コントラ KONTORAのレビュー・感想・評価
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見応がとにかくあり、引き込まれる映画だった。
父親に年頃のよくあるどのように接していいのか、分からない高校生のソラ。唯一心を開いていた祖父の急死、祖父の手に持っていた日記を見つけたときから物語が動いていく。
オープニングの始まり方は、とてもすてきだし、突如現れた後ろ向きに歩く男が物語が進むに連れて、ソラの家族と関わっていく。
頑固ですぐに頭に血が上るタイプの父と、反抗的で少し荒っぽい態度をとるソラは本当はとても優しかったり、後ろ向きに歩く男にも親切に接する。
祖父が埋めたとされる、戦争中の銃を見付けたことや、見つける過程にて親子の関係もよくなっていき、後ろ向きに歩く男も一緒に暮らすようになっていくのだが、視聴者も気になっている【何故後ろ向きに歩くのか】そこを問いただし始めるが、結局明確の答えが出ないまま終わっていく。
最期にソラの似顔絵とメッセージ、後ろ向きに玄関を出た後に前を向き走り始める男。
私の解釈は、祖父の日記を読んだことにより、戦時中の若き青年が現れ、祖父の中では自分が亡くなったあとに気がかりの親子関係を心配し、出てきたのかなと考える。
時間軸が過去に戻っていくのを巻き戻しのような演出として後ろ向きなのか、観たあとにもたくさん考えられて楽しい。
前編モノクロで、場面に大きな動きはないけれど
出演者たちの演技や動き、気になっていく展開にすっごく引き込まれました。
観れてよかったです。
何がテーマで何を訴えたいのか?
意図的にモノクロにした訳は?現代の設定なら意味ないし日本語に英語の字幕もウザイだけ結局あの変な男は何だったのか小劇団が舞台でやるようなお話で劇場で映画でやるような物では無い!
予告編とのギャップ
あらすじは、見終わってから見て、
予告編しか見てないと、こんなあらすじとは思わないくらいの内容のイメージ
予告編だと、逆走するヤバい人と、まわりもヤバそうで、白黒と山の描写から、よりホラー系に思える
しかも、2時間半という長めの映画
さらに監督はインド人の日本映画という
見てみると、知ってる俳優出てこないけど、劇団とかの人が多いようで、演技は凄い
主人公の女子高生役の子
美人じゃないし、学校に一人くらいいそうな、何考えてるかわからない系の女子
高校生だけど、友達は出てこず、いとこの子供との関わりがあるくらい
お父さんは、自営業で、二人暮らしだけど、関係は冷えきってる
そんな中で、逆走する人をはねてしまい、家に連れて帰る事になった。
何も喋らず、手でつかみ食いするし、意思の疎通が出来ない
女の子は、その男と生活したり、
祖父の残した日記を元に宝さがしするあたりから、
徐々に狂いだし、混沌さがましてくる
山での穴を掘ってるあたり、狂気じみてる
宝を見つけたら、家族が男を含めて、一体感生まれた時に、逆に女の子の目が冷めてきたから、ラストに何か不穏な事あるなと思ったけど、
予想外だった。
ロケ地岐阜県関市で、白黒のせいもあり、山の田舎感が凄い
【祖父は第二次世界大戦の深い哀しみを精緻に記した日記を残して、逝った。”あるモノ”を山中に埋めて・・。現代”物質主義社会”と、右傾化が止まらない世界に対する、強烈なアンチテーゼを発信する映画である。】
ー モノクローム画面で描かれる、”何もない”田舎の風景。
3人暮らしの高校生ソラ(円井わん)と父(山田太一)と祖父。だが、ある日祖父が急死して、”只管に後ろ向きに歩く”ホームレスのような男が現れた・・。ー
■感想<Caution! 内容に触れています。>
・アンシュル・チョウハン監督がモノクロームの画面で描き出す、凡庸な田舎で暮らすソラ達の姿、沁みだすような寂寥感溢れる世界観に魅入られる。
ソラの粗野な態度の理由も、徐々に分かって来る。
ー 彼女は、母が亡くなり、唯一の”目を見て”話を聞いてくれていた祖父を亡くして、寂しかったのだ・・。何かに苛立っていたのだ・・。ー
・祖父が遺した第二次世界大戦の出来事や、チラシを張り付けた日記。精緻に書かれた兵隊たちの姿。
何故、祖父はこの日記を大切に保管していたのか?
そして、その日記に書かれていた事を読んだソラは、翌日から学校へも行かずに、山中に入り、土を掘り始める・・。
ー 軍用金か何かと思った父の従兄たちの姿が、醜い。金にしか目が無い男たち・・。ー
・一言も話さない、謎の只管に後ろ向きにしか歩かない男。
ー 少し、状況が推測出来るようになる。
男は、第二次世界大戦で、深い哀しみや悔悟を抱えたまま死んでいった日本の兵隊を”象徴”しているのではないか・・、と。ー
・男が、日記の余白のページに精緻に描いたソラの笑顔。そして、記した言葉。眠りこけるソラの父の頭を叩いて、家を出て、前を向いて走り出す男。
ー 男の実態が分かるシークエンス・・。見事な作品構成である。ー
<作品から、発せられる現代”物質主義”社会への痛烈な批判と、強烈な反戦の意志を観る側に投げつけてくる映画。
ラスト、ソラが大岩の上で大空に向け撃つ銃声が、多大なる警鐘に聞こえた作品。>
<2021年5月9日 刈谷日劇にて鑑賞>
突然の傑作との出会いに震えた
破格の傑作だった。
1986年にインドで生まれ2011年から日本での活動を開始したというアンシュル・チョウハン監督。彼の存在をまったく知らなかった。
田舎町で暮らす女子高生のソラは、急死した祖父が1945年に記した日記を手にした。
時を同じくして登場した後ろ向きに歩く男。その登場シーンが鮮烈だった。美しかった。泣いているかと思われた表情が、やがて今生まれ落ちたかのような歓喜の表情へと変わった。彼は前を向いて歩かず、言葉を発することはなかった。非現実的で抽象的な彼の存在が今作を特別なものにした。
いったい彼は何者?
祖父の日記は端正なイラストとともに極めて具体的かつ直接的だった。それを読み返すソラも、観る我々も否応なく軍隊の生活を知ることとなる。祖父の1945年を知ることとなる。
自分は少年兵として志願し各務原の飛行場で終戦を迎えた父のことを思った。父は一度も戦闘機に乗ることはなかった。
ソラの生活は閉塞していた。二人だけになった父との生活は冷たかった。父と叔父との関係も悪く、夢破れ東京から帰った従姉妹も父である叔父を嫌悪した。家族も親族もみな歪だった。下世話な描写とともに悲劇しかなかった。
ソラと後ろ向きに歩く男の交錯。男が与えたインパクトは決してプラスではなかったが決定的だったと思う。
ソラの存在、そして時折噴出する彼女の狂気が鮮烈だった。ソラを演じた円井わんさんってホント凄い。
映像と音/音楽も特筆すべきもの。映画のマジックを感じた。男の登場シーンとともに、ソラが自転車で男を探すシーンが秀逸。恍惚となった。真の映画芸術が在った。
過去と現在、そして具象の抽象のつづれおり。そしてそこに生まれる普遍性。黙示録ともいえる今作にタルコフスキーを思った。
今年の日本映画のベストの一本だろう。
今一つ入り込めないんだよなー、面白くないんだよなー
大きく深いテーマ。映像美。散りばめられた断片が形を成していく展開は嫌いじゃないし、よくぞこんなの思い付きましたな!って感じです。突拍子もない設定ですが、なるほどね!って感じで終われました。
しかし、しかし。ストーリーに入り込めなかった。
なぜだろ?と考えました。
舞台を日本にしたのが足枷になってしまったのでは?
全編日本語以外の言葉にして、日本語字幕にしたほうが日本語会話の違和感が払拭できたのではないかな?
父娘の日常会話で「フェア」なんて単語、使わないですよ。日本語会話の監修してあるのかなー?本作。
それと、ソラがあまりにエキセントリックかつ感情の起伏激しすぎて、、、。動静のコントラストがキツすぎて心情がはかりきれない。おじいちゃんとのエピソードがあまりに薄くて、どーにも乗っていかない僕の気持ち。
あと、ソラの親父がアホすぎていらつくんですよね。
何にも考えていない感が半端ない。だからソラを大事にしてるんだよ、のセリフが表面的に映るんだよな。
それと、親戚関係のエピソード、必要だったのかな?
なんのために必要だったんだろ?よくわからん。
シーン毎の絵はとっても綺麗。本当に。
ラストシーンは印象的で、すごく良いです。
けどね、描きたいテーマとラストシーンありきで脚本作ったんじゃ?とおもえる無理展開と感じてしまう僕がいたんですよね。もっとちゃんとフォーカスして描くべきだったのでは?
残念でした。
二つの魂
同居していた祖父を亡くした来年卒業の女子高生が、祖父が1945年の戦時下に書いた日記をみつけ、そこに記されていた祖父の埋めたものを探す話。
自転車のチェーンがはずれただけでブチ切れるやさぐれ主人公が祖父を亡くし、上手くいっていない父親との二人暮らしになる中で、同時期に町に現れた喋らず裸足でボロボロの服を着た、後ろ向きに歩き続ける男と遭遇し展開していくストーリー。
その時期に土浦海軍飛行隊とか、自分が生き残ったことに対する思いとかからすると、特攻隊だったと思われる祖父の日記。
タイミングだったり存在感だったりで後ろ向きに歩く男が何となくは判る状況で、相続に事故に失踪にと、親戚を巻き込んでのゴタゴタを重ね、更に鬱屈としていく。
空気感としては色々と感じたり理解出来たりするものはあるけれど、ちょっと主人公がひね過ぎているからか自分の理解を超えるところも。
後ろ向きの男の存在理由も色々思うところはあるけれど、だとしたら、と話が合わない様に感じてやはり良くわからなかったり。
まあ、それも含めてファンタジーなんだろうけどね…。
伝わってくるものや空気感は良かったけれど、何でがちょっと多く響かないものも多かった印象。
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