劇場公開日 2021年3月12日

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「息子は高校生で戦国時代にタイムスリップ」ブレイブ 群青戦記 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

2.5息子は高校生で戦国時代にタイムスリップ

2021年8月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

単純

興奮

演習中の自衛隊が戦国時代にタイムスリップした事がその昔あったが、今の時代は部活中の高校生が戦国時代にタイムスリップするらしい。
人気コミックを『踊る大捜査線』の本広克行監督が実写映画化。

校庭のド真ん中に巨大な霊岩があるスポーツ名門校。
突然その霊岩に雷が落ち、学校が怪現象に見舞われる。
異様な霧が立ち込め、生暖かい雨、季節外れのセミ…。
最たるは、刀を持った野蛮な野武士たちが現れ、次々襲い掛かって来る…!
一体、何が起きたんだ…!?

開幕からいきなり、生徒たちが死んでいく。
当事者たちからすれば、訳も分からず死んでいく。
阿鼻叫喚絵図。
グロいの苦手な人はちとテンション低めからの入りになるだろう。

歴史マニアの弓道部員・蒼は、自分たちが校舎ごと戦国時代にタイムスリップした事に気付く。
しかもそこは、桶狭間の戦いの直前。
信長家臣の簗田政綱に仲間を人質に取られてしまう。
そんな蒼らの前に現れた別の戦国武将。名は、松平元康。後の徳川家康であった…。

もう本当に、“戦国高校生”。
生きるか、死ぬか。
囚われた仲間の救出ミッションと、元の時代に戻るまでのタイムリミット。
戦場で育まれていく生徒たちの友情。
仲間を助けたい。熱い友情。
高校生なので、一部仄かなカップルも。
自分自身に自信が無い蒼。
そんな蒼に影響を与える元康。
これも一つの“友情”ではなかろうか。
やがて成長し、勇気を持ち、皆を引っ張って行くようになる…。

かつて戦国時代に現れた自衛隊は近代兵器での大暴れが荒唐無稽でありながら見物だったが、本作はスポーツ名門校故アスリート高校生たちvs戦国武士たち!
弓道、空手、フェンシング、アメフト、野球、さらには科学部も。
それぞれスキルを活かして闘うのが面白い所。

新田真剣佑の映画初主演作。繊細な演技と迫力のアクションの熱演。
ヒロインの山崎絋菜はクールな美貌で魅了する。
アメフト部キャプテン、空手バカと前髪バカは印象残った。
簗田役の渡邊圭祐は初めましてだが(『仮面ライダー』で人気らしい)、何と憎々しいヒール。
松ケンの信長は存在感あったが、もうちょっと出番が欲しかった気も…。

でもやはりキャストで光っていたのは、元康役の三浦春馬だろう。
協力者、助言者、後の天下人の片鱗垣間見える。
加勢するシーンのカッコ良さ、まさかのあのシーン…。
一所懸命。
三浦春馬が亡くなったからでなくとも、本作随一の役柄だったと思う。

時代劇タイムスリップ物はもはや邦画定番ジャンル。
今回はそれに、スポーツ能力を駆使して闘う試み。
でも根底にあるのは、自分を信じ、命を懸けて大切な人を守る。
基はコミックとは言え、少年漫画的あまりにもドストレートなメッセージ。
たくさん高校生が死にまくるが、現代の高校生がもし本当に戦国自衛隊にタイムスリップし、戦を控えた戦国武士たちと対したら、実際ああなんじゃなかろうか。妙な所だけリアル。
ツッコミ所多々なのも『戦国自衛隊』そっくり。
途中途中、展開も読めてしまった。
蒼たちの前に現れた、謎の仮面の武将(簗田)の正体。
ラストの蒼の決断。
いくらSF劇とは言え、オチにはびっくり仰天!

自分自身を信じる。
信じれば、自分に自信の無いアナタも某戦国武将になれる…!
そんな勇気。
“ブレイブ”って、そういう意味…?

レンタルリリースは約一ヶ月前。
やっと今頃になって鑑賞しようとした数日前、千葉真一氏の訃報が…。
これは本当に偶然。
だから『戦国自衛隊』も借りて、父と息子で戦国時代へタイムスリップ。

そして息子よ、父の跡を継いで、活躍してゆけ。

近大