幸せへのまわり道のレビュー・感想・評価
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地味だけど沁みる
主な登場人物は、超人気子ども番組の司会者、雑誌記者、彼の母親を裏切った年おいた実父の3人の男性。主人公は記者で、評価を受けながらも取材相手に嫌われるほどの辛辣な記事を書くせいで仕事に行き詰っており、上司から子ども番組の司会者以外誰も取材させてくれないから、フレッド・ロジャースを取材して記事を書けと言われ、いやいやながら彼を訪ねる。突然ひょっこり現れた能天気な父親に苛立ち、その関係に悩む主人公の話をじっくり聞いてくれるスター。人格者である彼の態度にまた苛立ってしまう主人公。主人公がフレッド・ロジャースの家を訪問して、彼自身の息子達との単純でない関係を聞き、またその上で主人公をじっと見つめるシーンに涙。地味だけど良い映画だった。
親子の確執セラピー映画
アメリカで長いこと児童向けの番組の司会をしていたフレッド・ロジャースと、彼のことを取材した雑誌記者の交流を描いた物語。
日本だとロジャース氏のことを知ってる人は少ないかも。私も知らない人間の一人。だからトム・ハンクスの演技がどこまで似てるとかはわからない。むしろその番組の雰囲気は少し怖いとさえ感じてしまった。
でも移動する地下鉄の中でロジャース氏を見つけた子どもたちが彼の歌を歌い始め、みんなで合唱するくらいだからかなり有名なのは伝わった。
その上で取材したロイドの個人的な問題(父親との確執)を引き出して、解決に導くアドバイスを送る。完全なるセラピー。怒りをいかに抑えるかなんてアンガーマネジメントの助言もしたりして。でも、ロジャース氏は聖人でもヒーローでもないってことを示唆する終わり方がいい。
親との関係がさほど良好でない人は結構ハマるかも。地味だけどなかなかいい作品だった。
いい人とかいい話とか苦手な私もいい気分に浸った
今作は実話に基づくとのこと。
アメリカで1968年から2001年にわたって放送された子ども向けの長寿番組の司会者フレッド・ロジャース。私は彼のことも番組のことも全然知らなかった。
ロジャースは取材にきた記者ロイド・ヴォーゲルの抱える問題を感じ取り、ある意味ずけずけと距離を詰めていった。拒絶しようとするヴォーゲルもあがなえなかった。二人はお互いの家族を含め交流を深めることに。
私もあがなえなかったなぁ。いい人とかいい話とか極端に苦手なはずなのに何かいい気分に浸った。
トム・ハンクス、マシュー・リース、クリス・クーパー等の名演だけでなく、映像/色彩、音楽も特筆すべき上質な作品でありました。
観ている間、落ち着いた時間が流れる
事前情報もなく、主人公のフレッド・ロジャースも番組のことも知らず「上映最終日+レイトショー」だから、という理由で選んだ1本。
冒頭から教育番組ぽぃタッチだなぁ、
と思って見ていたけど、
大人へも、生きることでの大切なことを学ばせてくれる番組の姿勢、メッセージは伝わった。
鑑賞中は失速しているわけでもなく、滑らかで落ち着いた時間が過ぎている感じがした。
見終わったあと、みなさんのレビューを拝読して思ったこと。
・「許す」ことは「決断」すること。
→ふむふむ、たしかにそうだ。許すということは、心に余力がないとできない。
・1分間の沈黙で(怒りの矛先の)相手の良いところを思い浮かべる
→あの時間は不思議だ。劇場でつい、前のめりになってしまった。劇場がシーンとしていた。
・ラストの伴奏シーン
→フレッドは決して、余裕綽々の大人ではなく他の者と変わらない人間で感情の起伏(ストレス)はあるのだ。それが、プールに入ったりする行為。最後の低音「バーン」の行為は、そういうことなのか、彼自身の発散なのか…。聖人ではなく、我々と同じなのだ。
彼みたいな心の持ち主・上手な感情コントールできるオトナになりたい、と思ったね。
懐かしい気分を損なわれませんでした
とっても懐かしい気分が損なわれませんでした。
正直日本の普通の映画ファンの方がどの程度この映画を受け入れていただけるのかとても懸念していましたが、トムハンクスの抑えた演技もありおおむね好意的なレビューが多くて安心しました。
私事ですが90年代初めに仕事の関係で家族と共に在米し、mister rogers neighborhoodは小生と家内のお気に入りの番組でありました。mister rogersの番組は小学校低学年以下を対象としていて、PBS (公共放送)で日に何度も放映されていました。語り口はとても穏やかで、日本に置き換えると尾木ママのような感じでしょうか(お姐言葉ではありませんが。)
渡米後、早口の米国英語を解するのは特に家内にとって大変な重荷でした。そんな中小さな子供たちにも優しくゆっくり語りかけ、また表現も平易であったmister rogersで、英語の勉強をしていました。今思い返すとmister rogersが繰り返した伝えたこと、例えばYou are special, that's what I like.などから、個性を大事にして、個々を尊敬するという米国人の基本的な考え方についても学んでいたのだと思います。
当時mister rogers好きを公言すると、米人の同僚たちからは、he is too corny. (古臭い、陳腐)とかネガティブな反応があり、あまり表立ってmister rogersのことを言い出せない雰囲気がありました。そもそも教育のある大人の見るものではないみたいな印象です。映画の中で記者がmister rogersをテーマにせよと命じられた時の反応が、よく当時の雰囲気を表しているのでしよう。
mister rogers役のTom Hanksがスタジアムジャケットを着させられてArsenio HallにインタビューされるシーンやOprah Winfreyに詰問されるシーンは、当時のmister. rogersのテレビ実出演部分にTom Hanksを置換えたForrest Gumpなどにもあった手法で再現されています。古臭く道徳を説くmister rogersは、当時のメディアからさらし者的な扱いを受けていたのだと記憶します。そんな場に招待されても自分のスタイルを変えずに落着いて反論していくTom Hanksによるmister rogersの姿の再現も感動的に受取りました。
多分ほとんどのアメリカ人が子供の時にmister rogersの番組を見て育ったことは間違いなく、映画でニューヨークの飛行場やマンハッタン、ピッツバーグの街をミニチュアで表現していますが、この表現がmister rogers neighborhood番組表現の再現になっているので、過去を思い出して、なんとも言えない懐かしい気分になりました。ちなみにタイトルバックの字体、配色もTVと同じ。TV番組の再現部分は昔のアナログTV/ビデオのように輪郭部分にモアレがあって、それだけでも昔ゴーストだらけのアナログTVでmister rogersを見ていた日々を思い出す仕掛けがいっぱいでした。
家内は出てきた挿入歌を全部歌えると感慨に浸っていました。Fred Rogersその人の功績については、ドキュメンタリーのWon't you be my neighbor?『ご近所さんになろう』に詳しいです。この映画をご覧になった方は、ぜひそちらを見て、本当のFred Rogersを知って貰いたいと思います。
優しい映画、楽しかった
インタビュー相手を冷たく描く雑誌記者が、子供番組の有名司会者とのインタビューで、自分を振り返る機会を得る話。TV画面に合わせたのだろう、四角い映画だった。
ホントは司会者フレッド・ロジャースの話なので、上記の超要約は、主題が間違ってる気がするな。ただ、記事の映画化なのだし、司会者を演じたトムハンクスは、アカデミー助演男優賞候補だったのだから、正しいのか。
ちょっと変わった映画だけど、全編、ほっこりする優しい映画なので、楽しめました。
「今のままの君が好き、そのままの君が好き」俺も、明日から、自分の家族にそう伝えます。ありがとう、フレッド・ロジャース!
神出鬼没
「聖人」まさに神対応。
ゆったり話し、言葉はなるべく少なく、相手を決して否定しない。
それはでもすごくむずかしい。
イライラして、カンシャクを起こすロイドの気持ちはすごくわかる。
ダメ父親と息子の問題は程度の差こそあれ、普遍的なもので、ハニーボーイを観て間もないので、余計沁みました。
怒りのコントロールは禅宗にも通じるものがありますね。訴訟大国アメリカだから余計に尊敬されるのでしょう。
パペット・マペット(懐かしいっ)のような人形の小道具をいつも鞄に入れて、ロイドのもとにこれという時に何度も現れる神出鬼没場面はちょっと怖かったデス。占い師&私立探偵&カウンセラー??? トム・ハンクスの熟練された演技は凄かったです。
幸せの〜、幸せの〜、幸せの〜 危うくスルーしそうになる酷い邦題
20076.トム・ハンクス演ずるフレッド・ロジャー氏が実に見事な狂言回し。ラストのピアノシーンが印象に残る。怒りを抱えながらも、それをコントロールするロジャー氏
ジオラマとスクリーンサイズ
フレッドはほんとに聖人であるかのように、ロイドの家族問題について見抜いてしまったようだ。どうしてわかるの?と思うくらい、的確に見抜く眼力は凄いものがあった。取材といっても休憩中の数分のみだったのに・・・
ロイドを中心としたありきたりの家族再生の物語ではあるものの、このヒーローとも言うべきフレッドの怒りを鎮める技術が功を奏した物語でもあった。「許す」「許さない」は本人の問題でもある。これを基本にまるで催眠術にでもかけられたかのように心が洗われていくのです。
しかし、終盤になると、あまりにも宗教色が強くて本当に洗脳されるんじゃないかとも感じてくるのも確か。怒りを抑えることが本当に善なのか?とも否定的に見てしまい、家族や近所の問題なら正しいのだろうけど、国レベル、地球レベルで考えたらどうなんだろう?確かに争いごとは減る。しかし、為政者がその力を得たら、とんでもないことになるとも想像できるのです。子どもの頃から怒りをコントロールすることによって、無批判になり、無気力にもなりかねない。従順で反抗しない国民として飼い慣らすことが可能なのです。
まぁ、そうは言ってもフレッドの心を見抜く能力は凄いし、帰った後ですぐに電話でアポを取るとか、写真を撮ったり、家族の名前まで覚えておくとかという付き合い方は営業マンなんかには必要なこと。人との付き合いにおいても大切なことを教えてくれるので、コミュニケーションとか“おもてなし”とか大切にしたい人には必見の作品かと思いました。
何人思い出せました?
父親と確執のある雑誌記者が、不思議な人気者司会者と出逢うことで心のわだかまりが解けていくドラマ。
始まりから、トムハンクス演じるロジャースが、教育テレビでやっていそうな番組風の演出で話をする。なんだか懐かしい気分に。
主人公は恨みをもつ父親を許すつもりがないようだが、うまく取材ができないロジャースにペースを乱されていくうちに、その憎しみさえもくるわされていくようで…さらに妻とのやり取りからも、その心に変化が始まり…。
本筋としては、人を許すことの難しさや大切さを伝えるものだけど、ちょくちょく挿入される子供番組風の演出が特徴的であり印象に残る。子供の頃のような純粋な気持ちに立ち返れということか。
沈黙のシーン、皆さんは誰か思い出せましたか?
観客も参加させてしまうような演出、そして何よりトムハンクスの演技はとても素晴らしかったですね。
自分も男の割には小学生くらいまでぬいぐるみとか好きだったタチなんで(そのことを親に怒られてたりもしたけど(笑))、パペット人形で話そうとするトムハンクスがなんか好きだった。
実際に大人向けとしてロジャースが司会のああいった番組があっても良いんじゃないかなぁと思った作品だった。
来年はお姉さんの結婚式が開催されないことを祈るばかりです。
トム・ハンクスの新境地
この映画を観て感じた事は、まず何と言ってもトム・ハンクスの名演技。感情の起伏を抑えた演技なんて初めて見た。流石にアカデミー並びにゴールデングローブにノミネートされるだけあると思った。
話は、良くも悪くも、まぁ、オーソドックスな展開。
特筆すべきは、映画の風景が実景ではなく街並みや車、電車などをミニチュアセットで撮影していたこと。これによって特定の場所における特別な物語という印象が薄れて、どこででも起こりうるありふれたお話なのだという気分になれた。もし実景だったらリアルな時代考証で製作費もかさんだことだろう。アイデア賞ものの演出だった。
タイトルなし
この作品、観るリストに入れてなくて
先日、映画館で初めて本作の予告を観たら、好きな俳優さんが出てるとわかり鑑賞。
雑誌「エスクァイア」に掲載された記事
「Can You Say...Hero?」を原作としているお話し
アメリカのテレビ司会者フレッド・ロジャース。本作で初めて彼を知りましたが、アメリカでとても有名な方なんですね。
聖職者でもあるそうです。
彼のお話しかとばかり思っていたんですが、なるほど、、こういうお話しなのか。。
なかなか面白い構成だなぁ。
新聞記者ロイドをフレッドを通して描き、
ロイドのセラピーを通してフレッド自身を描く。
正直、ロイドについてのお話しはさほど珍しい内容では無いかなと思いましたが、ロイドの心や考え方にフレッド・ロジャースが寄り添い、真摯に向き合う姿は心を揺さぶられちゃったなぁ。
フレッド・ロジャースもアンガーコントロールを色々試して自分のアンガーマネジメントを身に付けたんだろうな。
奥さんも言ってたし。
フレッドさんもちょっと怒ったよね、最後の方ピアノで。あれは何に対してだったんだろう。思い出せない笑
そのフレッド・ロジャースを演じたのはトム・ハンクス。表情や語り口が優しいけど力強さも感じるのは、やはりトム・ハンクスならではの演技だと思った。
そして好きな俳優の1人でもあるマシュー・リス。少し陰のある感じが本作でもよく出ていたなぁ。映画だとあまり主役は多くないけど、ドラマシリーズでは結構出てるかな。
好きなドラマシリーズ「ブラザーズ&シスターズ」にも出てたし、味のある俳優さんなんだよな。
若干の宗教色を感じつつも、観た後は心が落ち着く不思議な作品でした。
これがTrue Storyだったと改めて驚く作品
最初のスーパーでTrue Storyと出てはいるのですが、エンディングまで観終わった時、『あっ、これっ、True Storyだった』と思わせる、フィクションじゃない驚きがありました。
この映画は心を揺さぶられる映画です。
誰しも感じる怒り。これをゆっくりアプローチしていきます。そして気づきを与え、その怒りが溶けていきます。
幼児番組のアンカー。でも幼児の問題ではなく、大人にも当てはまる問題。これを真剣に向き合う。これは人としての問題なのです。だから、途中からフィクションなら成立すると思ったです。
ただこれはリアルストーリー。こんな考えの人がいるという驚きがあります。
私たちは少なからず悩みがあります。そんな悩みがある人は観て頂ければと思います。少しの元気がもらえると思います。
トラウマに向き合う
血を分けた家族だからこそ許せないことはあるが、恨みに支配されることは人生を暗く染め上げてしまうのかもしれない。
本作はそんなトラウマを有した大人である記者のロイド・ボーゲルを、子供番組の司会者フレッド・ロジャースがセラピーで癒す話だ。
(映画の主人公は記者の方)
許すとは、自分を誤魔化したり感情を殺すことではなく、自身の感情に正面から向き合い、苦しみに耐えた時間も自分を形成した一部と感謝することであり、怒る感情を抱くほどに相手を愛していることを認めることである。
そんな気付きをさせてくれて、非常に良い話なのだが、あまり事前知識のない日本人である私には、わからなくて残念なことがいくつか。
まず、映画の基になったロイドの記事の詳しい内容が、映画では語られないこと。
アメリカでは知らない者がいないほどの有名な記事らしく、この映画を観るくらいなら知っているでしょ?もしくはネットでアーカイブを読んでね!って突き放し方でした。わかんないよ!
そりゃ、ロイドのここまでの心の変わりようを見て、映画から察しろよ、ということなのかもしれないが、冒頭の一節だけでも読み上げてくれたら、すっきりするのに…
そして次に、実はフレッド・ロジャースって、リタイヤ後すぐ胃癌が見つかり、手術が成功せず2年の闘病の後に亡くなるらしいのだが(映画の後に検索したところによればだ)。
時折腰を押さえながら動きが鈍くなるというトム・ハンクスの演技が、一見すると腰痛など加齢による身体の痛みに思えるが、実は転移で背中や腰に痛みが走る状態なのかもしれない、ってあたりが細か過ぎて、本当の意図がどうなのかわかんない!
んで、ラスト。
徐々に暗くなるスタジオで一人ピアノを弾くシーンで終わる。
これが、彼がこの後亡くなることを暗示しているのかもしれなかったが、そこまでの予備知識がないと、すぐにはわかんないよ!
と、あれこれ不親切な部分を感じてしまいました。
素晴らしかった
トム・ハンクスの優しい感じが全開でこんな感じのいい人が隣に住んでくれたらなあと思わずにいられない。実話ベースなので人柄いい感じを盛大に盛っているのかと思ったらエンドロールのご本人登場で本当に優しそうな人だった。
怒っている時に本当にピアノの低音をガンガン鳴らしている。主人公のお父さんが大滝秀治を悪くした感じ。いくら嫌いでもあんな老人をグーで殴るのは引く。お姉さんはお父さん似のような印象で、共感があるのか、お父さんがひどくても受け入れているように思う。
心に残る不思議な映画。フレッドさんに会ってみたい
後からジワジワきてます。不思議な映画です。
一昨日観たのに、今ごろきてます。
魔法にかけられたような気持ちになる映画。
アメリカで誰もが知るという33年も続いた子供向け番組の司会者フレッド・ロジャースをトム・ハンクスが演じてます。
このフレッドさんがとてもいいんですよね。
あったかくて、いい意味でお節介で。
「僕は、カメラの前にいる1人1人の子供に話しかけているつもりで話している。まず子供たちに、ありのままの君でいいんだよ、と伝えたい。そして、自分の心と向き合うこと、自分の気持ちを表現することを恐れないでと伝えたい」と。
子供たちに寄り添い、勇気づけ、
感情のコントロールの大切さや怒りの気持ちをどうすればいいかを、時にはぬいぐるみに扮してわかりやすい言葉で伝えてきました。
これは大人にも通じること。
この取材に来た記者の内面をストライクに突いてくる鋭さも、その実直な人柄から、嫌味もなく、導き出し、吐き出させる。
人を許すことってとても難しいと思うんです。
フレッドさんが言うように、
【愛する人ほど、許すのが難しい】
私も実は、なかなか許せない人がいます。
この記者はずっと父親を憎んでいて、許せなくて、未だに心の中にわだかまりが大きくて、時々それが噴火する。
そんな彼に、フレッドさんは説教するでもなく何か解決策を提案するでもなく、ただ寄り添い、「祈る」
中でも中華料理屋さんで1分間黙祷するシーンは圧巻ですね。
黙祷するシーンで涙がこぼれるとは、予想外でしたね。
何のための黙祷かというと
「自分をこれまで培ってくれた人たちの顔を思い浮かべる1分間」なんです。
祈り、とも言えます。
このシーンが忘れられません。
私も、例えば眠りにつく前の1分間を
この祈りにも似た瞑想に充てようかと思います。
不思議と、心が穏やかになります。
あなたもこの映画でフレッド・マジックにかかってみてくださいね^^
とにかく、トム・ハンクスは素晴らしい俳優!
【"長い間、軋轢を抱える親子にフレッド・ロジャーズは優しく語りかける。"そろそろ"心のご近所さん"になりませんか?"】
-生きていれば、理不尽な事、赦せない事、思うように行かない事が沢山ある。ある程度、経験を重ねれば・・。そしてその相手が、大切な人であれば尚更だ。-
・フレッド・ロジャーズの存在は全く知らなかったが、劇中地下鉄の中で乗客達が嬉しそうに、番組の歌を歌う姿が素敵であり、彼が如何に皆に愛されていたかが、良く解る。
・幼き頃の父ジュリーの諸行に怒りを抱えながら、記者になったロイドの態度は頑なだ。
だが、フレッドから寛容な気持ちになる方法を教わり・・
ー私は目を閉じて、"暫し相手の良い所を考える"フレッドとロイドのシーンが心に残った。目を開けたロイドの目が涙で滲んでいる・・-
徐々に父を赦そうと悩み、考えるロイドの姿。
-そんなに、簡単には赦せないよな、ロイド・・-
・午前4時の病床の父とロイドのウイスキーでの乾杯のシーン。
〈赦しがたき人間はいる。だが、まずは、隣人だと思って接する所から始めてみようか・・、と思わせてくれた作品。〉
■ラスト、フレッドが、ビアノの鍵盤を一瞬だけ激しく弾くシーンで、彼は決して"聖人"ではなく、"彼も努力しているんだ・・"と私は解釈した。
■地域的に近くに上映している映画館がなく、仕事で疲れていたのだが、わざわざ"都会"まで、足を運んで鑑賞した作品。けれども、後悔は全くなかった作品でもある。
違和感しかない
完璧ないい人、つまり仏様とか菩薩様みたいな人には一度も逢ったことがない。そんな人は多分この世にいないのではないかと思っている。だから如何にもいい人然とした人を見ると、裏の顔があるんじゃないかと疑いたくなる。
本作品の主人公ロイド・ボーゲルがまさにそれで、不遇な幼少期を過ごしたことから、簡単に人を信じないし、他人に対する評価は自然と厳しいものになる。このタイプの人は決して少なくないと思う。ロイドの場合は他に女を作って病気の母と自分を置き去りにしていった父親が許せない。
子供の人権を蹂躙する親はかなりの確率で存在し、児童相談所の職員の手が回らない主要な要因となっている。日常的に頭を叩くなどは一番軽い方で、酷くなると実の父親に毎日のように強カンされたり、極端な場合は殺されたりしている。事件が明るみになって報道されるのは氷山の一角であり、大半は狡猾な親によって隠蔽されているのではないかと、当方は睨んでいる。
こんな実情を踏まえていれば、簡単に父親との関係修復を説くフレッド・ロジャースのことをロイドが不審に思うのは当然だ。しかし映画では悲惨な子供たちは登場せず、フレッド・ロジャースの手に負えなくなるシーンはない。ロイドの父親についても、なぜか許されてしまう。父親の発言には差別意識が色濃く滲んでいるにもかかわらず、それは問題にされないまま許されてしまうのだ。
フレッド・ロジャースは人を非難せず、問題は心のなかにあるとして、自分を許し、他人を許すことを説く。怒りの感情は他人を傷つけるだけではなく自分をも傷つける。だから怒りを感じたときは様々な行動をすることで怒りの感情をしずめることをすすめる。それは無意識を意識的にコントロールするという意味では間違っていない。ただ、子供ならそれに従うかもしれないが、親は一番傷つけやすいもの、つまりは自分の子供に怒りを向ける。それはフレッド・ロジャースには解決できない。
親が子供に怒りを感じるのは自分が上で子供が下だと思っているからだ。支配する者とされる者の関係性、つまり封建主義の精神性が世界中に遍在している。世界中の殆どの親は「親に向かってなんだ」という言葉で、口の聞き方や態度、果ては表情までを断罪する。断罪された子供たちは親になったときに子供を同じように断罪する。親が上で子供が下という差別の意識は親の自尊心に支えられて、時代が変わっても連綿と続いてきた。
その有史以来の封建主義の精神性を断ち切らない限り、子供たちは蹂躙されつづけるのだ。黒人が白人警官によって殺されるのも同じ図式である。黒人差別の問題に矮小化するのではなく、世界中に行き渡る封建主義の精神性に原因があることを知らねばならない。一方で封建主義的な教育をして差別を継続させながら、一方で子供の人権蹂躙や黒人差別に反対するのは明らかな矛盾である。アメリカで主流の家族第一主義も一種の封建主義であることを理解する必要がある。
完璧ないい人に見えるフレッド・ロジャースだが、彼に対して感じる不信感は実は根深いものなのだ。家族を大切に、親を尊敬してという言い方は正論であり、彼に反駁すると集中攻撃を受けるかもしれない。しかしそこに異を唱えない限り、完全に平等な人間関係の社会を実現することは難しい。そのあたりを全部棚に上げて、ロイドの家族の平穏を喜ぶことには違和感しかない。
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