「ハッピーエンドで良かった💖」老後の資金がありません! ジャスミンティーさんの映画レビュー(感想・評価)
ハッピーエンドで良かった💖
『老後の資金がありません』を観ました。最初、経済評論家の荻原博子さんの「そこのあなた、老後の資金は4,000万円必要です!」と篤子に呼び掛けるようなメッセージ動画から始まり…
その後、義理の父親の見栄を張り過ぎた葬式、篤子の失業、ハードロックバンドをやっている男と結婚するという娘、章の失業、金遣いの荒い姑との同居、娘の結納金をオレオレ詐欺に引っ掛かり奪われる…と次から次へ難題が降り掛かり、老後の資金はどんどん減っていく。
そして、篤子の友人に頼まれて、姑が友人の父親の身代わりになって、区役所の職員がまさに本人確認をしている最中に、本物の父親が帰って来て大騒動。
だが、その後ドタバタはあったものの、篤子も章も就職先が決まり、姑が催した生前葬があったり、最後はみんな笑ってハッピーエンドで終わった。
章の妹夫婦だけは、これまでに使ったというお金の明細を書いた、分厚く膨らんだファイルを、事ある毎にイヤらしく見せつける。
章はハローワークに行っても、どこまで本気なのか、ニタニタ笑っているし、篤子はボーリングに行ってストレスを発散しているが、みんな呑気と言うか、優しい。「何とかなるさ」とポジティブ思考の人たちで、「仕方ないだろう」と誰かを責めることもなく、全てを受け入れて真面目に生きていた。
そのせいか、後半は全て、良い方向に向かって行った。
なかでも、一番面白かったのは、姑が篤子の友人の父親に成りすまして、区役所の職員が本人確認に来たシーンだ。草笛光子の変装もお見事。三谷幸喜がいい。笑える。
姑が生前葬をすると言い出して、篤子は最後まで反対していたので、出席していなかったが、姑にとって大事なものを忘れて行ったと思い、急いで届けに行った篤子が耳にしたのは、姑からの篤子に対する感謝の言葉だった。あのシーンは胸にジーンと来た。
生前葬のパーティーは、賑やかで楽しそうで、特に篤子と姑の二人で歌った「ラストダンスは私に」は良かった。
最後は、篤子がずっと欲しいと眺めていたバッグを買うことも出来た。ご褒美だ。
篤子の友人に頼まれて、姑自ら、友人の父親役に扮装した時、姑が「昔、宝塚に入ろうかと思ったことがあるのよ、それも男役」と話したことに対して、篤子も「実は私も」と言うと、すかさず姑が「篤子さんは無理よ」というシーンも面白い。
エンドロールで、エンディングテーマを歌っていたのが氷川きよしだったことを知り驚いた。いい曲だった。
『老後の資金がありません』と言うと、重いテーマかと思いきや、最初こそ、これでもかというほど問題山積だったが、結果的に『老後の資金問題』も解決し、意外な着地点ではあったが、ちゃんと着地して良かった。めでたし、めでたし。
楽しくて笑える、心がほっこりする映画だった。