「タランティーノ、気をつけろ!!(仮題)」スキャンダル スカポンタン・バイクさんの映画レビュー(感想・評価)
タランティーノ、気をつけろ!!(仮題)
若干ネタバレと思われる事があると思います。
完全にアカデミー賞の影響で観に行きました。ニワカです。メイクアップ&ヘア賞を受賞したカズ・ヒロでは、その前の受賞作である「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」をDVDで鑑賞しました。ゲイリーオールドマンの変貌ぶりは本当に凄かった。(ものすごくズレますが、バットマンのゴードンとポッターのシリウス、シド、チャーチルが同じ人って凄いですよね。)
この映画の本編についての感想は他の人が私より細かく詳しく説明してくれると思うので、その辺は言わなくていいかなぁと思っています。簡潔に言うと、主役3人の演技が凄く良かったです。内容も勿論攻めていて凄いのだと思いますが、それを最後まで私に観させたのは彼女たちの演技だと思います。日本の日曜劇場の池井戸潤系ドラマの枠で女性が戦うアゲアゲドラマが生まれたら良いなあと思いました。あ、連続テレビ小説のドラマがそれか?うん、これ関係ないですね。w
で、これとは別に今回考えさせられたのが、俳優の演技というものについてです。本作ではセクハラ問題が取り上げられるという事で、実際にセクハラが行われるというシーンがありました。当然といえば当然なのですが、俳優には演技指導が演出として入るわけですよね。という事は、映画内で行われるセクハラシーンは演出として計画的に撮られているわけです。俳優が映画に必要とはいえ、セクハラされる演技を撮らせるって凄いことじゃないですか?つまり、、、ねぇ?、、スカートの中が見えちゃうわけじゃないですか?(これは私が拗らせているだけかもしれないですが)
特にこの事を思ったのが、前日にブライアン・デ・パルマの「キャリー」を観たからなんです。具体的にはオープニングの女子高生たちが更衣室で着替えをしてるシーンを観たからです。あのシーンが物語上必要かどうかといえば微妙な所ですが、素っ裸の姿を撮らせる彼女たちに「いいのか!?凄えな!」と思いました。
今回、ニコール・キッドマンが出ているわけですが、彼女が出ている作品で私が見た事のあるものに「アイズワイドシャット」があります。この中でキッドマンがお便所で用を足すシーンがあるわけですよ。これに関しては「いらんだろ。何故やる必要があるんだ。w」と驚きましたね。
もしこれらのシーンが2階からのパワーハラスメントだとすれば非常に問題があります。正にこの映画の敵と同じです。しかし、芸術にそれが確かに必要であり、俳優が納得して全力を尽くしたものならば素晴らしいものですよね。ロジャーが言うように彼女たちの女性としての商品価値が視聴率を獲得している事は確かな事実でしょう。それ目的の人だって少なくないでしょう。演技だけを観て、これを見定めるのは私にはできないと思いますが、これらの表現がどこから来たものなのかというのは、確かに重要な事であると思いました。
「スキャンダル」で彼女たちが魅せた凄まじい演技は見事に私の意識をさらっていきました。そして、それはこの映画が伝える問題を表現する上でこれ以上ないものになったと思います。この映画そのものがスキャンダルにならない事を祈ります。
最後にタイトルについてですが、今回マーゴット・ロビーが出てるんですよね。で、ロジャーが解雇された時に「ようやく足フェチ変態野郎が消えたぜ」みたいなセリフがあったんですよね。うん。...考え過ぎだと思います。w
というわけで、強い女性や頑張る女性が好きな人、老害クソじじいが心底許せない人にはオススメです。