スキャンダルのレビュー・感想・評価
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分断を引き起こした男
スリリングなエンターテインメントとしての進め方だけに軸足は置かない。
キャスター達の気持ち、
ロジャー・エイルズの罪の深さ、
影響の大きさ、
をじっくりと描く。
が、
もう少しキャラクターを作り上げても、
よかったか。
実話ベースの作品は、
リアルに仕上げようとして、
事実に呪縛されて、
登場人物がのっぺらぼうになるケースがある。
特にこういう作品ではさじ加減が難しい。
敵の敵は味方の描き方はよかった。
ヒットしたから、
興行的に成功した、
という事で括ってはいけない問題を、
伝える!
という、
大きい問題に対峙するスタンスや気概のようなモノは感じた。
ルパート・マードックをマルコム・マクダウェル!
若い頃の非道ぶりをアレックスでつなげたか?
エイルズが、
ヘイトマーケティングで集票、
トランプを大統領に担ぎ上げた手法、
嘘みたいなプロセスに詳しい、
「ザ・ラウデスト・ボイス―アメリカを分断した男―」と併せておすすめです。
男世界の本源を突く、重苦しい作品。
FOXニューズ社という、全米3大ネットワークに次ぐテレビ網を支配するセクハラ権力者。
その権力者のセクハラに迎合し、取り入ったことによってキャスターの座を得てきた女性たちのうち、権力者の寵を失って左遷された者が、権力者のセクハラを告発した、という作品です。
キャスターの女性たちは脚線美を誇張せねばならず、それを接写するカメラワークによって大衆人気を得ていた(とまで言い切ってしまうと史実に反するかも知れませんが)テレビ局が舞台です。
つまり、女性に対してまず第一に、外見(セクシーさ)を求める数千万人の視聴者の代表として、権力者はキャスターたちを慰み物にしていたわけです。
それを視聴者のアナタも心の奥底では望んでいたでしょ、つまりあなたがた視聴者も共犯者なんですよ、と告発しているわけです。
観ている側としては、テレビに写る女性は、きれいなほうが嬉しい……という、単純で素朴な願望は抑えられるものではありませんが、それが女性に対するハラスメントを構成するわけなので、いったいどうすりゃいいのでしょうか。
その答えは、同じ日に「チャーリーズ・エンジェル」を見たことによって気がつきました。
こちらは「女性をモノとして鑑賞する観客たちを喜ばせる映画」の典型です。
つまり、もしかして、有名人という職業は、ハラスメントを甘受すべき職業上の高度な義務を負う職業なのかも知れぬとも考えられるわけです。
つまり一般人の尺度でこの「スキャンダル」という映画の「セクハラ権力者」を断罪してしまうことは早計に過ぎるのかも知れません。
例えとしては穏当ではありませんが、ソープ嬢や風俗嬢という商売を選んだ女性たちが、職業上、男性から受けることを甘受すべき水準と、オフィスワークで働く女性が甘受すべき水準とは、まったく違っているのが当然であり、それは彼女たちの報酬額も違うのだから、一刀両断に語ることはできない、という点です。
ニュースキャスターは、単なるOLよりも、はるかに高収入なことは間違いないでしょうから。
というわけで、あらぬ方向にまで悩んだ、そんな一日でありました。
ほんとの別人メイク
エンタメニュースには「あれ、こんな顔だったっけ」枠がある。
ポータルにはまいにち他愛ないエンタメニュースが挙がってくる。
顕著なのは、芸能人の誰某がSNSを更新し、その態様または発言が好評あるいは炎上──というものである。
そんななかに、写真系SNSでの顔に対して「あれ、こんな顔だったっけ」と反響が寄せられた──というものがある。
もとよりメイクは、別人や若返りを目途にやるものではなかろうか。
芸能に生きる人なら尚更そうであろう。
「あれ、こんな顔だったっけ」と思われることを目指している彼女の、なんども取り直したはずの写真に「あれ、こんな顔だったっけ」とは、素直な反応である。素直というか、下世話というか、発言の有効性が希薄である。
きょうび、どうにでも撮れるだろうに。
もっとも、芸能人の写真系SNSに寄せられるコメントに、有効性の希薄でないコメントはない。
わたしも小市民ゆえ「あれこんな顔だったっけ」の釣りに、インスタを覗く。
すると、まず間違いなく「あれ、こんな顔だったっけ」言うほど──ではない誰某が、そこに写っているのである。
この手のエンタメニュースをばかばかしいと一蹴する意見があるのだが、釣られた以上、ばかばかしいと言える義理はない。
あんがい、ばかばかしいと思っている人たちがポータルにあがるエンタメニュースをつぶさに拝観している──わけである。
ところで、シャーリーズセロンはよく見る女優である。
ただこの映画の彼女は、識別できない。
ほんとの「あれ、こんな顔だったっけ」である。
Monster(2003)の彼女は、それでもまだ判る。
しかしこの映画のばあい、スチールを見た時点で、キッドマンとロビーと、あれ・・・これは誰だ?となった。
映画のなかでさえわからない。
寄ってもわからない。
アカデミー賞において、衣装賞や美術賞、あるいはメイキャップ賞など、縁の下系の賞は、われわれ素人目には、すごみがよく解らないことがある。
もちろん男女優賞も、作品賞、監督賞であっても、主観からすれば、あの人よりこの人だろ、とか、あれよりこっちだろ、との感慨はまぬがれないものだが、専門系の賞は、規準を形成できないため、へえなるほどと納得するしかない。
が、Bombshellのメイキャップ賞の受賞は、素人目にも完全に納得ができる。
それが、すごい。
氏は受賞にともなって、アメリカ人に受け容れられやすい、通名にしている。
その戦略性にも感心した。
ものまねメイクで一世を風靡し霧消した芸人がいたが、メイキャップのような専門職において、目指しているところの違い──を見せつけた。
どんな分野でも、やる人はやるのだ──を感じたわけである。
個人的にいちばんよかったのはジョンリスゴー。食いまくり暴言吐きまくり。絵に描いたような醜悪。圧倒的に隔意を催させる。昔っからうまい人だった。
映画はやや告発色がつよい。純粋なエンターテインメントを逸脱する怨嗟が見える。
がんらいドキュメンタリーになるものを、メーガンケリーらの知名度がハリウッド女優を配した映画に仕立てた──の感があった。
すなわち被害者が声をあげるには被害者自身にも権勢が必要になるという構造が見え──なくもない。
これが何かといえばMeTooが有名人たちの出来事である──という誤解である。
とうぜんセクシャルハラスメントは巷にもある。
そこではMeTooのような大局な運動は役に立たない。
MeTooがなんとなく公的事業報告な雰囲気なのはその点だと思う。
ゆえに庶民としてはセクシャルハラスメントの映画というより、業界内の攻防ドラマに見える。
しかしそれはそれ。これはこれでいい。
フォックスの重役ロジャーエールスの話だったがイギリスのジミーサヴィルという人はもっと酷かった。百人超が性的暴行などの被害に遭いながら、当人はナイトの爵位を受勲した──とwikiに書いてあった。
MeTooは氷山を瓦解させつつあるけれど、まだ一角を感じる。それらは権力や宗教に隠れている。有名であろうとも、業績を残そうとも、故人であろうとも、その墓石には唾を吐くべきだ。
しかしいまわたしが唾を吐きたいのはこの邦題である。
リザガストーニのと重なるしジョアンヌウォーリーキルマーのとも重なるしチョンドヨンのとも重なる。ぜんぶわたしのお気にである。
多くの人に観てほしい
これが実話だなんて信じられない…
声をあげた女性達、勝利を納めた努力に頭が下がる。
働く女性でセクハラされたことない人なんて、いないんじゃないかな。
程度の差はあれど。
男性は気づいて欲しい。
いかにもアメリカ
3人の超有名女優が共演していることがこの作品の一つの売りだが、たしかにゴージャスで見応えは十分。キャラクターも上手く描き分けられていると思う。ただし3人のキャスターがセクハラに対して仲良く一致団結して抵抗するというわけではない点が、ちょっと予想外だった。そこは個人主義のアメリカならではといったところか。あくまでも三者三様。もともと局内で花形ポジジョンを争うライバル同士でもあるわけだから、困難に遭っても公然と仲良く振る舞ったりはしない。各々が自分の立場に立ってセクハラに対して行動を起こしていくという筋書きだ。
目を背けたくなる真相。立ち上がった女性達の物語。
【賛否両論チェック】
賛:権力を持つ者による陰湿なセクハラに対し、それまで立場の違った女性キャスター達が、やがてそれぞれに立ち上がっていく姿に、頭が下がる想い。
否:淡々と出来事の描写が進んでいく印象で、登場人物や事件も多いため、気をつけて観ていないとこんがらがってしまいそう。思わず目を背けたくなるようなセクハラの言動も、人によっては観ていてヘドが出るかも。
看板キャスターとベテランキャスター、そして新人キャスターという立場が異なる3人を通して、テレビ局にはびこっていた絶対王政下でのセクハラを、勇気と使命感を持って告発していった彼女達の姿が描かれていて、観ているだけで本当に心が痛みます。
そして権力をかさに、セクハラと糾弾されてしかるべき言動を平然と行ってしまうCEOの姿には、人間の特に男性の持つ浅ましさや愚かさが如実に表れていて、身につまされるようです。
登場人物や起こる出来事が結構多いので、油断していると誰の何のことか観ていて分からなくなってしまうかも知れませんので、その点はご注意を。目を背けたくなるような問題の、それでも決して目を背けてはいけない真相を、是非ご覧になってみて下さい。
これが実話か、どれほど脚色があるかとか、そこも大事だけど、やっぱり...
これが実話か、どれほど脚色があるかとか、そこも大事だけど、やっぱり見所は女優さんたちだと思った。女性たちの逆転劇的なのは映画としてよくあることだとは思うけど、それをハラハラさせてくれて、かっこいいな…と。そう思わせてくれるのは、やっぱり演技が格別にうまい俳優陣の力だと、改めて感じる作品だった。(今回、英語字幕で観たから、難しい表現とかもあって、女優さんの表情を特に頼ったというのもあるのかもしれませんが。)
ニコールキッドマンはさほど私の中ではハマらなかったけど、シャーリーズセロンとマーゴットロビーが最高でした。
最初、誰がやっていたのかわからなかったほどの特殊メイクを施したセロンのメーガンケリーが、絶対に笑わず、圧のある表情を見せながら、自分の立場と本当の気持ちと葛藤していくシーンは素晴らしかった。
あと、マーゴットが演じるケイラが、ロジャーの前でスカートを上げていくシーンは、ゾゾゾっとくる。それを後から同僚に電話をして、涙するところなんかは、実際はすごく怖くて、情けない心情が、見る側の涙を誘う。
本当にあったかは知らないけど、嘘のような本当の話なんだろうなと想像。
脇を固める女優さん俳優さんたちもすごく上手で、見応え十分でした。
自分が実際にこういう場面に遭ったらと思うと、怖くてもう耐えられない…
そう思わせてくれるリアルな演出が素晴らしかった。
世の中には、ケリーの旦那さんのように、女の人を大切にしてくれる男の人もいるのに(下心がないかと言われるとそれは知らんけど笑)、商品やモノとして扱われたら、まずはただただ悲しいな、と。
女として、プライドを持って生きていきたい。
映画製作者としてのセロン
あえて「三大女優夢の共演」とか「すけべ親父を痛快に懲らしめる」みたいな路線にしなかったのは、意図があるのでしょうね。
非常に複雑に様々な要素が絡み合っていて、それぞれの思惑もあり、単純に解釈できないところです。
仕事に関しては有能なのがどうしてもハーヴェイ・ワインスタインを連想させます。
FOXニュース社内の少なくとも主要人物はみんな白人だったように思いますがこれも意図的なキャスティングなのでしょうか。
「チーム・ロジャー」シャツのあまりのサムさは逆に気の毒になります。
意義のある映画
実話だけど映画用に脚色が入った半実話
めちゃくちゃ男社会なFOXでセクハラを受けた女性が
立ち向かい戦うストーリー
泣くとは思わなかったけど、
セクハラを受けた本人であろう人達が
顔と名前を出して淡々と事実を話す場面で嗚咽が出た
セクハラを受け、声をあげても迷惑そうに、
面倒臭い奴扱いを受け、逆に批判されること大半
その中この人は闘ったんだと思うと心が震える
この映画を見てちゃんと嫌悪感を覚えれる人と働きたいし、結婚したい🤔
実話なんだろうけど…
いつも、この手の実話ベース系の映画の時に思うけど、全く知らなかった話を「実話です」と言われても、ちょっとピンと来ないんだよね…。
実話を知っている人からすると、実際と違うとか、よく似ているとか、そんな楽しみ方もあるんだろうけど…。
男尊女卑という言葉は日本だけかと思っていたけど、当たり前かも知れないけど万国共通なんだと改めて感じたけど、それに対して、あまり感想はないかなぁ…。
過激な男女平等に進まないことを願います。
上記のように実話を知らない人からすると、もう少し人物を掘り下げるなり、ほのめかしの表現ではなく、直接的な表現の方をするなりしないと、楽しめなかったかなぁ…と思った。
ちょっと期待外れだったかなぁ…。
キャスティングが素晴らしい
権力の頂点みたいなところのセクハラの伝統を断ち切ろうとする女たちの話。まあ考えてみればセクハラの温床みたいなとこだったろうな。タテつけないものにタテつく話が好きなので、自然と応援モード。
似てるか似てないか、とかはまったく興味ないのだが、とにかくジョン・リズゴーとそのキャスティングに敬意を。
どこも大変
登場人物が多すぎていまいち入り込めず。もっと女性同士連帯するのかと思ったらそうでもないし。
地味〜なセクハラ描写もかなりあるあるで、アメリカの気の強そうなお姉さんたちも苦労してるんだな…というのは新鮮ではあった。映画だと殴り倒してるのに、現実はどこも同じ。
コネと美しさと若さがものを言うアメリカでは日本よりしんどい面があるのかもしれない。能力や野心があればある程、壁も高く感じるよね。
重大な事件なのだろうけど・・・
テーマこそ重大で深刻で男女問わず、いい加減性別のこと仕事に持ち出すのはやめよーよと思ってはおりますが、どうも入り込めませんでした。
というのも、場面転換多すぎて、登場人物多すぎて、名前覚えられない・・・という初歩的なところでつまずいてしまい・・・。
FOXという会社が当時、情報をアウトプットする会社なのに内実はものすごく閉鎖的というのは、冒頭のニコール・キッドマンが社内PVよろしく説明したあたりからじわじわ感じました。そういう見せ方が報道局っぽくてかっこいいなとは思いました。
けれどこれって根本的に問題解決してないですよね?してないことが問題なのよね?
だって魚は頭から腐っていくうちの頭しか処分されてないし、その戦後処理に乗り出したのもみんな「男」だし。だから最後のテロップで「続いている」と書いてあったのでしょうが。
そんな一刀両断できる問題でないことも知っていますが、どうもスカッとしない。というのが、残念ながら正直な感想でした。
セクハラが無くなることを願って
勇気を出してセクハラに立ち向かった女性の物語です。この世からセクハラとパワハラを追放したく考えている私としては、社会で働く女性にはとてもお薦めの映画だと思いました。個人的にはシャーリーズセロンとマーゴットロビーの演技が特に光っていると感じました。ありがとうございました。
2020-22
それを自分の娘にもやるのか?
払われた退職金の札束でビンタしてやりたい。
新入社員の頃、倫理教養でセクハラについて教わっているときも、もうこんな現代社会でセクハラなんて絶滅したもんだと思ってました。
今はちゃんと報告して罰せられるシステムがあるから、みんな報告されてるんでしょ?もしやられてもやり返せると。
確かにそういう制度はある。でも、セクハラだと声を上げたら、ずっと噂され、そういう目でみられるという現実。被害者なのに、男性も女性も好奇心の目で見てくる、そんなシーンを何度か見てきました。
マゴロビちゃんの涙。あれはリアルな現場の声を映しているかのようです。
セクハラだと声を上げる者。
その状況を多少見守ってから、声を上げる者。
耐える者。
なびく者。
長いものに巻かれる者。
自身のキャリアを考えるのは、大人なら当然なので、それぞれの立場で行動が異なるのもリアル。
なるほどなぁと思ったのは、レズビアンでヒラリー支持のFOX社員。彼女は就活でFOXしか受からなかったからFOXやってますけど、FOX出身がつきまとって他局にもいけないし、しゃーないからレズビアンとヒラリー支持を隠している。
その子が友達のマゴロビを助けないんだよね。これ、日本でこの背景と理由で「助けない」描写にはならないでしょう。
眉間にシワ寄せながら、面白いと思った映画でした。
日本もこういう映画を作ってくれ。
シャーリーズセロン の美しさ 目の保養
シャーリーズセロン が美しい。
瞳の色が気になり引き込まれた。
衣装も華やかで素敵でした。
ニコールキッドマンも歳なりになったなぁ。
美しく歳を重ねるのがいかに難しいか、うーむ。
マーゴットロビーの、私、汚いと涙するのは、なんか、よくあるかなぁ、と。
セクハラと言う言葉の存在で世界は大きく変わったなぁ、と思います。
いまだに変わらぬ日本のおじ様、お兄さん、お気をつけください。されて良い気分はまったくしない、最悪なハラスメント。
私の周囲にいる、●●さん、あなたの言動は完璧アウトなんですが、いつ気づく?
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