「わがままに生きた者勝ち!」老後の資金がありません! movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
わがままに生きた者勝ち!
松重豊のファンである。
だからこそ思った!こんな理解ある素敵な妻、篤子さんに、コンビニバイトをさせているその楽観的鈍感脳を洗い直してこい!
終始、義理の家にも娘にも、最後まで言いたい事を言わずにぐっと堪える妻篤子、すごい。
貯金が大ピンチで夫婦2人失業、子供は結婚式、姑は越してくる。
おとぼけな夫。
胃潰瘍やメンタルを崩してもおかしくない状況で、常に働き口を探すその根性が本当にすごい。
松重豊も、ハローワークでズバッと言われ、交通整理の仕事についてもまだ目が覚めない。
でも、交通整理の服装でも際立つ、手脚の長さ。
天海祐希も手脚が長くて、2人とも俳優をすれば一瞬で貯金額の悩みは消えますよ!天性の物を持ってますよ!
と言いたくなる。
作中、天海祐希に、「宝塚はあなたには無理ね」という姑役の草笛光子演じる義母もまた、周りを嫌いにさせない雰囲気の持ち主。
篤子が何も言わずとも、お金の工面にきちんと気が付き、負担にならないように考えていた。
生前葬を開く事にして、来ていないはずの篤子にも感謝を述べる素敵な性格だから、お友達も多くて、生前葬で出た黒字を篤子さんに手渡す。
「ぼたもち食えるの3つまで」
本当にそうで、ほどほどを心がけたい。
お葬式や結婚式、住まい。
巨額がかかるところで、身の丈に合った選択をする大切さを学ぶ事ができる作品。
若村真由美もお金にがめつい訳ではなくて、お父さんの事もお母さんの事も真剣に想う心の持ち主。
でも、兄弟それぞれに世帯ができると、家計の違いや出してあげたくても払えない状況、色々出てくると思う。
父親が亡くなってから、一周忌までの1年間に、多額の支出と仕事の変化を抱えた大変な1年だった夫婦だが、子供達の独立、自宅の売却、夫婦2人とも仕事に就いて、シェアハウスに引っ越しと、家計を常に気にしながら、なんとか激動を乗り越えた。
こういう時にこそ、人が出るなと思うし、家庭の雰囲気を壊さない松重豊と天海祐希演じる夫婦像は、距離感を保った関係性な一方で、穏やかさを保っている魅力があった。
家庭での話し方も、コンビニでの笑顔も、生活感を感じさせずさわやかな篤子さんだったがそれでもやっぱり、欲しかった赤いバッグを姑さんからのお金で購入して提げて歩く姿が最も似合う。だって天海祐希ですもの。
松重豊は、おっとりして少し鈍いが、「惨めな思いをさせてすまん!」それでこそ、松重豊!と思った。
わがままに生きた者勝ち。
その周りには振り回されて我慢する人もいる訳で、
気楽で良いよね〜とも思うが、人生は一度きり。
見栄のためのお金なのか、周りの人と楽しむためのお金なのか、よく考えて使いたい。
楽しい関係性でなら、高い飲み物や場所がなくても、豚もやし鍋でも、シェアハウスでも、楽しめる。
まずはそういう関係性を幾つ周りに持てるかだなぁ、そういう関係性を築く時間のためのわがままは、
大切にさせて貰いたいなぁと感じた。
夫の新卒から続く仲の友達、妻のヨガ友達、作中でもちょこちょこ出てきた人付き合いを、大切にしたい。
結局そこがあるかが、寂しくない老後に繋がる。
心が貧しくない高齢者になりたい。