「何を守り何と戦うか」スキャンダル Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
何を守り何と戦うか
予告で何度も観て興味を持ち鑑賞
事前にはキャスト豪華だなーという印象しか
ありませんでした
マーゴット・ロビーは
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
シャーリーズ・セロンは
ロングショット以来でしょうか
感想としては
男性という立場で観ても非常に面白かった
米国での職権に関わるセクハラ行為
というものの現実を知ることが出来ました
メディア王マードック一族が運営する
米最大の右派ケーブルTV局FOXチャンネルで
CEOロジャー・エイルズによるセクシャルハラスメント
行為に立ち上がった女性キャスター達のお話
FOXが推してるはずのドナルド・トランプ大統領候補(当事)
の女性蔑視発言に関してもズケズケ聞く度量で人気の
メーガン・ケリー(シャーリーズ・セロン)らが
キャスターをクビになったグレッチェン・カールソン(ニコール・キッドマン)
によるセクハラ告発に揺れながら答えを模索していきます
入ったばかりのケイラ・ポスピシル(マーゴット・ロビー)も
チャンスを得るためにロジャーに接近しますが
セクハラ行為を強要されショックを受けますが
代償に仕事を与えられることでそれが当たり前であるかのような
認識で告発するグレッチェンらの行動を最初は理解できない
もののこちらも徐々に揺れ動いていきます
やはりセクハラ行為の問題点はしている本人が
自覚がない事のようです
場合によっては行き過ぎた性行為であったとしても
ロジャーは忠誠心として引き換えに仕事や報酬
ワークステイタスを与えて縛ってしまいます
だから告発も当初はロジャーを擁護する立場をもって
自分の生活を守ろうとする社内の人々に妨害される形に
なってしまう絶望感も描写していました
何を守るためにそこで仕事をするのかに直面したとき
どんな行動がとれるかは人それぞれになるのでしょう
グレッチェンは告発訴訟に至るまで用意周到にして
いましたが被害者の証言が必要なところをなかなか
名乗り出る者がそんな理由でいませんでしたが
メーガンも自分がセクハラを受けた過去から
他の女性キャスターに当たってみるといくらでも
出てくる有様でついに自らも告発に踏みきり
ロジャーは追い詰められマードックから切られます
ラストでケイラは結局自分の受けたセクハラを
打ち明けることができず会社を去りますが
要はこれがロジャーがいた頃は出来なかったわけですから
象徴的だなと思いました
ネット上ではところかまわず女性蔑視だ性的搾取だの
噛みついているだけのご気分次第の暇な人をよく見ますが
この事件とはまるで異なります
当事者が自分達と向き合って勇気を持って行動する
そうやって事態が変わっていくんだと思います
そう言うのを知ることが出来る今作
むしろ男性側がより観るべきなのではと思いました
完成度も高くメディアのあり方に関する訴えかけは
先日のリチャード・ジュエル以上な感じがしました
おすすめしたいです