「当時観客席にいました」ヒノマルソウル 舞台裏の英雄たち Masuzohさんの映画レビュー(感想・評価)
当時観客席にいました
五輪直前という事で企画が持ち上がったであろう今作
結構楽しみにしていたのですがそれもそのはず
この長野五輪団体ジャンプは当時現地で観戦
していたからです
感想としては
当時の空気感の際限度も高く
「今だから」こう作れるというほどの
各選手の葛藤や本音をぶつけ合い
原田雅彦選手の鋼のメンタルに救われたのかも
しれないと思いました
五輪競技は突然国家的ムードが盛り上がり
代表選手はメダルを取るための有り球かのように
連日持ち上げられ失敗すれば批判されメダルを取れば
時の人という報道が繰り返されます
個人的にはウンザリなのですが今度の東京五輪は
コロナ禍ムードでの開催にメディアが開催の危険視を
煽りたてる異常なムードになっています
スポンサーをしているにも関わらずですから
やり始めたらやり始めたで手のひら返して
いつものように報道し始めるんでしょうけど
自分たちでそれだけ冷めさせておいて
よくそんなマヌケな事が出来るものですね
この映画では選手たちの葛藤と報道の無責任さ
そして観客の無頓着さが交わることがなく
話が進んでいくのが印象的でした
テストジャンパーが全員飛ばないと協議が続行できない
という事情を観客は知らずもう寒いから中止にしろと
言った声が聞こえてくるシーンなど本当にリアルでした
現場は確かにそんな感じでした
あのドット表示の電光掲示板も良く再現してありました
リレハンメルで失速ジャンプをして日本中から叩かれた
原田雅彦選手も脅迫電話や嫌がらせを受けつつ
長野での金を目指して再起していましたが
団体のほかのメンバーは金メダリストになり損ね
長野では代表も外されてしまった西方仁也の本音
も作中に盛り込まれており
今だからこう描写できるといった部分も多かったです
確か西方選手はスキー板を身長に応じて長くする
ルールに変わったことも不利に働いたのも
影響したんだった記憶があります
五輪は競技全体の活性化にもつながる一大目標で
その名誉に予算や身の振りもついてくるのはわかるし
4年に一度という性質から
実力者であっても縁がなかったりします
これが一年延び商業的なリターンも期待できず
東京五輪がこんな状況に陥っているのは
関係者には気の毒でしかありませんが
どうにか開催を成し遂げてほしいものです