「小津安二郎、建築、最高に上品な映画。」コロンバス TSCMさんの映画レビュー(感想・評価)
小津安二郎、建築、最高に上品な映画。
建築写真家です。こちらの映画劇場で4回観ました。輸入盤Blu-rayも買いました。
この映画の多くを占めるシメントリーな構図は、建築を写すことを生業にしている者ならだれでも心得ているセンターの構図。大切に作られた建物はどれもセンターからみて素晴らしい美しさを持つ。それをよく心得ている監督さん。
また小津安二郎へのオマージュを単なるローアングルではなく、小津監督が愛されていた廊下を望遠で撮影していたところを踏襲、それがまたこの映画の題材でもあるモダニズム建築の美しさも際立たせる意味のある絵作りで素晴らしい。
心の架け橋を象徴するために橋の形を模して設計された建築の前で、初めて主人公の2人が笑顔を交わして通じ合う。また同建築の前で男女が涙を流しながら抱きしめ合い悲しみをかち合う。意味のある建築の前でその意味に沿った物語がある、なんて上品な映画なんでしょうか。
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