「静かな街並みで静かに進行する似た者同士の物語。」コロンバス jollyjokerさんの映画レビュー(感想・評価)
静かな街並みで静かに進行する似た者同士の物語。
オープニングの邸宅内の鮮やかさ!画角にきちんとおさまったコロンバスの街の色彩豊かな建築物、インテリア。静止画のような落ち着きの中に、鮮明な意思と誇りを感じるカメラの完璧な構図!カットのタイミングも好みだ。
モダニズム建築に対する解釈と、美意識とその合理性をモチーフにしつつ、それによって「自分の在り方」ひいては人間関係をを問うている。
人はどこで何をしていようが、自分を形作っているものを模索し自覚していくものなのだろう。ジンジョン・チョウは翻訳の仕事で自分を保ってきた。ケイシーヘイリー・ルー・リチャードソンはふとしたきっかけで建築に興味を持つようになり、それが自分のよりどころとなる。両者とも親にきちんと受け止めてもらえなかった背景を持ち、それぞれがお互いとかかわりながら自分の立ち位置を模索し進んでいく。
大きな事件があるわけでもないストーリーながら、内に秘めたものが形となっていく過程が素晴らしい。
柵越しにタバコを吸いながら会話するジンとケイシーのプラトニックな距離感が最後まで持続する点も好感が持てる。
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