劇場公開日 2020年2月21日

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「↑作品の質を反映した★ではありません。」スキャンダル キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0↑作品の質を反映した★ではありません。

2020年2月23日
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まず、アメリカにおける政党とメディアの関係、FOXニュースというチャンネルの政治的スタンス、日本でいう「アナウンサー」「キャスター」「アンカー」の明確な違い、無数に登場する社名・人名(それも名前で呼んだり名字で呼んだり)…特にその中にはアメリカのメディアでは「超」の付く有名人や、非常に大きな影響力を持つ実在の人物もサラッと登場する。

そういった知識が不十分であった(もちろんFOXニュースが共和党・保守寄りであることや、あのメディア王の名前くらいは知っていたんだが)せいで、私が堪能できた度合いは上記の★で示した60%といったところ。

とにかく前半50分くらいは情報の洪水を頭で整理するのに必死。中盤辺りでようやく大きな流れが見えてくる感じ。

したがって、このマイナス分の多くは私自身の不勉強が原因であることは間違いない。
もちろんスクリーン上で起こっていることも作品が伝えたいメッセージも十分理解できるので、「予習が必要な」「難しい映画」などということは決してないことは申し添えておく。

そして、誤解を恐れず(いや、ご批判を覚悟で)書くとすれば、マーゴット・ロビー扮するケイラへの最初のセクハラシーン。
心のどこかで「セクシーなシーン」として捉えていた自分を否定できない。「このクズジジイ!」と思いながら、一方でドキドキしている。
私は、そんな自分を厳しく正すべきなのか。
この、様々なジェンダーが(依然多くの差別と戦いながらも)少しずつ認められ始めたご時世においてもなお、私は「男性」としての見解しか持つことができない。「男性」として相手がどう思うかを想像し、配慮し、言動を律することしかできない。

作中のラスト近く、いつもスカートだった女性に「今日はパンツだね?」と声をかけて「F○CK!」と返された男性。
ひとまず決着のついた流れだったので軽いコメディシーンにはなっていたが、世の中のセクハラ事象はむしろ圧倒的にこういったケースにこそ存在するのではないか。
実はあの彼は私ではなかったか。

「思うこと」と「行うこと」では当然違う訳だが、もう「思うこと」もモラルに反するとすれば、私はもっと高いレベルで異性に対してのハラスメントについて考え・感じ・想い・学ばなくてはならない。
そして作品ラストのメッセージ、となる訳だ。

この作品を観て、「あのジジイ、クソだな」「アイツが席を追われてスッキリ」で終わってはいけないのだ。

あらためまして。
これは決して開き直っている訳ではないのです。
年を重ね、いろいろな場面で後輩や部下と接する機会が増えると共に、自分が気付かないところで相手を傷付けてしまっているのではないか。より高いモラル(いや、それが当たり前なのだが)と意識を持たなくてはいけないんだ。
そう思いました。

繰り返しになりますが、この映画を否定した意味での★3つ…ではなく、自らの不勉強や不見識を思い知って「グヌヌ」となった故の★3つであることをダラダラと言い訳させて頂きました。(誰への言い訳なんだろ…)

キレンジャー