劇場公開日 2020年2月21日

  • 予告編を見る

「カタルシスを感じる映画ではない。ズシッときた。」スキャンダル bionさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0カタルシスを感じる映画ではない。ズシッときた。

2020年2月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 心にズシッと来た。生殺与奪権とまで言わないが自分のキャリアを大きく左右する力を感じながら仕事をしている身としては他人事ではない。家族、ローン、将来の事を考えると正義感だけで行動はできない。

 セクハラ爺さんを血祭りにあげる痛快なストーリを想像していたが、より現実に近い描写がされていて見ている自分の心がチクチクする。主人公およびその周辺の登場人物の行動がドラマチックではなく、ある意味自己的で日和見的であるために、実際にあった出来事をリアルに感じる。同じ立場におかれたら、拒絶できるのか、告発できるのか、見て見ぬ振りをしてしまうのか。自分に問うてみる。やはり、登場人物たちと同じように誰かが立ち上がってくれることを期待してしまう。

 序盤は、軽快な観客への語りかけから始まったので、コメディタッチで進むのかと思ったが、徐々に心の揺れ動く様がわかるようなリアルなドラマに変化していく。

 セクハラや性的被害を題材をしている他の映画と違い、実際に起こったことは映像で再現せず、主人公たちの口から語る手法をとっている。ケイラたちは、自己の尊厳と戦いながら言葉を絞り出して、忌まわしい過去と向き合う。自分が壊れる寸前の言葉で語るために、心につきささってしまった。

 こういう立ち上がる女性がいて、一歩一歩、セクハラ・パワハラのない社会を築いて行くんだと思う。我が愛する娘も4月からは社会人。気持ちよく働ける環境でありますように。

bion
かいりさんのコメント
2020年3月21日

実現難しそうですね。日本でも切り込んだ映画をみたいものです。
娘様の新しい船出に影ながらエールを。暖かい人に恵まれますように。

かいり