はしっかりと葛藤があって普遍的 --- あるいは良くも悪くも"普通"で、それ自体にさして驚きがあるといったものではない。ただその耽美的な独自の世界観やダークながら深遠な部分にリーチしようとするテーマは、『ムーンライト』やドラマ『ユーフォリア』のような作品が好きだった人にならお勧めしたい。目が眩むような大胆に動き(同じ場所を)回るカメラワークの中で語られるのは胃がキリキリするような不安/不穏、頭を抱え悶えるしかない酩酊感/絶望。特に前半の兄タイラーのパートで、何もかも失い自暴自棄になった彼が自堕落な生活を送り、挙げ句身勝手な振る舞いをして最悪の結末を迎えるまでは、その多くにおいて手に汗握り緊張感が否が応でも走る。ただ、そこから家族の破綻から再生をゆっくりと描く後半は、幾分ゆっくり過ぎるきらいがあった。現代良作名作にA24とルーカス・ヘッジズあり。

P.S. 同監督の『クリシャ』はUPLINK社長・浅田氏のハラスメント問題によって公開延期になった。当然。

今年映画館鑑賞多分37本目

とぽとぽ