コントラ KONTORA
劇場公開日:2021年3月20日
解説
インド出身・日本在住のアンシュル・チョウハン監督が、日本の田舎町を舞台にモノクロ映像で撮りあげたファンタジックな人間ドラマ。女子高生のソラは父と2人で暮らしているが、父子関係は冷え切っていた。ある日、急死した祖父が遺した第2次世界大戦中の日記を見つけた彼女は、その中に宝の存在を示す記述を発見し、密かに宝探しを始める。時を同じくして、ソラの住む町に、無言で後ろ向きに歩くホームレスの男が現れる。ソラの父が男を車で轢いたことをきっかけに、ソラと男の不思議な交流が始まる。主演は「タイトル、拒絶」の円井わん。エストニアのタリン・ブラックナイト映画祭でグランプリと最優秀音楽賞、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭の国内コンペティション長編部門で優秀作品賞を受賞した。
2019年製作/143分/PG12/日本
配給:リアリーライクフィルムズ、Cinemago
スタッフ・キャスト
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父親に年頃のよくあるどのように接していいのか、分からない高校生のソラ。唯一心を開いていた祖父の急死、祖父の手に持っていた日記を見つけたときから物語が動いていく。
オープニングの始まり方は、とてもすてきだし、突如現れた後ろ向きに歩く男が物語が進むに連れて、ソラの家族と関わっていく。
頑固ですぐに頭に血が上るタイプの父と、反抗的で少し荒っぽい態度をとるソラは本当はとても優しかったり、後ろ向きに歩く男にも親切に接する。
祖父が埋めたとされる、戦争中の銃を見付けたことや、見つける過程にて親子の関係もよくなっていき、後ろ向きに歩く男も一緒に暮らすようになっていくのだが、視聴者も気になっている【何故後ろ向きに歩くのか】そこを問いただし始めるが、結局明確の答えが出ないまま終わっていく。
最期にソラの似顔絵とメッセージ、後ろ向きに玄関を出た後に前を向き走り始める男。
私の解釈は、祖父の日記を読んだことにより、戦時中の若き青年が現れ、祖父の中では自分が亡くなったあとに気がかりの親子関係を心配し、出てきたのかなと考える。
時間軸が過去に戻っていくのを巻き戻しのような演出として後ろ向きなのか、観たあとにもたくさん考えられて楽しい。
前編モノクロで、場面に大きな動きはないけれど
出演者たちの演技や動き、気になっていく展開にすっごく引き込まれました。
観れてよかったです。
2021年5月25日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
意図的にモノクロにした訳は?現代の設定なら意味ないし日本語に英語の字幕もウザイだけ結局あの変な男は何だったのか小劇団が舞台でやるようなお話で劇場で映画でやるような物では無い!
2021年5月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
あらすじは、見終わってから見て、
予告編しか見てないと、こんなあらすじとは思わないくらいの内容のイメージ
予告編だと、逆走するヤバい人と、まわりもヤバそうで、白黒と山の描写から、よりホラー系に思える
しかも、2時間半という長めの映画
さらに監督はインド人の日本映画という
見てみると、知ってる俳優出てこないけど、劇団とかの人が多いようで、演技は凄い
主人公の女子高生役の子
美人じゃないし、学校に一人くらいいそうな、何考えてるかわからない系の女子
高校生だけど、友達は出てこず、いとこの子供との関わりがあるくらい
お父さんは、自営業で、二人暮らしだけど、関係は冷えきってる
そんな中で、逆走する人をはねてしまい、家に連れて帰る事になった。
何も喋らず、手でつかみ食いするし、意思の疎通が出来ない
女の子は、その男と生活したり、
祖父の残した日記を元に宝さがしするあたりから、
徐々に狂いだし、混沌さがましてくる
山での穴を掘ってるあたり、狂気じみてる
宝を見つけたら、家族が男を含めて、一体感生まれた時に、逆に女の子の目が冷めてきたから、ラストに何か不穏な事あるなと思ったけど、
予想外だった。
ロケ地岐阜県関市で、白黒のせいもあり、山の田舎感が凄い
2021年5月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ー モノクローム画面で描かれる、”何もない”田舎の風景。
3人暮らしの高校生ソラ(円井わん)と父(山田太一)と祖父。だが、ある日祖父が急死して、”只管に後ろ向きに歩く”ホームレスのような男が現れた・・。ー
■感想<Caution! 内容に触れています。>
・アンシュル・チョウハン監督がモノクロームの画面で描き出す、凡庸な田舎で暮らすソラ達の姿、沁みだすような寂寥感溢れる世界観に魅入られる。
ソラの粗野な態度の理由も、徐々に分かって来る。
ー 彼女は、母が亡くなり、唯一の”目を見て”話を聞いてくれていた祖父を亡くして、寂しかったのだ・・。何かに苛立っていたのだ・・。ー
・祖父が遺した第二次世界大戦の出来事や、チラシを張り付けた日記。精緻に書かれた兵隊たちの姿。
何故、祖父はこの日記を大切に保管していたのか?
そして、その日記に書かれていた事を読んだソラは、翌日から学校へも行かずに、山中に入り、土を掘り始める・・。
ー 軍用金か何かと思った父の従兄たちの姿が、醜い。金にしか目が無い男たち・・。ー
・一言も話さない、謎の只管に後ろ向きにしか歩かない男。
ー 少し、状況が推測出来るようになる。
男は、第二次世界大戦で、深い哀しみや悔悟を抱えたまま死んでいった日本の兵隊を”象徴”しているのではないか・・、と。ー
・男が、日記の余白のページに精緻に描いたソラの笑顔。そして、記した言葉。眠りこけるソラの父の頭を叩いて、家を出て、前を向いて走り出す男。
ー 男の実態が分かるシークエンス・・。見事な作品構成である。ー
<作品から、発せられる現代”物質主義”社会への痛烈な批判と、強烈な反戦の意志を観る側に投げつけてくる映画。
ラスト、ソラが大岩の上で大空に向け撃つ銃声が、多大なる警鐘に聞こえた作品。>
<2021年5月9日 刈谷日劇にて鑑賞>